アメリカの感染症対策トップの「アンソニー・ファウチ博士」は、最近では苛立ち(いらだち)を隠せないようです
7月25日には、次のように発言をしていますね
従来株より感染力の強い「デルタ株」が、ワクチン接種率の低い地域での感染を急増させている・・・
米国における新型ウイルス感染の状況について、「ワクチンを受けていない人の間で
パンデミックが起きつつある」・・・と述べているそうです
また、最近では、オンライン記者会見で
「追加の3回目の接種によって、抗体のレベルが少なくとも10倍になる」・・・と3回目の接種の推奨に方針を変えているようです
こんな状況の中で、ビル・デブラシオ・ニューヨーク市長は、先日の8月16日に以下のような発表をしています
その内容は・・・
ニューヨーク市内で、屋内飲食、屋内ジムやフィットネスセンター、屋内の娯楽施設などを利用する12歳以上の者と、それらの対象施設の従業員に対して、17日から、最低1回の新型コロナウイルスのワクチン接種が完了した証明の提示を義務付ける・・・という厳しいものでした
ワクチン接種の証明方法としては、
(1)市の新型コロナウイルス安全アプリ
(2)エクセルシオール・パス(ニューヨークによる電子証明)
(3)米国疾病予防管理センター(CDC)発行のワクチンカード
(4)市によるワクチン記録
(5)市外、国外で発行された正式なワクチン接種証明
などが証明書として、使用可能となるようです
米国以外で接種を受けた場合は
接種証明に【氏名】【生年月日】【ワクチン名】【接種日】【接種施設名または提供者の氏名】が記載されている必要となるのですね
どのようなワクチンであればよいのか?・・・ということも詳細に発表されています
現在のところ、その種類は世界保健機関(WHO)で承認されているもののみが有効で、
米国内で接種可能な「ファイザー」「モデルナ」「ジョンソン・エンド・ジョンソン」などのワクチンに加えて
「アストラゼネカ」「シノファーム」「シノバック」「セラム・インスティトュート・オブ・インディア(SII)」製のいずれかと決められているようです
「シノファーム」、「シノバック」は、馴染み(なじみ)のない方も多いと思いますが、中国国内で製造された新型コロナウイルスの「不活化ワクチン」となりますね
もちろん、現時点において、新型コロナウイルスのワクチンは不足気味(ふそくぎみ)なのかもしれませんが、充分な量のワクチンが確保できる状況になる日もくるのだと思います
その時のために・・・すべての医療者や専門家は「mRNA(メッセンジャー・アール・エヌ・エー)ワクチン」とは、どのようなものか?・・・ということを正確に、そして、分かりやすく説明していく必要があるのかもしれませんね
それでないと・・・海外の地を訪れることもできなくなってしまうかもしれないなあ〜なんて、思ったりもします
もちろん、ワクチンの接種は「個人の自由な意思」で決めるべきだというのは当然なのですが・・・ね
「コットン(cotton)」の花言葉のひとつに「繊細(せんさい)」という言葉がありますが、ここから先の時代は、まさに「きめ細やか」な手法を用いて、また、多くの綿密(めんみつ)な計画を用いての方法で、1歩、また、1歩と世界の情勢を見ながら、新型コロナウイルスに対する対策を行っていく必要があるのかなあ〜なんて、考えたりもします
素敵な1週間をお過ごしください![]()
それでは、また![]()
<ブログ後記>8月24日
今回は、ワクチンをめぐる世界の国々の動きやワクチンの接種証明がどのようなものになるのかということについて、お話をさせて頂きました。
新型コロナウイルスの感染症の拡大で、自宅療養を余儀(よぎ)なくされる若者が多い中で、心苦しい感はあるのですが・・・ね。
海外メディアのロイター通信によれば、昨日の8月23日に
【米食品医薬品局(FDA)は、「米ファイザー社」と「独ビオンテック社」が共同開発した新型コロナウイルスワクチンを正式承認した】というニュースがありました。
ファイザー製のワクチンは、昨年12月に緊急使用が認可され、投与されていたのですが、申請から約4ケ月で正式承認されるという、異例の早い承認ということです。
同様に緊急使用が認められている米モデルナとジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンはまだ正式承認されていない状況ですので、1歩先んじて、ファイザー製のワクチンが承認されたということになります。
そこで、今回のブログ後記では「mRNA(メッセンジャー アール・エヌ・エー )ワクチン」とは、どのような原理によるものか?」というお話をしたいと思います。
まず、遺伝子のお話をするときには、最も重要な大原則があります。
どのようなものか?と言いますと・・・
【DNA】→【RNA】→【タンパク質】 という順番は、常に変わらないという原則です
この順番は、不変ですので、【RNA】→【DNA】という順番は存在しないことになりますね
これを分子生物学・遺伝学では、「セントラル・ドグマ」と呼びます
「ドグマ」という言葉は、宗教的なものでは、宗教・宗派独自の「教理・教義」となりますので、すべての現象に共通する「大原則」ということになります。
下の図1.は、通常のタンパク質がどのように作られるのか?・・・を示したものです。
黄色の丸い図の部分が、細胞の「核」を示していますし、その外の楕円(だえん)は、細胞質を示しており、これらすべてで1つの細胞を
示していることになりますね
まず、黄色い丸い図の部分・・・「核」を見て見ますと・・
中には「DNA(ディー エヌ エー)」があります。
核には小さな穴が沢山(たくさん)開いて(あいて)います
これを核孔と呼ぶのですが、この穴をDNAは通り抜けることは不可能なのです。なので、DNAは核の中に固定されていると考えてもよいことになりますね。
では、この穴を透り抜けるのは何か?ということになります。
ここで、先ほどの「セントラル・ドグマ」が出てきます
【DNA】→【RNA】ですね。 RNA(アール・エヌ・エー)は、
2本鎖(にほんさ)でできているDNAの片方を複製(コピー)したものとなります
【DNA】→【RNA】を「転写(てんしゃ)」と呼びますが、この
RNAのみが、核孔という穴を通過して、細胞質(さいぼうしつ)に出ることができるのですね
一旦、細胞質に出てしまったRNAは、核の中に戻ることは不可能ということになります。なぜかというと細胞の機能には、それを可能にするシステムが存在しないからということになります。
細胞質に出たRNAは「スプライシング」という処理がされ、ここで
はじめて、「mRNA(メッセンジャー アール・エヌ・エー )」になるのですね
処理といっても難しいことはなくて、RNAの数カ所が切断されるというだけです
次に「mRNA(メッセンジャー アール・エヌ・エー )」が細胞質に出ると、「リボソーム」という複合体が付着して、アミノ酸の合成を開始するのですね
セントラル・ドグマのうちの【RNA】→【タンパク質】の部分で、
この過程(かてい)を「翻訳(ほんやく)」と呼びます
アミノ酸の集合体が、タンパク質となりますが、このタンパク質の一部は、細胞質を囲む膜・・・「細胞膜」の表面に出されるのですね
図1.(JTKクリニック 院内説明資料より)
では、ファイザー社の「mRNAワクチン」は?・・・と言いますと
これは、下の図 2. に示すように
ワクチンを接種しますと・・・「mRNA」が、初めから細胞質内に入りますね
もちろん、「セントラル・ドグマ」に従いますので、核孔を通過して、DNAのある核内に入ることはありませんよね。
「mRNA」が細胞質内に入ると・・・図1.と同様に「リボソーム」という複合体が付着して、アミノ酸の合成が開始されるのですね。
このmRNAは、新型コロナウイルスの「スパイク蛋白質」を作る部分のみを切り取っていますので、赤で示す「スパイクタンパク質」が、
ヒトの細胞の表面に出ることになります
図2.(JTKクリニック 院内説明資料より)
東北大学大学院生命科学研究科 元教授の 山本 和生 先生は、ある記事の中で、次のようにまとめていらっしゃいますので、最後にご紹介をしたいと思います。
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(一部、原文のまま、抜粋)
ワクチンRNAが核内に入り込み、DNAの近傍に近づき、遺伝子の書き換えをする可能性について更に考えてみます。
mRNAはDNAではないので、そのままでは組み換えの相手とはなりません。mRNAから二本鎖DNAを作る作業が必要になりますが、普通のmRNAをDNAにする酵素は、ヒトでは見つかっていません。
まとめると、
- スパイクタンパク合成に関わったワクチンmRNAは抗体合成直後に分解される
- ワクチンmRNAは核膜を通り抜けて、核への移行ができない
- ワクチンmRNAを二本鎖DNAに変換するヒトの酵素系が存在しない
- mRNA分解酵素が常に存在しており、ほとんどが分解される。
以上のような理由で、遺伝子の書き換えの岐路に至るはるか以前にワクチンmRNAは分解されます。
追加です。ワクチンmRNAが発がんに関わるという考えは、ヒトがん遺伝子や癌抑制遺伝子の書き換えの結果として、発がんに至るという考えです。遺伝子書き換えの可能性がない以上、癌に関わる遺伝子の書き換えはできないと言うことになります。
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今回も最後までお読みいただきまして
ありがとうございました![]()
(筆者撮影)
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理事長、院長 小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara) 医学博士 日本内科学会認定医 緩和ケア医療医
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