夕方の境内。
風が気持ちいい。
トラ住職、縁側で静かに座禅。
完璧な無の境地。
その横で――
メルタン住職も正座。
目は閉じている。
…が、しっぽが小刻みに揺れている。
メルタン住職(心の中)
(風…いいな…)
(あ、雲…あれ綿菓子みたい…)
(綿菓子食べたい…)
(売店…あったかな…)
トラ住職、目を開ける。
トラ住職
「……今、何段飛びましたか」
メルタン住職
「えっ?
えっと……雲から屋台までです!」
その瞬間――
ドドドドッ!!
ジャンジャン和尚、全力疾走で登場。
ジャンジャン和尚
「住職ぅー!!
あの馬みたいな鹿みたいなの、
追いかけたら池に落ちました!!」
トラ住職
「……何を追いかけたのです」
ジャンジャン和尚
「たぶん…
考えごとです!!」
沈黙。
トラ住職、ゆっくり立ち上がる。
トラ住職
「――なるほど」
木魚を一つ叩く。
コン。
トラ住職
「心は猿、
考えは馬」
メルタン住職
「あっ…」
ジャンジャン和尚
「だから捕まらないんですね!!」
トラ住職
「そうです」
一拍置いて。
トラ住職
「それを――
意馬心猿と言います」
メルタン住職
「私、今まさにそれでした…」
ジャンジャン和尚
「じゃあ私は?」
トラ住職
「……」
(少し考えて)
トラ住職
「あなたは
全身即行動です」
ジャンジャン和尚
「えっ!?
それ仏教用語ですか!?」
トラ住職
「いいえ」
夕日。
木魚の音。
ジャンジャン和尚だけ、
また何かを追いかけて走り出す。
トラ住職
「……修行は明日からで」
平和。
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