昨日は、約2ヶ月ぶりの美容室にて、カット+カラー+パーマのフルコースをやってきまして、その間に一気に読みました。久しぶりの山本文緒さん作品です。短編と思って買ったのですが、長編でした(;^_^A そして、何と1995年の作品なんですね~。しかし、全く古い感じがしない。(「彼氏の部屋に電話しても通じない。」、「留守番電話にメッセージ」などのくだりは時代を感じましたが、まだ携帯がそれほど普及してなかったんですよね。)一気に作品の中に入り込めて、一気に読み終えることができました。物語は、信用金庫に勤める23歳OLの深文の日常を中心に、その友人関係、職場関係、恋人関係、を描いてます。この深文、高校生まではろくに友人もできなかったというくらい、人間関係に淡白なんですね。あまり自分をさらけ出さないし、他人の心に深く入り込もうともしない、ある意味さっぱりしていて付き合いやすいかもしれません。そんな深文も短大時代にはなつ美と月子という二人の親友にも恵まれ、恋人もでき、信用金庫に就職もして、、、と一見普通の人生をこのまま歩むのかな~と思いきや、職場の同じ課に日比野という、キャピキャピ系で明るくて、けど内面はしたたかで要領の良い新人が入ってきた辺りから、少しずつ歯車が狂っていって・・・・・・・・

 

 

 

後半からはもう坂道を転がり落ちるような展開、八方塞がり、逃げ場ないし、良い策もないし、深文と一緒にトッコも非常に苦しみました。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。 どこかトッコと共通する部分のある深文に自己投影させながら。親友月子のいる南の島ハワイに逃げたいと思いつつ、それもできずにやがて精神を病んでいく深文。

話はそれますが、作者の山本文緒さんは、本書のあとがきで「高校生の時、いつかハワイに逃げよう、という漠然とした夢を持っていた。」と書いておられます。山本さんのように、文章力もあり、人間観察力もあり、洞察力もあり、頭も良く、才能もたっぷりあるだろうと思われる女性でも、こんなふうに現実逃避したくなる時があるんだな~とトッコは意外な思いだったのですが。しかし、自分の心情を元に描いているからこそ、これほどまでに「ちょっと心の壊れた人」を描くのがお上手なのでしょう。しかも読んでいて非常に共感できる。山本さん作品を読むたびに感心させられます。

ちなみに本書の「パイナップルの彼方」というタイトルは、山本さんが高校生当時聴いていたかまやつひろしのハワイで録音したというアルバムのタイトルと同じだそうです。パイナップル=南の島=ハワイ、というのが山本さんにとって、何の悩みもない天国のような場所の象徴だったのでしょう。

実は、トッコも高校生の時、現実逃避を考えたことがあるんですね。だから余計に深文に共感を覚えるのかも。ただ、トッコの場合、その逃避場所はハワイのような熱い島ではなく、北海道の札幌だったんです。何故かわからない。当時、三浦綾子さんの小説をよく読んでいたからでしょうか?札幌のように寒くて、少し影があって、しっとりしている、そんな雰囲気に異常なロマンを抱いていたんですね。ハワイとは正反対です。いずれにしろ、トッコも深文と同じく、「不適応者」なのかもしれません。認めたくはないけれど。しかし、こういう心の病は現代において意外と多いのでしょうね。ニートや引きこもりが社会問題化するくらいですから。生きにくい世の中であることは間違いなさそうです。

 

 

 

物語のラストは、色々苦しんだけれども結局は長い付き合いの恋人、天童と結婚することになった深文、ということで一応ハッピーエンドのようですが、トッコとしては結婚後の深文がヒジョーに心配です。深文が信用金庫を退職後に、日比野と二人で飲みに行ったとき、日比野が最後に深文に向かって言った一言、「そうやって、いつも人を馬鹿にしているから、皆に嫌われるのよ!」。案外、この一言に凝縮されているように感じるのです。結婚がハッピーエンドなのか?結婚すれば全てうまくいくのか?というと決してそうではない。深文は結婚後しばらくすれば、遠からず壁にぶち当たるでしょう。生きにくい世の中だからこそ、人間関係を大切にしなくては、大切にするよう努力しなくては、と日々痛感しているトッコです。そのためには、決して他人を否定的に見ない、価値観はそれとして認める、尊重する。そういうゆとりある気持ちを持てたら、深文もきっと変わるだろうな~と、これはトッコ自身への教訓も込めて、改めて再認識致しました。