NCNP・小牧氏 

DMD治療薬・エレビジス 

全国10例超に投与 


専門医の助言体制機能も

病院負担が課題



国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の小牧宏文氏は6月17日、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子治療薬・エレビジスの説明会(中外製薬主催)で講演し、エレビジスは2月の発売以降、全国で10例超に処方されたと報告した。





米国での死亡例を受け、安全対策強化の一環として、専門医によるエキスパートパネル「BRIDGE-NMD」への全例登録及びネットを介した医学的助言体制を構築。


小牧氏は、「(助言体制が)順調に進み、産官学で良い連携が取れている」と述べ、モニタリングがしっかり行われているとの認識を示した。


一方で、多くの専門医の関与やカルタヘナ法に基づく廃棄対応などによる病院負担が課題になっていると指摘。


「少なくとも黒字にはなっていない」と訴え、持続可能な体制への対応を求めた。


エレビジスは2025年5月に、DMD患者のうち


▽抗AAVrh74抗体が陰性

▽歩行可能

▽3歳以上8歳未満


――の全てを満たす患者に対する再生医療等製品として、条件及び期限付き承認された(期限3年)。


ただ、その翌月の6月に、米国で歩行不能な15歳及び16歳のDMD患者2例で急性肝不全で死亡したことが報告され、日本では産官学が連携して安全対策を一層強化することになり、承認から発売まで約9カ月を要した。


◎エキスパートパネル「BRIDGE-NMD」 小児神経や小児肝臓内科などの専門医で構成


安全対策では、厚労省が患者選択基準の厳格化やモニタリング体制の強化などを義務付ける課長通知を発出。


これを受け日本小児神経学会が主導する形で適正使用指針の策定、投与施設の認定、連携体制の構築、副作用マネジメント体制など安全対策の基盤を整備した。


米国での死亡例報告の前から構想があったというエキスパートパネル「BRIDGE-NMD」は、小児神経、小児肝臓内科、小児肝臓外科、小児循環器、小児免疫、小児腎臓内科、小児血液内科の医師で構成される専門家チーム。


Medii社のプラットフォームを用いて、エレビジス投与患者の主治医/院内他科医/地域のフォローアップ医からの情報共有・相談に対し、専門的な助言を行う。


今回、全例登録を義務付けており、急性肝不全や血栓性微小血管症、免疫介在性筋炎――といった重篤・稀少な副作用リスクに対応する。



◎小牧氏 「十分な安全体制を講じた上で先駆的治療を提供することが我々の役割」


小牧氏は、米国での死亡報告などを受けてエレビジスの承認・上市に慎重意見があり、「(エレビジスの)治療は受けませんという方も当然おられる」と話す一方、「こういった状況も踏まえて治療にチャレンジしたいという方もいる」と言い、「十分な安全体制を講じた上で先駆的治療を提供することが我々の役割だと考えている」と述べた。


「BRIDGE-NMD」には24時間いつでも相談が可能で、モニタリングを含め「今のところ順調に稼働できている」と語った。


ただ、「医師や病院に非常に負荷が大きい仕組み」だとも指摘した。特に患者情報の登録やそれぞれへの回答は「かなり手間がかかる作業」であり、「見えない人件費がかかっている」と訴えた。


加えて、カルタヘナ法に基づく廃棄対応の際に用いるPPE(個人防護具)などの消耗品費や人件費もかさんでおり、「かなり多くの人的リソースを割いている。


病院は少なくとも黒字にはなっていない」と強調した。


26年度診療報酬改定では、カルタヘナ法対応の加算が新設されたが、「正直なところ十分な額ではない」と指摘。


「(エレビジスによる治療の)持続可能性をどのように担保していくのかは大きな課題になっている」と述べた。



エレビジスはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベースの遺伝子治療薬。


DMDは、筋肉にかかわるタンパク質であるジストロフィンの産生に影響を及ぼすDMD遺伝子の突然変異が原因で発症する。


エレビジスは、標的とする骨格筋、呼吸筋及び心筋において、短縮型ジストロフィンの発現を介し、DMDの原因に働きかけるようデザインされている。


静脈内に単回投与する。薬価が1患者あたり3億497万2042円と高額なことでも話題になった。



ミクスOnline 2026/06/18 04:51

https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=80405




副反応は避けられません

安全対策は大切で大変だとも思います


頑張ってください