こんばんは、江戸すずめです。
最近読んだ本のご紹介です
澤田瞳子『星落ちて、なお』
ワタシ、
河鍋暁斎(かわなべ きょうさい)の
絵がすごく好きなので
気になって手に取りました
幕末~明治に活躍した暁斎は、
美人画から幽霊画、風刺画まで
幅広い画題を描き
「その手に描けぬものなし」と
いわれた人気絵師。
この本は、
そんな偉大な父親を持つ
娘・とよ(暁翠)の
苦悩と葛藤を描いた作品です。
同じ絵師として父を超えられない
「芸術家」の苦悩があり、
才能ある異母兄との関係にも悩み、
時代遅れと言われてしまう画風と
伝統の継承の間でも悩み、
娘を持つ「母」としても悩み…
客観的にみれば
才能にも環境にも恵まれていて、
女子美術学校で教鞭をとったりと
活躍しているように思うのですが、
主人公のおとよさん、
うじうじと悩みまくっています
著者の母上は作家・澤田ふじ子氏。
なので、
作中のとよの葛藤は、
有名な親を持ち
同じ分野で活躍する者として
自分を投影しているのかなぁと
思ったりもしました
あとは、
明治~大正時代の画壇の流行や評価も
興味深く読みましたね
表紙に使われているこの絵は暁翠の作品だそうです!
個人的にはラスト近くの
どれだけあくせく働こうとも、
どんなにのらくら生きようとも、
結局、人はあの世には
何も持っていけないのですよ
(中略)
この世のすべてはきっと、
自ら喜び、
また周囲を喜ばせられた者が
勝ちなんです
という台詞がとてもよかった
(314ページ)
全体としては
とても淡々としている印象です。
ドラマチックな展開をお好みの方には
あまり向かないかもしれませんが、
じんわりと沁みる良いお話しでした
