(449)プリオン病とは? | 大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

「切りすぎた肛門は元には戻せないんだよ・・」故隅越幸男先生の言葉をいつも心の真ん中に置いて「切りすぎない手術」「切らない肛門診療」を追求する肛門科専門医が、手術のこと、治療のこと、日常のことを、綴ります。

私は2019年9月14日に脳出血を発症し

右片麻痺になりました。

 

それからちょうど1年後の2020年9月14日に

ブログを再開しました。

病気の事とか

リハビリの事とか

いろいろ書いてきましたが、

現在書いているのが、入院中に読んだ本

睡眠こそ最強の解決策である

と言う本の解説です。

 

こんな本です。

 

 

 

長編連載になってしまっているのですが

先日の記事で

致死性家族性不眠症と言う病気が

プリオン病であるということを書きました。

 

(446)なぜ私たちは眠るのか その12

 

このプリオン病について

少し長めに書いたのですが

説明がやや医学のほうに偏ってしまいました。

そもそもプリオン病とは何なのか

よくわからないという感想をもらったので、

今日はそれについて書きたいと思います。

 

 

プリオン病とは

 

プリオン病とは1つの病気ではなく

異常プリオンというタンパク質が原因で

脳神経が蝕まれる病気の総称です。

 

人間とそれ以外の動物(牛、鹿など)で

確認されています。

発病すると基本的に100%が死に至る

恐ろしい病気です。

現在のところ治療法はありません

 

感染経路は、経口感染と言われています。

 

これらの病気の特徴は

病原体が微生物でもウィルスではなく

タンパク質であることです。

先ほどの異常プリオンと言うのが

病原体の名前です。

 

微生物やウィルスであれば

種の保存と言う原則に従って行動します。

彼らにとっては人間に感染することは

種の保存のための手段であって

人間を殺すことは目的ではありません。

それどころか人間を殺しすぎると

種の保存にとって不利な状況をつくりますから

本当に凶悪な病原体なら淘汰されて

長くは存在しないはずです。

 

ところがプリオンは

生物でもウィルスでもありませんから

種の保存なんて関係ないわけです。

 

そこがなんとなく不気味です。

 

 

 

クロイツフェルト・ヤコブ病

 

人間のプリオン病として有名な

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)

発病後1年以内にほぼ100%が死亡します。

 

症状は、

抑うつ、不安などの精神症状で始まり、

進行性認知症、運動失調等を呈し、

最終的に全身衰弱・呼吸不全・肺炎などで

死に至ります。

 

 

CJDはいくつかのタイプに分かれます。

  1. 孤発性CJD:原因不明のもの。100万人に1人発症。
  2. 家族性CJD:遺伝によるもの。
  3. 医原性CJD: 以上プリオンに汚染された医療器具、CJD患者由来の脳の硬膜移植、眼の角膜移植による。
  4. 変異型CJD:後述

この病気、20数年前に国家試験のために覚えました。

漠然と怖い病気だと言う意識だけでしたが・・

 

 

 

BSE・狂牛病

 

10数年前に話題になった

BSE、別名「狂牛病」も

プリオン病です。

 

狂牛病はその名の通り牛の病気ですが、

人間にも感染する可能性があると

されています。

 

人間に感染した場合、 先ほどの

CJDと非常に良く似た

しかし、

病状の経過がやや緩やかな新変異型CJD

という病気の原因になる可能性が高い

とされています。

・・というか、

変異型CJDの原因を

狂牛病の病原体と考えるのが合理的

と言うことらしいです。

 

症状は精神障害

(抑うつ、不安、自閉、異常行動)が主体で

しばしば記憶障害、手足の感覚障害を

伴います。

 

症状の出現から死亡までの平均期間は

13ヶ月または18ヶ月とされています。

感染から発症までの期間は

よくわかりませんが数年間と

考えられています。

 

平成22年1月更新の厚生労働省の

記事によれば、

平成20年までの発症者は

ヨーロッパ諸国を中心に208例、

このうち

イギリスが8割、フランスが1割を占め、

これ以外の患者は

ほとんどがイギリスの滞在歴がある

ようです。

(厚生労働省の記事ここまで)

 

これらを読む限り、

日本での感染は確認されていないようです。

 

狂牛病の病巣は牛の脳にあります。

これを食用にすることにより

異常プリオンに感染すると

考えられています。

 

また母子感染、性的接触による

感染の報告はありません。

乳汁中に異常プリオンが検出されたという

報告もありません。

 

 

 

不気味なプリオン病

 

先ほど書いた通り

プリオンは生物でもウィルスでも

ありませんから

学術的には

「感染」ではなく「伝達」と言う

そうです。

不気味な表現です。

 

1990年から2000年代にかけて

プリオン病が問題になった頃、

プリオンを食べなくても

触れただけで感染してしまう?

という誤解がありました。

私も知り合いの先生にそう教えてもらって

信じていました。

これ、私は

「伝達」という言葉が作った誤解ではないか

と思っています。

 

いやな感じの病気ですが

研究には価値があると言う話も

出てきています。

 

アルツハイマー病パーキンソン病

異常蛋白が原因であることが

わかってきてます。

 

将来、

アルツハイマー病やパーキンソン病の

発症メカニズム

プリオン病の研究によって

明らかになるかもしれません。

 

 

 

冬の空は青いなぁ。