まず、脳内の「扁桃体」について書きます。
論文の引用ではありませんが、WEBで、簡単に描かれた図を見つけたので、紹介します。
「扁桃体」はアーモンド形で、下の図では緑色で示されています。
(Autism Understood のページより 一部改変)*1
Amygdala が 扁桃体
Limbic が 大脳辺縁系
(neo) Cortex は 大脳(新)皮質
Brain stem は 脳幹
「Amygdala(扁桃体)」
辺縁系に含まれますが、ここでは独立させて紹介しています。*2
Dino Brain(恐竜脳)とか、lizard brain(トカゲ脳)と称されることもあるようです。
たとえば、草地で、細長くくねったものを見た時に、
「ヘビだ!」と瞬時に危機認識するのが扁桃体です。
そのあと、大脳(新)皮質が「なんだホースか」と判断してくれれば、
'panic monkey'(辺縁系)が騒ぎ出さずに済みます。*3
扁桃体は、
不安と関係すると、よく言われています。 *4 *5
ところで、
「扁桃体の障害が、自閉症の発症と関係する」、と言われることがあります。 *6
自閉症の幼児は、扁桃体が大きい(青年期以降はそうではない)という報告もあります。*7 *8
よく誤解されるのですが、
大きいからといって、機能が高いとか、仕事量が多いとか、そうとも限りません。
そして、
扁桃体の機能異常が自閉症の原因、というほど単純な話ではないかもしれません。
扁桃体は、脳内の他の部位とつながっているわけですから、*9
扁桃体そのものではなく、
扁桃体から脳内の他の部位に(または扁桃体に向かって)
情報が伝達されるネットワークの、どこかの問題かもしれません。
さて。
私が扁桃体について書いたのは、次のページの記載を見たからです:
癇癪は、大脳新皮質で起こり、
メルトダウンは、大脳辺縁系で起こる。 *10
メルトダウンって、ご存じですか。
(ここでは、福島原発事故の「炉心溶融」とは、別の話になります)
それは、子どもにとっての「過負荷」によって起こる、感情の爆発です。
日本では、癇癪やパニック(年長児の場合)と、ほぼ区別されていません。*11
例えば、「玩具が欲しくて泣き続ける」のが、本来の「癇癪」で、
玩具をもらえればそこで終わります。
意識的で目的があるので、新皮質で起こるというのですね。
いっぽう、メルトダウン*12 は、生命の危険を感じて泣き続ける、といったことで、
たとえば、「安心できるルーチンが崩れたため」、とか、
感覚過敏のため、などで起こります。
親が気にならないような音が非常に不快で泣く、ということが、ありえます。
「ヘビが怖くて泣く」のも同じことで、'panic monkey'(辺縁系)によって起こると考えます。
ですので、自閉症の子どもさんが泣き続けているような時、
その理由を知ろうとすることなしに、
すべてを問題行動(癇癪)として、療育者が「消去」だけで対応してしまう、ということがもしあれば、
子どもさんを損ねてしまう可能性があります。
「行動(泣き止まない)」の前に何があったか、何が原因で泣いているのか、理解しようとすること、
もし「メルトダウン」であれば、その原因を、取り除いてあげてください。
落ち着ける場所を、見つけてあげてください。
理解しようとする姿勢を、忘れないで欲しいと思います。
それが、子どもさん一人一人を大切にすることに、つながると思います。
私は、個人的に、ですが、
自閉症のお子さんが泣き止まないのは、新皮質よりも辺縁系の関与が大きいように感じます。
それは、たとえば、自分の気持ちや欲求を、上手く言葉で相手に伝えられないためであっても、
生命の、強い不安を感じて泣くのかもしれないと思えるからです。
不安にも、種類があって、
自閉症児特有の不安(Autism-specific anxiety)というものが、あるようです。
*13 *14
不安の種類でさえ、自閉症者は、非自閉症者とは異なる可能性があるのです。
応用行動分析学は、自閉症児に限った学問ではありません。
むしろ、通常の「強化」などのABA的対応が、
定型発達児に比べて「あまり響かない」ような、自閉症児も少なくないとお聞きします。
ですので、
自閉症児に対しては、まずは、
一人一人の特性や、行動の「前」を理解しようとする姿勢が必要で、
それが、よいABA療育の前提になると思います。
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*1.
*2.
*3.
https://www.sciencedirect.com/topics/medicine-and-dentistry/triune-brain
*4.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2882379/
*5.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10108338/
*6.
*7.
*8.
*9.
*10.
*11.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4788642/
米国人のかたが書いた論文ですが、中ほどで、わざわざ「日本では、…」というふうに、記載してくれています。
*12.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3719386/
*13.
*14.







