(写真撮影の際、徳増先生がおらず、残念でした。)
さて、今から(概要は抄録をご一読いただくとして)、演者とタイトル、私の感想をまとめさせていただきます。
一人目の演者は、岡山大学の徳増一樹先生。
「O-24-03-1 COVID-19 罹患後症状と社会活動の変化〜患者自身の心理的要因との関連性」についてご講演されました。
COVID-19罹患後症状の専門外来を受診し、かつ罹患後1か月以上経過した患者1163名の大規模臨床データを用いて、罪悪感などの心理的要因が患者の社会活動に影響することが示されました。
感染症危機下では治療に焦点が当てられやすいものですが、罪悪感や偏見などに対する心理的支援も必要となることを改めて実感いたしました。
二人目の演者は、京都大学大学院の西浦博先生。
「O-24-03-2 日本におけるCOVID-19パンデミックに伴う2020-22年の死亡率変化の人口学的解析」についてご講演されました(発表予定の院生が欠席されたため、西浦先生がピンチヒッター)。
本研究では、COVID-19による死亡だけでなく、超過死亡の観点から、年齢や地域といった人口学的情報も踏まえ、包括的に評価されました。
危機下ではCOVID-19といった危機をもたらしたハザードのリスクのみ、つまり単一リスクに焦点が当てられやすいですが、今回のパンデミック下では若者の自殺をはじめ他の悲劇も起きていました。
そうした他のリスクも含めて包括的にリスクを検討し、対策を練ることが大切であることが本研究結果でも示され、COVID-19対策の評価や次に感染症危機が発生した際の対策の検討に極めて重要な視点だと感じました。
三人目の演者は、張同先生。
「O-24-03-3 接触者追跡調査を通じたサーベイランス上での接触歴データの疫学的意味に関する検討」についてご発表されました。
COVID-19のサーベイランスデータを用いて、実効再生産数と追跡可能な患者割合の関係を明らかにされた研究です。
追跡可能な患者割合の減少が地域レベルで接触者の追跡による制御が困難になりつつあることを示すカギとなることが示されたのですが、本研究結果を制御困難レベルを探知・通知するシステムなどに応用できたら、感染症危機下での早期対応が期待できるのではないかと可能性を感じました。
四人目の演者は、雨宮優理先生。
「O-24-03-4 COVID-19 の早期診断と医療キャパシティの相互関係と死亡リスクの検討」についてご発表されました。
「早期診断の促進」をすると、早期治療につながり、個人レベルで死亡リスクが減少することが期待できる。しかし、集団全体に呼びかけ、多くの人々が受診すると今度は「医療提供体制のひっ迫」につながりかねない。
こうしたトレードオフが健康危機管理対策の策定時の意思決定やリスクコミュニケーションを難しくしますが、その判断基準を統計学的に明らかにされたのが、本研究です。
本研究結果は、感染症危機下の対策策定時に現場のリーダーたちがまさに必要とする、意思決定に不可欠な情報になると感じました。
またリスクコミュニケーションの観点からは、こうした閾値で一目でわかるように示されると、一貫性のある情報提供が可能となるため、ありがたいと思いました。
五人目の演者は、林克磨先生。
「O-24-03-5 COVID-19 のクラスター発生情報に基づく特定業種への介入効果の推定」についてご発表されました。
クラスター発生情報を活用して特定業種への介入が流行全体に与える影響を分析されたのが、本研究です。
飲食業など、特定業種への介入は(特にリスクコミュニケーションの問題もあり)、スティグマを引き起こした側面もあるかと思います。
本研究結果も含め、各COVID-19対策について多面的に評価をし、次の感染症危機に備えられたらと願っております。

