心理カウンセラー・公認心理師の 栗林あや(いがぐりこ)です。
「ちゃんと説明したのに、なぜか関係が悪くなった」
以前、カウンセリングに来られた40代の女性(Aさん)が、そう話してくれました。
(個人が特定されないように変えて書いています)
職場で、Aさんの企画の意図を、上司に誤解されてしまったそうです。
Aさんは会議の後、上司のところに行って
「あの企画はそういう意図ではなくて・・・」って丁寧に説明した。
上司は「うん、わかった」と返してくれた。
・・・ここまでは、よかったのです。
でもその後から、上司の態度がなんか冷たい気がした。
Aさんは気になって、
もう一度「あの件なんですけど…」って話しかけたら、
上司から「その話はもういいから」って言われてしまったそうです。
Aさんは、すごく真面目で誠実な方なんです。
だからこそ「誤解されたままにしたくない」と思ったんですよね。
「ちゃんと伝えれば、わかってもらえるはず」って。
その気持ち、すごくわかるんですよ。
誤解されたまま関係が続くのって、しんどいですよね。
ちゃんと伝えたいと思うのは、当然のことなんです。
ただね、すごく切ない話なんだけど、
人って「説明された」とき、中身が正しいかどうかに関係なく、
「自分の判断を否定された!」って感じてしまうことがあるのです。
これは誰が悪いとかじゃなくて、
人間関係の仕組みとして、そうなりやすい。
説明している側は「正しい情報を伝えている」つもり。
でも受け取る側には「あなたが間違っている!」ってメッセージに聞こえてしまう。
どっちも悪くない。
でも、ここにすれ違いが生まれてしまうんですよね。
この方の話を聞いていて、私も胸が痛くなりました。
だってこの方は、何も間違ったことをしていないんです。
誠実に向き合おうとしただけ。
それなのにうまくいかなかった。
…実は私も、昔は同じことをやっていたから。
「ちゃんと伝えればわかってもらえる」って信じて、何度も説明しちゃう。
でも説明するたびに相手の表情が曇っていくのを見て、
「あれ…なんか違った…?!
」って、怖くなる。
その頃の私は、「伝わらない」が怖かったんだと思います。
伝わらないと、自分が否定されたように感じてしまうから。
でも、ある時、気づいたのです。
「あ、私これ、相手のために説明しているんじゃなくて、
自分が安心したくてやっているんだな」って。
誰かに「あなたは間違っていないよ」って
言ってほしかっただけなのかもしれない。
そう気づいてから、誰かに誤解された時に、
自分にひとつだけ聞くようにしています。
「これを説明しないと、私に何か実害はある?」って。
「実害」というのは、仕事の進行に支障が出るとか、お金の問題が生じるとか。
そういうレベルの実害があるなら、伝えたほうがいい。
でも「相手に悪く思われたまま」は
…つらいけど、実害ではないです。
実害がないなら、「今は伝えない」を選んでみる。
…って書くと簡単に見えるけど、これ、最初はすごく怖かった。
でも不思議なことに、説明しなくても関係が壊れないことのほうが多かったです。
むしろ、何も言わないほうが、自然と元に戻ることもありました。
その女性にもこの話をしました。
次のカウンセリングで「一回だけ、説明しないままにしてみました!」っておっしゃっていました。
そしたら、相手のほうから普通に話しかけてきたそうです。
「説明しない」って決めるのは、我慢じゃないです。
「言わなくても、私は大丈夫」って、自分に許可を出してあげること。
そうできるようになったら、
不思議と、人との関係も楽になっていきました。
「これを説明しないと、私に何か実害はある?」
よかったら試してみてくださいね。
今日の話は、YouTubeでもっと詳しく話しています。
動画で聞きたい方はこちらからどうぞ。
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