・・・・・・・っということで、今ごろになって墓参りしてきました。
本来なら去年末に行くべきだったのに。
雪がかなり残っていました。
去年のいま頃は墓地の抽選やら、納骨やらで慌ただしかったのが遠い昔の出来事のようです。
墓石の上に残っていた雪や枯れ葉、ごみなどを柄杓の水で洗い流し、墓地備え付けのブラシでこすり、再び水で洗い流します。
凍っていた花差しの氷を叩きだし、水を入れて一束500円の花束を二束両側に差します。
お線香にライターで火を点け線香皿に乗せます。
さて、これで準備完了。
あとは手を合わせてオヤジとのテレパシー交換を試みます。
オヤジの骨壺は墓下の左隅に納まっています。
いくら念じても、応えてくれません。
当たり前です、オヤジはここには居ません。
千の風になって遥か彼方に飛び去ってしまったのです。
でも、オヤジの肉体は形を変えてぼくの半分を構成しています。
墓地には熱が存在しません。
この広い市営墓地のどこも存在しません。
特に残雪のある今日のような日にはそれを強く意識させられます。
かつて人間だった何千という人々が眠っているのに不思議なことです。
これが死者の団地なのです。
それでもオヤジに語りかけます。
隣の住人と仲良くやっているかと。
お隣さんはオヤジより12歳も若い女性です。
亡くなったのは同じ一昨年なのにね。
今日の墓参りはぼく一人。
墓の正面にある柵に腰を掛け、墓を前にいくらでも物思いに更けることができます。
一昨日オフクロからかかってきた電話のことを報告します。
一緒に住んでいる姉が妊娠したとの電話です。
姉は69歳の独身だぜ。
オロオロするオフクロの声を聞きながら、ついに本格的にボケたことを知りました。
オヤジにどうかあんたの妻を平穏にボケさせてくれるようお願いしました。
しばらくして老夫婦と墓石屋がやって来ました。
抽選に当たった夫婦でしょう。
墓石屋のオヤジの見え透いたセールストークがイヤでも聞こえてきて実に不快な気分になりました。
ホントーはもう少しオヤジのそばにいたかったけれど、早々に切り上げて墓地を後にしました。
