八界説
五界説における原生生物というくくりは、植物、菌、動物ではない「その他」的なくくりであって、分類群としては非常に雑多であるという面がある。これに手をつけたのが、キャバリエ=スミス (1987) である。彼は、原生生物界をクロミスタ界、アーケゾア界、原生動物界に3分し、八界説を提唱した[2]。クロミスタ界はワカメなどの褐藻植物を含む黄色植物やハプト藻類、クリプト藻類などの藻類および、それらと近縁だが2次的に葉緑体を失った(とキャヴァリエ=スミスが考えた)生物である。アーケゾア界はミトコンドリアを持たない生物である。原生動物界は動物的単細胞由来のもののうち胚分割しない生物である。
この場合、真核生物は、動物界・菌界・原生動物界の3つの従属栄養生物群と、植物界(紅藻を含む)とクロミスタ界の2つの独立栄養生物群に分けられる。ただし、クロミスタ界には卵菌類やラビリンチュラのような従属栄養の生物群が含まれる。これらに加え、古細菌・真正細菌の2つの原核生物の界がある。しかし、この分類は一部の専門家以外には広く使われなかった。キャヴァリエ=スミスが仮定した進化史が必ずしも正しくなく、アーケゾア、クロミスタ、原生動物の単系統性が疑わしかったためである。実際、アーケゾアと原生動物は単系統ではなかった(クロミスタについては現在[いつ?]も結論は出ていない)。
修正六界説
しばらくすると、ミトコンドリアを持たない生物はもともと持っていなかったものに加え、退化的にミトコンドリアを喪失したものもあることが指摘され、アーケゾア界というくくりに意義がなくなってくる。また、現在から見れば逆行であるが、真正細菌と古細菌の違いは本質的でないとの説も現れた。そのため、キャバリエ=スミス (1998) は、アーケゾアを原生動物に含め、真正細菌と古細菌を細菌に再統合した修正六界説 revised six-kingdom system を唱えた。
真正細菌と古細菌は分離したままの七界説などもあった。
五界説
五界説は、1969年、ロバート・ホイタッカーが提唱した分類法である。その分類は栄養生産の違いに基礎を置いている。多細胞の独立栄養生物(生産者)を植物(界)、多細胞の従属栄養生物(消費者)を動物(界)、多細胞の腐食栄養生物(分解者)を菌(界)とし、単細胞生物と単純な群体性の細胞の生物は、原生生物界・モネラ界に含まれた。
1980年代の分岐分類学の発展により、動物界・植物界・菌界の単系統性の再評価がなされた。1982年、リン・マーギュリスによって、それまでの植物からすべての高等藻類、菌類から粘菌類・卵菌類を原生生物界へと移す提案がなされた。ただしこの変更により、原生生物はますます雑多な生物の寄せ集めとなった。
五界説は一般的な標準となり、いくらかの修正を経て現在[いつ?]でも多くの論文に採用されている。またそれはより新しい界区分の基礎となった。
界(かい、英: kingdom、羅: regnum)は、生物分類のリンネ式階級分類における階級の1つである。界の上に上界、下に亜界・下界を置くことがある。界は基本的階級(必ず置かなければならない階級)の1つで、基本的階級のうち最上位に位置するが、近年では界の上のドメインを基本的階級とみなすことがある。
界は長らく、(基本的階級以外を含めても)最上位の階級で、動物界と植物界の2つのみが認められてきた(二界説)。この考えは現在でも一般社会では広く通用している。しかし、19世紀末からさまざまな界が新設され、特に20世紀末以降は、界分類の再編が日常的に唱えられている。現在[いつ?]は10前後の界を置くことが多いが、分類の前提となる系統の段階で諸説あり、一致には遠い。
界(分類学)より



