人間関係がこじれるとき
ベストセラー書籍である、『自分の小さな「箱」から脱出する方法』ってご存じですか?
「箱」といっても、段ボール箱に入る研修ではありません(笑)。
この本でいう「箱」とは、
自分では気づかないうちに、相手を一人の人間としてではなく、
「私を困らせる人」
「分かってくれない人」
「仕事のできない人」
「言っても変わらない人」
という、自分の中でつくった役割を通して見てしまう状態のことです。
この「箱」の中に入ると、私たちは相手の事情や気持ちが見えにくくなるんです。
その代わりに、
「私はこんなに頑張っている」
「私は悪くない」
「問題は、あの人にある」
という証拠ばかりが目に入ってきます。
心理学では、自分の考えを裏づける情報ばかりを集めてしまうことを「確証バイアス」といいます。
一度、
「あの人は無責任だ」
と思い始めると、相手がきちんとやっていることは目に入らず、できていないことばかりが気になってしまう。
そして、ちょっとしたことでも
「ほら、やっぱり無責任!!」
と、自分の考えが正しかったことを確認するのです。
怖いですね(笑)。
本当は相手に変わってほしいと言いながら、心のどこかでは、
「やっぱり、この人は変わらない」
という自分の物語を守ろうとしていることがあります。
なぜなら、自分の見方が間違っていたと認めるのは、少し居心地が悪いからです。
さらにいうと、心理学には「認知的不協和」という言葉があります。
たとえば、
「私は思いやりのある人間です」
と思っている自分が、誰かに冷たくしてしまったとき。
そこには、自分のイメージと実際の行動との間に矛盾が生まれます。
その矛盾を認めるのは苦しいので、
「あの人の態度が悪かったから」
「何度言っても分からない人だから」
「私を怒らせた相手が悪い」
と、理由をつくって、自分の行動を正当化したくなります。
認めることはいやだけど、あるあるですよねえ・・・・
そうやって私たちは、ますます「箱」の奥へ入っていくのかもしれません。
人は時として、自分の中にある認めたくない感情を、相手のものとして見ることがあります。
自分が相手を警戒しているのに、
「あの人は私を警戒している」
と感じたり、
自分が相手を否定しているのに、
「あの人は私を否定している」
と感じたりする。
これを心理学では「投影」といいます。
うわ~~~これもあるよね~~(書いていて自らを振り返る私)
もちろん、相手が本当に冷たいこともあります。
相手に問題がある場合もありますけど(笑)。
何もかも、
「自分の受け取り方の問題です」
としてしまう必要はありませんよ!
それでは、自分を大切にすることができなくなります。
ただ、人間関係がこじれたとき、
相手を分析する前に、ほんの少しだけ、自分の内側を見てみる。
私は今、事実を見ているのだろうか。
それとも、自分のつくった物語を見ているのだろうか。
私は、この人を一人の人間として見ているだろうか。
それとも、
「役に立つ人」
「邪魔をする人」
「私を満たしてくれる人」
として見ているだろうか。
そんな問いを持つことが、とても大切なのだと思います。
マインドワーク®でも、
「感情と事実を分ける」
ということを大切にしています。
実際に相手が言った言葉と、
そこから私が感じたこと。
相手がした行動と、
その行動に私がつけた意味。
それは、同じものではありません。
でも、感情が強く動いているときほど、私たちは自分の解釈を事実だと思い込みます。
「あの人は、私を大切にしていない」
「あの人は、私を軽く見ている」
「あの人は、わざとやっている」
けれど、本当にそうなのでしょうか。
もしかすると、その人にも、私には見えていない事情があるかもしれません。
不安を抱えているのかもしれない。
余裕がないのかもしれない。
何をしたらよいのか、分からないだけかもしれません。
箱から出るということは、
何でも相手の言うことを聞くことではありません。
相手に合わせて、自分を我慢させることでもありません。
必要なことは伝えていい。
違うことは、違うと言っていい。
距離を置くことが必要な場合もあります。
ただ、そのときにも、
「この人はダメな人だから」
ではなく、
「この人にも、その人なりの世界がある」
ということを忘れないようにしないと、です。
相手を悪者にしなくても、自分を守ることはできます。
自分を正当化するために、相手を小さく扱わなくてもいいのです。
学んだからといって、いつも箱の外にいられるわけではありません。
私も、
「あ。いま、しっかり箱に入っていたな」
と思うことがあります(笑)。
でも、気づけば、出ることができます。
そして、また入ったら、また気づけばいい。
大切なのは、箱に入らない完璧な人になることではなく、
自分の見方が狭くなっていることに気づき、何度でも選び直すことなのだと思います。
人間関係がうまくいかないとき、
私たちは、相手を変える方法を探しがちです。
けれど、その前に、
「私は今、どんな箱の中から、この人を見ているのだろう」
と、自分に問いかけてみる。
相手を見るまなざしが変わったとき、
同じ相手、同じ出来事であっても、見える世界は少し変わります。
人を変えるためではなく、
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