桃 五話 | Poetphotographer りゅういち
失われたニューヨーク ツインタワー
高層階のバーカウンター
彼女が座っていて 悲しげな横顔を僕は見ている
マティーニのオリーブをステアでもてあそぶ
彼女の後ろには
天井まで連なる縦長の窓ガラスが何本も並んでいて
マンハッタンの夜景が浮かびあがる
なぜ なぜ 会ってくれなかった
僕は言葉を放つ
言葉は放たれた瞬間 彼女に届くことなく
消え去ってしまう
僕がそばに座っているのに僕の存在すら
彼女は感じていないのかもしれない
和美は表情を全く変えることはない
いつも見る夢
和美と別れてから僕がいつも見る夢
なぜ なぜ 会ってくれなかった

