心理カウンセラー・公認心理師の栗林あや(いがぐりこ)です。
今日は、三女の中学校の入学式でした。
式が始まって、校長先生や来賓の方々の挨拶で耳にしたフレーズに、
あれ?
と思いました。
そのフレーズは
「これからの時代は、ますます予測困難な時代になります」
という言葉です。
・・・ああ、またか。![]()
なんか最近、あちこちの挨拶で耳にするんだよね。
「これからの時代は、ますます予測困難な時代になります」
実はこの言葉、三女の小学校の卒業式でも、校長先生や来賓の方が言っていたし、
次女の高校説明会でも各高校の先生が言ってたし、
長女の大学見学でも、他でも何度も聞いてきたのです。
いろんな立場の大人たちが、挨拶の冒頭で、必ずと言っていいほどこの言葉を口にしていました。
しかも、そのあとに続くのは、決まってこんな感じ。
「これからの時代は、ますます予測困難な時代になります」
「だから、これまでの常識が通用しなくなってくる」
「君たちには、その厳しい時代を生き抜いていく力が必要です」
気づけば、すっかり「あいさつのテンプレート化」しているようにも思えちゃう。![]()
発言している方々に悪気はなく、むしろ「ちゃんと伝えなきゃ」という責任感から出てくる言葉なのだと思います。
でも…耳にタコができるほど聞いてきた私は、今日、とうとう思っちゃったんです。
ねえ、そんなに未来って、怖いものなの?![]()
そんな「予測困難」を煽らなくてもいいんじゃない?![]()
私たち大人だって、これまでたくさんの「予測できなかったこと」を経験して、生きてきましたよね。
バブル崩壊、リーマンショック、震災、テロ、パンデミック…。
どれも「まさかこんなことが起きるなんて…」と思うような出来事でした。
思えば、私たち(アラフォー&アラフィフ)の人生そのものが「予測困難な時代」の連続だったんじゃないかなって思います。
「未来は思い通りにいかない」っていうのは、今に始まったことじゃなくて、これまでもずっとそうだった。
でも、その中で、私たちはなんとか生きてきたし、笑ったり泣いたりしながら、それぞれの人生を歩んできました。
そう考えると、これからの子どもたちに対して、
「これからの時代は予測困難=だから厳しい」と伝えるよりも、
「だからこそ自由だよ」って伝えたいなあって思います。
変化があるからこそ、選べる道が増える。
これまでになかった職業や価値観が受け入れられるようになって、
誰かの価値観に固定されたレールを歩まなくてもいい時代になってきた。
だからこそ、「あなたの【好き】や【得意】を大事にしていいんだよ」って、
そんな言葉を届けてあげられたらいいな、って思ったのです。
もし式典で、
「これからはもっと自分の道を自由に選べる時代です。だからこそ、自分のやりたいことや好きなことを見つけていきましょう」
って言ってもらえたら、
子どもたちだけじゃなく、親もきっと安心できると思うんですよね。
緊張の中にいる子どもたちにとっても、それは大きな励ましになりますよね。
私は心理カウンセラーという仕事をしています。
たくさんの人の悩みや葛藤、人生のストーリーに寄り添ってきました。
その中ですごく感じているのは、
人は「これからどうなるかわからない」と思った瞬間、不安よりも『想像』が働きやすくなるってこと。
未来が見えないからこそ、良くも悪くも、心の中に『物語』を作り始めるのです。
で、多くの場合、その情報元が、「これからどうなるかわからない」を「ネガティブなニュアンス」で伝えたら、
なんとなくそのままそのレールに乗って『暗い物語』を作り始めてしまうものなのです。
だからこそ、「予測困難な厳しい時代」という言葉を何度も浴びることで、
子どもたちが「望まないストーリー」を無意識に抱えてしまわないかが、ちょっと気になります。
たとえば、「そうなんだ・・・僕らはこれからツライことを乗り越え続けなきゃいけないんだ」とか、「どうせうまくいかないんだろうな」とか。
そういう思いが、種のように心に残ってしまうことがあるから。
私は、言葉って「小さな呪文」みたいなものだと思っていて。
何気なくかけられた言葉が、じわじわと心の中に染み込んで、やがて本人の選択や行動にまで影響を及ぼすことがあります。
だから、入学式という節目の場でかける言葉は、できれば、もっと子どもたちの「これから」を励ますものであってほしいなあって。
ちなみに私は、子どもにこういう言葉をよくかけます。
「なにが起きても、あなたなら、きっと乗り越えていけると思う」
これは、私自身が親として、そしてカウンセラーとして、目の前の人を見て信じていることです。
未来はたしかに予測できません。
だけどそれって、悪いことや、つまらないことじゃなくて、
『可能性がある』ってことなんじゃないかなと私は思っています。
どんな時代であっても、子どもたちには自分の人生を信じて歩んでいってほしい。
そのために、私たち大人がかける言葉には、あたたかさと希望を込めていきたいな。
それからもうひとつ。
私は、学校という場が、たくさんの想いや配慮で成り立っていることを、保護者としても、カウンセラーとしても実感しています。
校長先生や先生方が、子どもたちの未来を本気で考えてくださっていて、本当にありがたい。
だからこそ今回気づいたことは、誰かを否定したり責めたいのではなくて、
「私たち大人が子どもにどんな言葉を届けられるか」を、いっしょに考えていけたらいいなぁ…という願いを持ちました。
未来は不安じゃなくて、きっと面白い。
そう思える声かけを、これからも大事にしていきたいな、と思った入学式でした。
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