その日、

妻は怒りとも悲しみともつかない表情で

ティファニーの前で僕を見ていた


結婚指輪を無くした

僕は嘘をついた



妻はわかっていた

指輪を外さない限り

無くすことはないから


妻はわかっていた

僕の心が妻にはなく

別の女性にあることを


妻はそれを言葉にはしない

言葉にすると

僕たちの関係が終わることがわかっていたから


強引に僕は妻をティファニーに連れて行った


新しい指輪を買えばいいんだろう

妻に言葉を吐き捨てた



妻はまだティファニーの前にいる

僕を睨みつづけている


瞳から赤い涙が流れはじめる