心理カウンセラー・公認心理師の
栗林あや(いがぐりこ)です。
「迷惑をかけたくない」
カウンセリングで、この言葉は本当によく出てきます。
仕事を辞めたい。でも辞められない。
つらいのに、動けない。
「何が一番引っかかっていますか?」と聞くと、
だいたい「迷惑をかけたくない」が返ってきます。
・・・これ、実は私自身の話でもあります。
20代の頃、シティホテルで働いていたことがあります。
あるとき経営者が変わって、上層部が総入れ替えになりました。
新しいやり方についていけなくて、従業員がどんどん辞めていった。
でも、私は辞められませんでした。
人がいなくなるから、残った人に仕事が集中しました。
私の仕事量も、どんどん増えていったのです。
体力も気力も限界でした。
でも私は、「今、私が抜けたらもっと迷惑がかかる」と思って、
ますます辞められなくなっていきました。
朝、職場の駐車場に着いても、車から降りられない日がありました。
何も悲しくないのに、涙が出てくることもありました。
でも、もちろん、そんな姿は人には見せらせませんでした。
辞めたところで、次がすぐ見つかる保証もない。
だから余計に、今の場所にしがみつくしかなかった。
必死すぎて、細かな記憶がありません。
ただただ、限界を超えた毎日の中で、必死に仕事をしていました。
振り返ると、あのとき私を止めていたのは
「辞めたら周りをがっかりさせる」
「迷惑をかける私はダメだ」という気持ちでした。
つらいのに、自分のことより周りのことを先に考えてしまう。
だから動けなかったのです。
カウンセリングをしていても、
同じパターンの方に本当にたくさん会います。
業種も立場も違うのに、構造はまったく同じ。
で、あるとき気づいたことがあって。
私、子どもの頃からずっとそうだったなぁ、ってことです。
いい子でいれば認めてもらえた。
頑張っていれば安心してもらえた。
でも期待に応えられなかったときは、
親が不機嫌になったり、責められたりした。
あの頃に
「人をがっかりさせたら、自分の居場所がなくなる」
っていうルールが、心に刻まれたんだと思います。
大人になっても、そのルールだけはずっと動き続けていました。
私がそこから動けるようになったきっかけは、
「がっかりさせてもいい」
って自分に許可を出したことでした。
「辞めたい」と思った自分を、責めなくてよかったんだ。
「逃げたい」って思うことも、それでよかったんだよね。
子どもの頃は、親をがっかりさせたら
本当に居場所がなくなったかもしれない。
でも大人になった私には、
仕事も住む場所も、自分で選べる力がもうあったのです。
同じように動けなくなっている人がいたら、
ひとつだけ試してみてほしいことがあります。
「がっかりさせてもいい」って紙に書いて、
スマホケースの中に入れてみるといいかも。
手帳に書くでもいい。
毎日、意識的に見なくてもいい。
ただ、そこにあるだけでいいです。
つらくなったとき、スマホを触ったときに目に入る。
手帳を開いた時に、目に入る。
それだけで、動けない状態が、ちょっと軽くなることがあります。

この話、YouTubeでもうちょっと詳しくお話ししています。
よかったら見てみてくださいね。
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