NY生まれNY育ちのウッディ・アレンが映画の舞台に選ぶのは、いつもNYだった
NYとジャズをこよなく愛している彼は、ほとんど旅行もしないのだとか。そもそも飛行機が大の苦手で、映画のPRで諸外国に行くなんてもってのほか
愛するNYで静かに暮らすのが彼の最上の幸せなのかもしれない
そんなウッディ・アレンがなんと、ヨーロッパへと移行し始めている
その記念すべき第1作が、ロンドンを舞台にした「マッチポイント」だった。その後、「それでも恋するバルセロナ」でスペイン、「ミッドナイト・イン・パリ」でフランス、新作でまだ日本未公開の「To Rome with Love」でイタリアと、絶好調でヨーロッパを撮り続けている![]()
「恋のロンドン狂騒曲
」はその名の通り、イギリスはロンドンが舞台
「ミッドナイト・イン・パリ」もそうだったけど、ウッディ・アレンは街を美しく撮るのが巧い
おまけに、一目見てどこの街で繰り広げられているのかすぐ分かってしまう。おそらくその街が持つ魅力をよく把握していて、その「色」を心得ているからなんだろうな
パリの色、スペインの色、そしてロンドンの色
ストーリーは極めて明解かつ爽快で、いろいろなカップルの間に亀裂
が生じ、いろいろな男女の間に恋愛感情が芽生える。それをおもしろおかしく描いている
女の嫉妬やプライド、男の純情や愚鈍、誰もが笑いながら頷いてしまうようなコミカルなシーンが度々あって、最後まで飽きることがない。中でも、アトリエのボスであるアントニオ・バンデラスが、秘かに彼に恋心を抱くナオミ・ワッツの直球質問に対してすっとぼけ続けるのが最高
そうそう、男ってはぐらかすのが天才よねってな感じです
イギリスのロンドンが舞台ということで、英語はバリバリのイギリス英語しかし、イギリス国内でもいわゆる英語の訛りは多々ある。この映画の中でも実にバリエーションに豊んだ英語が出てくるのでオモシロイ
中流階級育ちのサリー(ナオミ・ワッツ)はとてもきれいな標準英語、彼女の旦那ロイ(ジョシュ・ブローリン)はアメリカ人なのでアメリカ英語、サリーの父親アルフィ(アンソニー・ホプキンス)の恋人シャーメインはいかにも育ちがよろしくないコックニー(Cockney)、出版社のエリートはBBCのアナウンサーが話すようなエリート英語、サリーが発掘した現代アーティストの女性は北イングランド英語、といった具合に英語を聞くだけで彼らがどのような位置で描かれているのか分かるというわけ
ところでウッディ・アレンは舞台をヨーロッパに移したとはいえ、必ずアメリカ人を主軸にするんですよね
「ミッドナイト・イン・パリ」ではハリウッドでの仕事にウンザリしているアメリカ人(オーウェン・ウィルソン)、「マッチポイント」では主人公を翻弄する魅惑的だけどバカなアメリカ女(スカーレット・ヨハンソン)、「それでも恋するバルセロナ」はアメリカ人の女の子2人組みがスペインに旅行に来た設定となっている。
さらに面白いのは、これらの英語圏の人物はみな英語圏ではないヨーロッパ人に恋しているのだ
例えばこの映画だと、サリーは上司のグレッグ(スペイン人)に、ロイは隣のマンションのディア(インド系イギリス人)に恋をする
これは大いに頷ける話
なぜなら英語圏の男女は、英語圏ではない国の人が話す英語をセクシーに感じることがあるからね
特にフランス人が話す英語はキュートに響くらしい。これ、ヨーロッパに住んだことがある人は分かると思う。日本で言うと、大阪弁がセクシーだという感覚かしらね
「恋のロンドン狂騒曲」は日比谷シャンテで公開中です。


