亜鉛は皮膚にどう関係している?分子栄養学的にわかりやすく解説 | みのり先生の診察室

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昨日、佐野先生の論文をご紹介しました。

 

今日は亜鉛と皮膚の関係について分子栄養学的に説明したいと思います。

 

 

「亜鉛は皮膚にいい」
「亜鉛不足だと肌荒れしやすい」


このような話を聞いたことがある方もいるかもしれません。

でも、亜鉛は単に“肌に良いミネラル”というだけではありません。
 

分子栄養学的に見ると、亜鉛は皮膚の細胞が生まれ変わること、傷が治ること、炎症を調整すること、さらには“かゆみ”の感じ方にも関わる可能性がある、とても重要なミネラルです。

今回は、亜鉛と皮膚の関係について、できるだけわかりやすく解説します。
 

 

 亜鉛は「皮膚を作る」ために必要

 

皮膚は、常に新しく作り替えられています。

皮膚の奥で新しい細胞が生まれ、少しずつ表面に上がっていき、最後は垢としてはがれ落ちます。


この皮膚のターンオーバーには、細胞分裂やDNA合成、タンパク質合成が必要です。

亜鉛は、これらの働きを支える酵素の材料として使われています。

つまり亜鉛が不足すると、

皮膚の生まれ変わりが乱れる
皮膚のバリア機能が落ちやすくなる
傷が治りにくくなる
口角炎や口内炎、肌荒れが起こりやすくなる


といったことにつながる可能性があります。
 

 

 亜鉛は「皮膚のバリア」を守る

 

皮膚は、体の一番外側で私たちを守っている臓器です。

外からの刺激、細菌、ウイルス、紫外線、乾燥などから体を守るためには、皮膚のバリア機能がしっかり働いている必要があります。

亜鉛は、表皮の細胞が正常に成熟するために必要です。


表皮細胞がうまく成熟できないと、皮膚のバリアが弱くなり、刺激を受けやすくなります。

その結果、乾燥、赤み、かゆみ、湿疹などが起こりやすくなることがあります。

 

 

 亜鉛は「免疫」と「炎症」の調整にも関わる

 

皮膚は、ただの壁ではありません。
実は、免疫の働きにも深く関わっています。

皮膚には、外から入ってくる異物や病原体を見張る免疫細胞が存在しています。
 

亜鉛は、これらの免疫細胞が正常に働くためにも必要

亜鉛が不足すると、免疫の働きが低下して感染に弱くなることがある。
 

一方で、炎症のコントロールがうまくいかず、慢性的な皮膚トラブルにつながることもあります。

つまり亜鉛は、免疫をただ強くするというより、必要な免疫反応を保ち、過剰な炎症を調整する役割を持っていると考えるとわかりやすいです。

 

 

 亜鉛は「傷を治す」ためにも重要

 

傷が治るためには、皮膚細胞が増え、血管が作られ、コラーゲンなどの組織が再構築される必要があります。

この過程にも亜鉛が関わっている。

亜鉛は、細胞の増殖、コラーゲン代謝、炎症の調整、酸化ストレスからの防御などに関係しています。
 

そのため亜鉛が不足すると、傷が治りにくくなる

「小さな傷がなかなか治らない」
「口内炎ができやすい」
「皮膚の回復が遅い」

このような場合、栄養状態の一つとして亜鉛を考えることがあります。
 

 

 

 亜鉛は「抗酸化」にも関わる

 

皮膚は、紫外線や乾燥、炎症などによって酸化ストレスを受けやすい場所です。

亜鉛は、体の中の抗酸化システムにも関わっていて、代表的なものに、SODという抗酸化酵素があります。

酸化ストレスが強くなると、皮膚の老化、炎症、バリア機能の低下に関係します。


亜鉛は、こうした酸化ダメージから細胞を守る仕組みにも関わっているのです。

 

 

 亜鉛不足で起こりやすい皮膚症状

 

亜鉛不足では、次のような症状が見られることがあります。

肌荒れ
皮膚炎
口角炎
口内炎
脱毛
爪の異常
傷が治りにくい
感染しやすい
味覚異常
下痢


重度の亜鉛不足では、口のまわり、肛門のまわり、手足の先などに皮膚炎が出ることもあります。

ただし、最近注目されているのは、皮膚に赤みや湿疹がないのにかゆみが続くケースにも、亜鉛不足が関係している可能性があるという点です。
 

 

 皮膚に何も出ていないのにかゆい場合も、亜鉛不足が関係する?

 

皮膚炎を伴わないかゆみと亜鉛不足の関係を示す研究が佐野教授のグループから発表されました。

この研究では、湿疹やじんましんなどの炎症がないのにかゆみがある患者さんを調べたところ、血清亜鉛の不足が認められたと報告されています。
 

さらに、亜鉛製剤を投与して血清亜鉛値が正常化していくと、多くの症例でかゆみが軽くなった、または消失したとされています。

この研究で興味深いのは、亜鉛が皮膚そのものだけでなく、かゆみを感じる神経の仕組みにも関わる可能性が示された点です。

つまり、亜鉛は「皮膚を作る栄養素」であると同時に、かゆみの感じ方を調整する栄養素でもあるかもしれません。

 

 

 亜鉛は多ければ多いほど良いわけではありません

 

ここで注意したいのは、亜鉛はたくさん摂ればよいというものではない、ということです。

亜鉛を長期間多く摂りすぎると、銅の吸収が妨げられ、銅欠乏を起こすことがあります。
 

銅欠乏では、貧血白血球減少神経症状などが問題になることがあります。

 

亜鉛サプリには銅が一緒に配合されていることが多いですが、医療機関で処方される亜鉛製剤には銅が含まれていません。

 

亜鉛単体です。

 

服用して銅欠乏性貧血を来した症例も多数ありますので注意が必要です。

 

亜鉛に関してはサプリメントのほうが安全だと言えるでしょう。

 


また、かゆみや皮膚トラブルの原因は亜鉛不足だけではありません。

肝臓、腎臓、糖尿病、甲状腺、血液疾患、薬剤、アレルギー、乾燥、ストレスなど、さまざまな原因があります。

そのため、自己判断でサプリメントを長期間続けるのではなく、症状が続く場合は医療機関で相談することが大切です。

 

 

 まとめ

 

亜鉛は、皮膚にとってとても重要なミネラルです。

皮膚を作る
皮膚のバリアを守る
免疫と炎症を調整する
傷の治りを助ける
酸化ストレスから守る
かゆみの神経調整に関わる可能性がある


このように、亜鉛は皮膚の健康をさまざまな角度から支えています。

分子栄養学的に見ると、亜鉛は単なる“肌に良い栄養素”ではなく、皮膚細胞の働きを調整する大切なミネラルです。

皮膚に何も出ていないのにかゆみが続く
傷が治りにくい
口内炎や口角炎を繰り返す
肌荒れがなかなか改善しない


このような場合は、亜鉛不足も一つの可能性として考えてみてもよいかもしれません。

ただし、サプリメントで自己判断する前に、まずは医療機関で原因を確認しましょう。

 


 

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