最近、
「オートミールを2日間食べると、悪玉コレステロールが下がる可能性がある」
という興味深い研究が報告されました。
「えっ、たった2日で?」と思いますよね。
「オートミールは健康にいい」
そんなイメージを持っている方は多いと思います。
食物繊維が多い、血糖値が上がりにくそう、ダイエットによさそう……。
なんとなく体に良さそうな食品として、朝食に取り入れている方もいるかもしれません。
そんなオートミールについて、最近とても興味深い研究が報告されました。
それは、メタボリックシンドロームのある人が、2日間オートミール中心の食事をしたところ、LDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールが低下したという研究です。
研究は Nature Communications に掲載されたランダム化比較試験です。
対象はメタボリックシンドロームのある68人で、短期高用量のオートミール食と、6週間の中等量オートミール食を、それぞれ対照群と比較しています。
たった2日で悪玉コレステロールが下がる?
今回の研究で特に注目されたのは、2日間の高用量オートミール食です。
参加者は、1回100gのロールドオーツを1日3回、つまり1日300gのオートミールを2日間食べました。
オートミールは水で煮て食べる形で、普段の食事の代わりに摂取しています。
その結果、オートミールを食べた群では、対照群と比べて、
LDLコレステロールが約16mg/dL低下
総コレステロールが約16mg/dL低下
したと報告されています。
これはなかなか興味深い結果です。
ただし、ここで大事なのは、
「朝食にオートミールを少し足せば、誰でも2日で悪玉コレステロールが下がる」
という話ではない、ということです。
研究で使われた量は、1日300g。
一般的なオートミール1食分が30〜50g程度と考えると、かなり多い量です。
つまり今回の研究は、
かなり高用量のオートミールを短期間しっかり食べた場合の結果
と考える必要があります。
なぜオートミールでコレステロールが下がるの?
オートミールの原料は、オーツ麦です。
オーツ麦には、βグルカンという水溶性食物繊維が多く含まれています。
水溶性食物繊維は、腸の中で胆汁酸やコレステロールの代謝に関わり、LDLコレステロールを下げる方向に働くと考えられています。
これまでも、オーツ麦やオートミールのコレステロール低下作用については報告されてきました。
今回の研究でさらに面白いのは、単に「食物繊維が多いから」という話だけではなく、腸内細菌が関係している可能性が示された点です。
オーツ麦に含まれる成分が腸内細菌によって代謝され、フェルラ酸やジヒドロフェルラ酸などの代謝物が増えることが確認されています。
論文では、こうした腸内細菌由来のフェノール性代謝物が、オートミールによるコレステロール低下作用に関係している可能性が示されています。
つまり、オートミールの働きは、
食物繊維そのものの作用
に加えて、
腸内細菌を介した代謝の変化
も関係しているかもしれない、ということです。
6週間食べ続けたらどうなった?
この研究では、もうひとつ別の介入も行われています。
それが、1日1食を80gのオートミールに置き換えて、6週間続けるというものです。
こちらは、2日間の高用量オートミール食に比べると、より現実的な食べ方に近いですね。
ただし結果としては、6週間の中等量オートミール食では、フェルラ酸など一部の代謝物の変化は見られたものの、LDLコレステロールや総コレステロールの低下は、2日間の高用量食ほど明確ではありませんでした。
論文でも、1日1食をオートミールに置き換える方法の代謝への影響は「比較的穏やか」とされています。
つまり、
オートミールを少量続ければ、短期高用量と同じようにコレステロールが大きく下がる
とは言い切れません。
ここも、発信するときに誤解されやすいポイントです。
では、オートミールをたくさん食べればいいの?
ここは注意が必要です。
今回の研究では、2日間の高用量オートミール食は全体としてよく耐えられ、重篤な副作用は報告されていません。
ただし、だからといって誰にでも大量のオートミールをおすすめできるわけではありません。
オートミールは食物繊維が多い食品です。
急にたくさん食べると、
お腹が張る
ガスが増える
便通が変わる
下痢や腹痛が出る
といったことがあります。
また、オートミールだけに偏った食事を続けると、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどのバランスが崩れる可能性もあります。
今回の研究はあくまで、管理された条件で行われた食事介入です。
自己流で極端な「オートミールだけ生活」をする必要はありません。
実生活で取り入れるなら?
一般の方が取り入れるなら、まずは無糖のオートミールを1食30〜50g程度から始めるのが現実的です。
たとえば、
・朝食の白パンや菓子パンをオートミールに置き換える
・ヨーグルトや牛乳、豆乳と合わせる
・バナナやベリーを少量加える
・ナッツやきなこを足す
・砂糖やシロップを入れすぎない
といった取り入れ方がおすすめです。
オートミールそのものはシンプルな食品ですが、チョコレート、砂糖、シロップ、バターなどをたくさん加えると、カロリーや糖質が増えてしまいます。
「オートミールだから健康」と考えるより、
何と一緒に食べるか
どれくらい食べるか
が大切です。
医師として伝えたいこと
今回の研究は、オートミールがLDLコレステロール対策に役立つ可能性を示した、とても興味深い研究です。
特に、腸内細菌によって作られる代謝物が関係しているかもしれない、という点は新しい視点だと思います。
一方で、注意点もあります。
対象はメタボリックシンドロームのある人です。
健康な人に同じ効果が出るとは限りません。
参加者数は各群17人前後と、比較的小規模です。
今後、より大きな研究で確認される必要があります。
また、2日間の高用量オートミール食は、一般的な朝食の量とはかなり違います。
そのため、今回の研究を日常生活に取り入れるなら、
オートミールはコレステロール対策に役立つ可能性がある食品
ただし、薬の代わりではない
無理な単品食ではなく、食事全体の改善として取り入れる
と考えるのがよいと思います。
まとめ
今回の研究では、メタボリックシンドロームのある人が、2日間、1日300gのオートミールを食べたところ、LDLコレステロールと総コレステロールが低下しました。
その背景には、オートミールに含まれるβグルカンなどの食物繊維に加えて、腸内細菌が作るフェルラ酸などの代謝物が関係している可能性があります。
ただし、これは「朝食に少しオートミールを食べれば、誰でも2日で悪玉コレステロールが下がる」という意味ではありません。
オートミールは、うまく取り入れれば健康的な食品です。
でも、大切なのは極端な食べ方ではなく、続けやすく、バランスのよい食事の中に取り入れること。
悪玉コレステロールが気になる方は、まずは無糖のオートミールを少量から、普段の食事に上手に取り入れてみるのもよいかもしれません。
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