- 深追い/横山 秀夫

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三ツ鐘警察署を舞台にした連作短編集です。思えば、横山作品にはまっていたのは、今からちょうど3年前ぐらいでしょうか?後半は長編ばかり読んでいて、久しぶりの短編でした。しかし、「影の季節」で横山作品にはまったトッコとしては、氏の原点に戻ったような、懐かしい感じ、氏の真骨頂を見たような思いで楽しめました。
収録作品は、全部で7作。舞台は警察ですが、テレビドラマのような派手な殺人事件は出てきません。犯罪は描かれていますがが、決して推理小説ではありません。犯罪のからくりの面白さよりも、むしろ警察という組織の中の人間関係、心の駆け引きに主眼を置いた、一種の企業小説という雰囲気です。
各作品の主人公たちは、交通課事故係、鑑識係、盗犯一係の主任、警務係長、生活安全課少年係、警察署次長、会計課長と、どれも比較的地味な立場の方々ばかり。こうして見ると、警察の仕事って実に多岐にわたっているんですね。
話は横道にそれますが、先日会社の近くの某交番にて道を尋ねようとしたところへ、ある女性が怪我をした鳩を抱えて交番に入ってきたのです。その女性曰く、「Yアリーナ前で怪我をしていたので連れてきました。」とのこと。その時交番にいたのは、ちょっと年のいった婦警さんだったのですが、さすがに鳩を見てびっくりしてました(;^_^A トッコもびっくり、唖然・・・・・そして、「おまわりさんも大変だな~」としみじみ実感。あの後、あの鳩は一体どうなったのだろう?警察に連れて行けばちゃんと手当てしてもらえるんだろうか?機会があればあの交番で聞いてみたいところです。
話を「深追い」に戻しましょう。
今回、トッコが最も気に入った作品は、盗犯一係主任の尾花を主人公にした「引き継ぎ」です。尾花チームと有坂チームの息詰まる泥棒逮捕合戦。果たしてどちらのチームが先に手柄を立てるのか?その緊迫感だけでなく、二人の駆け引き、心理戦も楽しめます。また、主人公尾花は二世刑事としてどんな気持ちで仕事に臨んでいるのか、その内面描写も見事です。父から引き継いだノート、「盗人控」。父から息子へと受け継がれる技。一方、追われる立場の泥棒たちも技を伝授。引退した往年の大泥棒、岩政から今をときめく(?)B級泥棒、野々村へと受け継がれる三角割り(ガラスを音なく三角形に割る秘技)の技術。そして最後に岩政が言った一言、「いいことでも悪いことでも、一つぐらい残したいじゃないですか。」 うーん、大泥棒もやはり孤独には勝てないのですね。何だか人間の本質を見た思いで、思わず肯いてしましました。
また、植物に詳しい会計課長、西脇が主人公の「人ごと」では、たくさんの花の名前、その生育法などが出てきました。花好きのトッコには楽しい話ですが、雄雄しい小説がお得意の横山氏がこんなに花に詳しいなんて、少々意外です。横山氏の新しい一面を見たようで、新鮮!そしてイメージアップです。
あ~やはり横山作品はめちゃくちゃ面白いです!「深追い」も是非シリーズ化して、続編を読ませて欲しいですね。