【コーランを知っていますか】
阿刀田 高著
新潮文庫
2005年12月発刊
またまた阿刀田氏の古典?入門書である。
さすがの阿刀田氏もこの聖典の料理は苦労したみたい。
なぜなら、コーランには物語性が殆ど無いからだ。
しかも、文学の面でコーランが後世に与えた影響は皆無(?)だからだ。
作家として、この本からインスパイアされないのだから、取り扱いは困難を極めるはず。
だが、彼のチャレンジは今回も成功しているといえるだろう。
実際のところ、特に日本人にとって、イスラムの聖典について何が書かれているのか全く知らない。
これほど、現代社会に大きな影響を与える宗教なのに、実体はまるで雲を掴むようだ。
わたしも、イスラム教を少しは理解しようと、2冊ほど読んだことがあるが、全体の感覚を掴むことが出来なかった。
イスラム教について入門書は?と問われれば、まずこの本が一番だろう。
乏しい私の知識でも、ユダヤ教やキリスト教が神と仰ぐ主と、イスラムのアッラーは同一の神であることは知っていた。
何たって、一神教なのだから違っちゃ困る。
ムハンマド(この本ではマホメット)に最初に啓示を与えたのが、天使ガブリエル(ジブリール)であったことも知っていた。
だが、コーランにはモーセ(ムーサー)もイエス(イーサー)も、アブラヒム(イブラヒーム)も、そして何とマリアがマルヤムとして登場し、聖書とかなりの部分オーバーラップしていることを知って、たいへん驚いた。
なんだ、聖書の良い所取りかよ!!コーランって。
神が遣わした預言者は、イエスも含め数々あれど、マホメットが最後の切り札。
コーランが最高の聖典・・・・・っといっていることには、ユダヤ教徒や、キリスト教徒にとっては、面白くないだろうね。
そうなんだ、そーゆーことなんだ!!コーランって。
目からウロコですな。
さらに、コーランは神がマホメットを通じて直接語った言葉を記したもの。(これは知識として持っていた。)
だから、逆らえない最強の切り札。
フーン、上手く考えたものだな。
まあ、一般的に回教徒はエキセントリックなところがある。
ヘタなことを書いたら、命が危ない。
その辺のことを阿刀田氏はかなり慎重に配慮している。
でも、変なところはヘンであるとほのめかしている。
彼の勇気を称えたい。