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人生のバックパッカーのブログです。
暇はあるけど体力と金と気力がない。
そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・・っということで、休日の朝は近所の公園の散歩と決まっている。

公園の真ん中に池があり、夏の間はボートに乗れる。

ベンチに座って、池で羽を休める渡り鳥や、鯉や亀をボーっと眺めているのがぼくのお気に入りの時間だ。

その女性と知り合ったのは、その公園だった。

その日も公園のベンチに座って、池を眺めていた。

風上の方からいい香りが流れてきた。

こう見えても、ぼくの鼻はものすごくいい。

ロクシタンのヴァーベナだ、間違いない。

香りの主はトイプードルを連れた、品のいい女性だった。

決して若くはないが、女性の魅力は若さだけじゃない。

カントリー風のプリント柄チュニックドレスに、スキニーデニムパンツ。

ローラ・アシュレイをさりげなく着て似合うのは、それだけの背丈があるからだ。

トイプードルは頭に真っ赤なリボン。

別に会話はなかったが、その日から気になる存在になった。

次の休日も、そのまた次の休日も、同じ時間にその公園のベンチに座った。

その女性と遭えたり遭えなかったり。

けれども、座る位置は決して近付かなかった。

ある日、公園で遊んでいた子供達の方からゴムボールが転がってきた。

拾ってやろうとしたら、彼女も同時にかがみ、鼻と鼻がぶつかってしまった。

鼻と鼻だぜ。

ここで会話が始まらないなんてことは、絶対にあり得ない。

公園の近くに住んでいることが分かった。

ときどき散歩で前を通ることがあったが、豪邸である。

会話は弾み、まったく予想外に親密になっていった。

その日以来、ぼくの頭の中は彼女のことで一杯になってしまった。

・・・・・・・

そしてある夜、ついにぼくは自宅を抜け出して彼女の家の前に立っていた。

生垣に丁度ぼくがすり抜けられるくらいの隙間があり、大胆にもぼくは庭に侵入してしまった。

流石にそれ以上は行動できなかった。

庭の植木の陰に身を隠し、家の中を窺うしかなかった。

どれくらいの時間が過ぎただろう。

ウトウトしていたらしい。

突然目の前の窓が開き、誰かがぼくの方に真っ直ぐ向かってきた。

しまったっ!

だが、ぼくはその場を動けなかった。

ぼくの体は地面に組み敷かれてしまった。

この匂い。

そうだこの匂いは彼女の匂いだ。

ぼくらはお互い抱き合ったまま、芝生の上に倒れこんだ。

そして、ぼくは彼女に覆いかぶさった。

・・・・・・・・・

お分かりと思うが、彼女とはトイプードルのことで、

その女性とは、彼女の飼い主で、

ぼくとは、ご主人様に飼われている犬のことである。