入院生活は退屈だと聞いていた。

自分自身もそうだろう。と、思っていた。

入院生活は退屈ではない。

 院内には語り部が存在する。

語り部自身も入院患者だ。

よく病気の内容を熟知している。

院内の動向を知っている。

自分の解釈を加えて話す。

 院内では死亡が発生する。

死亡した部屋などを詳しく話す。

語り部の思惑も巧みに入れている。

 ある夜、暗い廊下を歩かねばならなかった。

語り部の話が蘇っていた。

恐怖は全身を襲っていた。

語り部が話していた場所に来た。

なんだか予感めいた気持ちが持ち上がった。

病室の入り口を観ている。

廊下側から白いカーテンが開いた。

何かが入った。

正体は判らない。

カーテンが持ち上がり、何かが入った。

 私は、ナースステーションに駆け込んだ。

 

 「かぎろい」と紫陽花

おわり