1級ファイナンシャル・プランニング技能士の鬼塚祐一です。
インドの金需要急減を知っていますか?
日経新聞で「インドの金需要が急減し、国内価格が大幅に割安になっている」というニュースが報じられたのをご存知でしょうか。
世界第2位の金需要国であるインドが、貿易赤字対策として国民に購入抑制を求めているためです。
実は、この事実をまだ大半の人は知りません。
だからこそ、一部の敏感な人はこのニュースを見て「金が割安になった!今がチャンスだ」と飛びつこうとするかもしれません。
しかし、その直感に従って全財産を金に換えると、将来大きな後悔をすることになります。
目先の価格だけで飛びつく「点」の投資では、持続的な資産形成はできないのです。
●金は「1円も利息を生み出さない」
「割安だから買う」という発想の裏には、大きな勘違いが潜んでいます。
そもそも金(ゴールド)は「お金を増やす」ための資産ではありません。
金はインフレや経済危機には強い素晴らしい資産ですが、最大の弱点は「1円も利息を生み出さない(永遠の利息ゼロ)」ことです。
株式であれば、企業が利益を出せば配当という形で新たな富を生み出し、複利で雪だるま式に増えていきます。
しかし、金庫に金塊を10年入れておいても、金塊が2個に増えることは絶対にありません。
つまり、金は増やすためのものではなく、株が暴落した時のクッションとして「守る」ためのものなのです。
●ホールケーキを一気食いするような「税金の時限爆弾」
さらに、現物の金には「税金と社会保険料」という時限爆弾が仕掛けられています。
金を売却して利益が出た場合、「総合課税」として他のお給料などと合算されます。
ここで、ある年金暮らしのご夫婦の「リアルな失敗ケース」をご紹介しましょう。
このご夫婦は、自宅のリフォームと温泉旅行の資金にするため、昔買った金を一気に売却して約300万円の利益を出しました。
「これで念願の旅行に行ける!」と大喜びでしたが、翌年の6月に「時限爆弾」が届きます。
国民健康保険料が前年より約30万円もアップし、介護保険料も最高ランクまで跳ね上がってしまったのです。
悲劇はそれだけではありません。
その秋、ご主人が白内障の手術で入院することになった際、金の売却益が原因で「現役並み所得者」と判定されてしまいました。
普段なら1割や2割で済む窓口負担が3割になり、高額療養費の上限額まで引き上げられてしまったのです。
結果的に、旅行で使った金額以上に現金が飛んでいき、奥様は「こんなことなら、金を一気に売らなければよかった」と深く後悔されていました。
まるで、大きなホールケーキを一度に全部食べて胃もたれしてしまうように、一気に現物を売却すると、翌年に保険料増額や医療費アップという痛いしっぺ返しがやってくるのです。
●手取りを最大化する究極の戦略
では、税金と社会保険料の落とし穴を完全に回避し、利益を手元に限界まで残すにはどうすればいいのか。
もし現物を売るなら、年間50万円の特別控除の枠内で「こまめに売却」するのが確実な正解です。
そして、これから金を買うのであれば、現物ではなく、新NISAの成長投資枠で「金に連動する投資信託(サクっと純金など)」を選ぶのが圧倒的に合理的です。
新NISAであれば、どれだけ利益が出ても非課税ですし、社会保険料にも影響しません。
ニュースに踊らされて「点」で投資をするのではなく、税金や出口戦略まで見据えた「線・面」の戦略を持つことが、持続的な資産形成には不可欠なのです。


