スコットランドのバレンタインは
チョコに始まりチョコに終わる日本式バレンタインとは違い
男女間でカードやプレゼントを送りあったり
男性から女性に花を渡したりする日であるらしい。
プレゼントとしてチョコレートを贈る場合もなくもないらしいが
基本的に日本のように
国全体がカカオ中毒
みたいな状態になったりはしない。
またチョコレートを渡すとミッション完了な日本とは違い
スコットランドのバレンタインのメインイベントは
ロマンチックなディナー
である。
それ故バレンタインの日にはどこのレストランも予約いっぱいになり
幸せオーラダダ漏れの若者たちがひしめき合う魔窟と化す訳である。
さて、真っ赤なハート形の風船でデコレーションされたレストラン内で
カップル達が愛の炎を燃やしていた頃、
実は私の職場である厨房でも炎が燃え広がっていた。
ただし、比喩でもなんでもなく、本物の火である。
出火元は私が湯を沸かしていた大鍋の横のコンロの上に
料理長が置いた卵の詰まった箱。
そこに何かのはずみで火が燃え移り、私がふと気付いた時には
卵40個と段ボールがガンガン燃え盛り、すでにたき火状態であった。
"FIRE!!!!!(火事だ!!!)"
と叫びながら水を汲みに流しに走る私を見て異常に気付いた他のスタッフたち。
こういう緊急事態にこそ人間の中身は分かると言うが、
普段厨房で威張り散らしている料理長は
何やら喚きながら乾いた布巾で必死に消火に励み(速攻で布巾に引火した)
これまた普段周りから恐れられている別の上司は
”OH MY GOD!!!” とただただ狼狽え
唯一冷静だったキッチンの責任者だけがてきぱきと鎮火を進めているという
傍から見ればさぞかし笑える光景であった。
その後なんとか消防の世話になることも
レストラン内の客に感づかれることもなく鎮火は完了。
料理長からは
「お前がちゃんと自分の鍋を見てないからだ!!!」
と怒られたが
周りが
「いや、火がついてるコンロの横に段ボールなんか置く方もどうかと思う」
とフォローしてくれた為特にお咎めはなかった。
むしろ一番問題なのは
ほんの数日前に専門業者に点検してもらった火災報知器が
燃え盛る炎を前にして何の仕事もしなかった
という驚愕の事実の方である。