わたしたちが日常で、「情報」に触れるとき、それは「考えている」ときです。ニュース番組、雑誌の対談記事、新聞のコラム…。活字を読みながら、頭を使います。
「考える」のと対照的なのが「感じる」こと。
よく「考えるより感じなさい」というのを聞かれたことがあると思います。「感じる」経験は、茶室であれば意識しなくても、五感をめいっぱい使えます。
五感は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、そして触覚のこと。
茶室での五感について、それぞれを見ていきましょう。
【視覚:目で見える】
先生のお姿が目に入ります。
それから、床の間の掛け軸、花入れや花。
既に来られている他のお弟子さんたち。
【聴覚:耳で聞こえる】
お湯が沸いている音。
雨、風、木の葉が揺れる音。
障子を開けたり閉めたりする音。
【嗅覚:鼻に入る匂い】
炭とお香の混ざった匂い。
雨の日は雨の匂いもしますね。
冬の葉の枯れた匂い。
【味覚:口の中で味わう】
優しい甘さの和菓子。
苦くは感じない抹茶。
時にお白湯もいただきます。これが最高に美味しい。
【触感:触れるもの】
正座した足にさわる畳の感触。
お茶碗のツルツルやざらつき。
棗の漆塗りのなめらかさと柔らかさ。
それぞれの感覚で3つずつ挙げていて、これらはほんの一部です。
お茶って本当に贅沢、豊かだなと思いますね。
茶室に座るだけで、カッテに五感がはたらくのですから。
「五感を研ぎ澄ます」という言い方がありますが、研ぎ澄まさなくても、「五感が冴えて」いるのが、茶室では当たり前な状態です。
趣味や習い事の全般で言えることだと思うんですが、頭で考えると、楽しめないというのがあります。
なぜ点前はこの順番なのか。こんなに丁寧に、帛紗で棗を清める必要があるのか。なぜこの位置に道具を置かなくてはいけないのか、などですね。考えれば考えるほど、手が止まります。
不思議なんですが、点前をするとき考えるとスムーズに流れていきません。集中して手の向くままに点前をしていると、すんなりとお茶を点てられます。
情報があふれすぎるほど、あふれている現代社会。頭を使うことが多くなっているようです。
体全体を使う五感も使って、生きるバランスをとっていきたいですね。
あなたも、お茶の稽古を始めてみませんか?
