【富嶽百景】
太宰治(著)
ニンテンドーDS文学全書
先日読んだ【人間失格】で、太宰に興味を持ったので読んでみた。
彼が、31歳のときに書かれた、紀行文である。
小説ではない。
この翌年に【走れメロス】を書き、9年後に最後の【人間失格】を書き、自殺する。
この辺の、彼の心の動きの変化が、少しでも掴めるかとの期待があった。
読んでみると、思ったよりまともな人間と感じる。
でも、やっぱりひねくれ者でもある。
日本人は富士山というと、まず美しい山との刷り込みがある。
悪く言うはずがないという前提である。
そこを、ひねくれ者の彼は突っついた。
山頂の角度が鈍角であることを指摘し、ナンだボテッとした山じゃないかっと、書き始める。
相当ひねくれている。
だから、富士山をけなしているとの批評があるようだが、そうじゃない。
嫌いだったら、あんなに長く、富士山が見える茶屋に滞在するわけがないではないか。
富士山や、それを取り巻く風景、人間模様を何気なく描いているようで、(ひねくれていはいるが、)自分独自の心で見ていることには、流石に才能あるなと感心させられる。
余談として、津島(旧姓石原) 美知子とのお見合いの話があり、彼の純な感情が表れていて、微笑ましかった。