鷹が右腕から飛び立った

ぼくの右腕には鷹の重みが残っている




灰色の雨が降っていた

4階の部屋のそとベランダに出ると

洗濯ものが雨に濡れていた



記憶を喪失しているのかと思った

他人の部屋に間違えているのかと思った


黒いジーンズ

深青のシャツ 

赤い靴下


くたびれて濡れているが僕のモノだった

ベランダにいつ干したのかすら

忘れてしまっている


玄関のドアを開ける

中庭が広がっている

2メートルほどの高さの樹があって

鷹が僕を見つけた


右腕を差し出して

心のなかで誘ってみる


嘴を少し僕の方へ向けて下げた瞬間

地面すれすれを滑空した

右腕に鷹が止まった

拳を嘴でつついてくる


鷹はぼく ぼくは鷹


鷹が僕の右腕から飛び立った

ゆっくりと灰色の空に向かって飛び立った


空が宇宙の色に変わった





夢から目が覚めた

右腕に鷹の重さが残っている

たった30分横になって

いま見た夢だった