今はこむと
いひしばかりに
長月の
有明の月を
待ち出でつるかな
素性法師
男が女の立場に立って詠んだ歌。
今すぐに来るよと
あなたが言ったばかりに
九月の有明の月が
出るまで待ち続けてしまいました。
・長月
陰暦の九月。
現代では十月から十一月。
・有明の月
陰暦十六日以降の、夜明け方になっても空に残っている月。
・待ち出でつるかな
待ちの主語は自分。
出でつるの主語は月。
女性を一晩中待たせた歌ですが、
男が詠んだ歌なので男に寛容な言い回しになっているようです。
◯山口志道の解釈
今すぐに来ると言ったわよね?
来ると言ったのは本当かしら
もし来ないのなら嘘だったってことね。
そうとも知らず
この長月の長き夜を
今か今かと思って
終いには有明の月を
待ち明かして
見れば有明の月が
照りて、照らしがいもなく
私も待ちて、待ちしがいもなく
つれないものだなあ。
・有明の月
光薄く照らして照りがいも無い月
例)
・新古今集
今来むとちぎりしことは夢ながら
見し夜に似たる有明の月
・後拾遣
夜をこめてかへる空こそなかりつれ
うら山しきは有明の月
◯一般的な解釈と志道の解釈の違い
細かい違いありますがだいたい同じですね
◯素性法師(そせいほうし)
九世紀後半から十世紀初頭の人。
俗名良岑玄利(よしみねのはるとし)
三十六歌仙の一人。
僧正遍昭の子。
◎陰暦9月の16日以降って言うと
今の11月の頭くらいでしょうか。
そんな時期に一晩中待ち続けるなんて。
それだけ相手の男性のことが好きなんですね。
僕もそう思ってくれる女性と一度くらいは・・・![]()
この百人一首シリーズでは江戸時代の国学者、山口志道著「百首正解」を現代人にもわかるようまとめています。
山口志道は言霊や神代学に精通しており、ひふみ神示の岡本天明や合気道開祖の植芝盛平、大本の出口王仁三郎らに多大な影響を与えています。
鷹屋敷洋史
参考図書
・「百首正解」山口志道
・「原色小倉百人一首」文英堂
鈴木日出男 山口慎一 依田泰 共著
・「ちはやと覚える百人一首」講談社
漫画 末次由紀 著 あんの秀子
・「千年後の百人一首」リトルモア
清川あさみ+最果タヒ

