ナルシストが鏡を見るのは、そこに映る自分を見るためではない。自分を見つめている『鏡の視線』に惚れ込んでいるのだ。
——カール・クラウス(1874-1936)
前回の記事に対するコメントをいただいた中で、たまたま自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)を思いついて返信したものがありました。一晩たって、なかなか面白い観点であるように感じましたので、今回書いてみようと思います。でも、難しそうですねえ・・・。
その前に、お断りしておくことは、私は医者でもなければ心理師でもない、無資格の一般人ですので、おまけに年金暮らしの老人ですので、そんな人間が「自己愛性パーソナリティ障害」がどうのこうの言ったところで、何の価値もないというか、無責任に書きたい放題になりますので、その点はご了承ください。読み物として少しでも面白くなればということですので。
自己愛性パーソナリティ障害といえば、まずはナルシスですよね。ナルシストのナルシスです。ギリシア神話には「ナルキッソス(Narcissus:フランス語読みでナルシス)」という美少年が登場します。あまりにも美しいために多くの者を魅了したのですが、その中の一人、森の妖精「エコー」はナルキッソスに拒絶されて失意のまま死んでしまいます。その他にもナルキッソスに傷つけられた者たちの声が集まり、復讐の女神ネメシスはナルキッソスに「自分しか愛せない」という罰を与えました。
なるほど、それで自惚れて自画自賛している者をナルシストと呼ぶのですね。しかしまた、ずいぶん変な罰ですねえ。どのような発想なのでしょうか。ギリシア人にはそのようなタイプの人が多かったのでしょうか。よく分かりません。
そんなナルキッソスがある日"泉"を覗き込むと、あまりにも美しい少年が水面に映っていました。そうです、それは自分の姿だったのです。そして思わずキスをしようとして水面に身を乗り出したために、泉に落ちて溺れ死んでしまったそうです。その後その場所には水仙の花が咲いたといいますが、それで水仙も「Narcissus(ナルシス)」と呼ぶのですね。
なかなか楽しい話ですね。自分しか愛せない、あまりにも美しい自分の姿に思わずキスをしようとするなんてあり得ませんが、それだけに想像が膨らみます。私もせめて、「俺も見ようによっては捨てたもんじゃない」程度に生まれてきたかったですね。はは。
さて、ギリシア神話のナルキッソスは「ナルシズム(自己愛)」や「ナルシスト(自分自身を過度に愛し、自己陶酔している人)」という言葉を生みました。ググってみると、ナルシズム(自己愛)には以下の特徴があるといいます。
・自己陶酔と自己顕示:自分を過大評価し、他者からの賞賛を常に求める。
・他者への共感の欠如:自分のニーズを満たさない相手を軽視したり、見下したりすることがある。
・傷つきやすさ(脆弱性):心の奥底では自分に自信がないことも多く、批判や失敗を過剰に恐れる。
これをもっと病的な観点から捉えると、精神医学における自己愛性パーソナリティ障害となります。一応定義があります。DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル 第5版)は、アメリカ精神医学会が発行する世界共通の精神疾患・発達障害の診断基準ですが、これによると以下のようになっています。
誇大性(空想または行動における)、賛美されたい欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
1 自分が重要であるという誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)。
2 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
3 自分が“特別”であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達(または団体)だけが理解しうる、または関係すべきだ、と信じている。
4 過剰な賛美を求める。
5 特権階級(つまり、特別有利な取り計らい、または自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待する)。
6 対人関係で相手を不当に利用する(すなわち、自分自身の目的を達成するために他人を利用する)。
7 共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。
8 しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
9 尊大で傲慢な行動、または態度。
何だか難しくなってきたかもしれませんね。もっと平たく言いましょう。自己愛性パーソナリティ障害の中核は、「私は素晴らしい」、「私は美しい」、「私は有能だ」などの自己賛美です。彼らはこれを自分で感じ取るためにあらゆる努力をします。
そのために、「私は米国連邦議会立法調査官だった」「私はカイロ大学を首席で卒業した」などと自己紹介することになります。さぞかし気持ちがいいのでしょう。そのように言えば、周りの人は「へえ〜っ、すごい人なんだなあ」という顔をして自分を見てくれますから。
小泉進次郎なんかもすごいですよね。あのコロンビア大学(世界屈指の超難関大学)で修士号を取得したというのですから、ビックリです。
この自己愛性パーソナリティ障害は実に政治家向きの人格のようです。何しろ自分が称賛されるようなことが大好きですので、人々がどのようなことに対して「すごいなあ」「立派だなあ」「有能だなあ」と言ってくれるかを敏感に感じ取ることができます。
しかも、積極的に行動して、ズバズバと言いたいことを言い、気後れしたり怯んだりしませんから、全く政治家向きです。現在の政治家で自己愛性パーソナリティ障害の典型例はトランプ大統領でしょう。何があろうとも、絶対に引き下がらずに、自分は世界最高・最強のリーダーであることを主張し続けます。へこたれません。
人から称賛されるようなことを行い、口に出すのですから、うまくいっている時には絶大な人気を誇ります。圧倒的にたくさんのファンに取り囲まれます。トランプファンもたくさんいましたね。また、あのヒトラーが自己愛性パーソナリティ障害ではなかったかという説もあるようです。
ヒトラーは人から嫌われる横暴な独裁者ではありませんでした。絶大な人気を誇った結果、権力を手中に収めたようですよ。大衆が何を喜ぶかを熟知していたのでしょう。あまりにも大衆が喜ぶことを追い求めすぎたことが、ナチスドイツの悲劇を生んだという面がありそうです。
トランプもついこの間、イラン戦争が敗戦になると分かった時はかなり怪しかったですね。10分おきに前言を翻すというか、矛盾したことを言うなどの様子を見せました。まるで壊れた機械のようでした。自己愛性人格障害の限界かもしれませんね。何を言っても自分を正当化できなくなったため、いたずらに言葉を重ねるのですが、どのように言ってもピッタリこなかったのでしょう。
危ないのですよ、人気のある政治家というのは。仮に本当に国のことを考えて、真面目に政治に取り組もうとするならば、その政治家の人気はそれほど高くならないでしょうね。国を良くしようと思ったら、不正を排除し、でたらめをしている人を取り除き、中抜きやリペート、賄賂などもやめなければなりませんが、そうすると一部からは非難轟々という状態になりそうです。圧倒的に人気があるというのはどこかに嘘があると思っていいでしょう。
こんにちは。高市早苗です。
「未来は与えられるものではなく、自らの手で切り拓くもの」
「挑戦しない国」に、「未来」はありません。
「守るだけの政治」に、希望は生まれません。
希望に満ちた日本の未来を、ともにつくりましょう。
日本列島を、強く豊かに。
日本人は、こんなのがそんなに良かったのでしょうか。確かに美味しそうな文言が並んではいます。しかし、総論では何とでもいえます。問題は各論なのですよ。消費税はどのようにするのですか? 物価対策はどのようにするのですか? 移民はどうするのですか? 原油の輸入はどのようにするのですか? 中国やロシア、イランなどとの関係をどうするのですか?
世の中は総論では何とでもいえます。個々具体的な事柄をどのようにするかが政治家の真価です。腕の見せ所です。
私としては一番ひっかかったのが中国に喧嘩を売ったことですね。おそらくあれによっても高市人気は高まったことと思いますが、日本にとって何かいいことがありましたか? 日本人の民度の低さにはあきれ返るしかないのですが、嫌いだからといって喧嘩を売っていては、畳の上で死ねなくなりますよ。そんなことも分かりませんか? 日本人は単細胞としか言いようがありません。
中国に喧嘩を売ったのは、ある意味高市早苗の自己愛性パーソナリティ障害がいかんなく発揮されたともいえるでしょう。おそらく今年2月の総選挙大勝の原因の一つにもなったのではないでしょうか。大変な勘の鋭さを見せました。ヒトラー顔負けです。
自己愛性パーソナリティ障害であれば、トランプにしろ高市早苗にしろ、大衆が喜びそうなことはいくらでも言います。いくらでもやります。東大でもコロンビア大学でもカイロ大学でもいくらでも卒業します。米国連邦議会でも、英国下院でも、フランス国民議会でもいくらでも経歴が出てきます。中国でもロシアでもイランでもいくらでも喧嘩を売ります。そんなものなのですよ、人間なんて。
だめです、誰かを信じてしまっては。それじゃオレオレ詐欺の犯人だって見抜けなくなります。何しろ日本人は流行に弱い国民性ですからねえ。そういえば、私の20歳頃のことでしたでしょうか。ミニスカートが大流行しました。老いも若きも女性は全員がミニスカートでした。その前はダッコちゃん? いい時代でしたねえ・・・(遠い目)。高市早苗ブームと違って無害でしたから。
自己愛性人格障害は問題が大きいですからねえ。人を巻き込みます。こんな動画が出回っていたのはご存知でしょうか。【爆笑】高市「私を褒めちぎれ…」その結果w自民党党大会がもはやコントw ぜひご覧ください。自己愛性パーソナリティ障害の片鱗がうかがわれるのではないかと思います。
その他でも、自己愛性パーソナリティ障害を思わせるようなものは、高市早苗の場合は探せばいくらでも出てきますね。とにかく注目されようとしますから材料にはこと欠きません。しかしねえ、高市早苗にしても、吉村洋文にしても、関西ってその程度のものなのでしょうか。きちんとした人もたくさんいるような気はするのですが、どのような構成になっているのでしょうか。
あ、話が逸れました。自己愛性まーソナリティ障害の話でしたね。高市早苗にしても、小池百合子にしても、トランプにしても、自己愛性パーソナリティ障害だからといって、どうなるというものでもありません。ただし、周りが意識して心得ておかないと思わぬところで持って行かれてしまう、気がついたら時すでに遅しとなっているかもしれないですね。ミサイルが飛びますからね。あとは周りの人たちの問題です。
それにしても、自分の国のことを「神の国」と自称し、自分たちの仕掛ける戦争を「聖戦」と呼んだどこぞの国は、民族丸ごと自己愛性パーソナリティ障害かもしれませんねえ。「オ〜イ誰か、冷たい水をバケツで汲んできて、その女の頭からザバッとかけてやれ。少しは目が覚めるだろう。」
