みんないってしまう/山本 文緒
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新年明けましておめでとうございます!今年もたくさん読書にはまって、たくさん感想を書きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

さて、記念すべき2007年最初の本は、1995年頃に書かれた山本文緒さん作「みんないってしまう」です。表題作を含め、全部で12の短編が収められています。古本屋さんで80円で売っていて、あまりの安さに買ってしまいました。山本さんの作品は以前何冊か読みましたが、短編は「プラナリア」に続いて2作目です。「プラナリア」は余り印象に残っていない。長編は、「ブルーもしくはブルー」、「あなたには帰る家がある」が気に入っていてお勧めです。

「みんないってしまう」の中の短編作品に共通のテーマは、あとがきを書いた浜野雪江氏によると「喪失感」だそう。まさにそのテーマにふさわしく、暗くて、ちょっと惨めったらしいストーリー。登場人物たちは、心に寂しさをかかえてちょっと壊れかかった人々です。中には、好きな男の家の前で夜中に張りこみ、男が捨てていったゴミを持ち帰ってチェックする、なんていう、首を傾げたくなるような変な女も登場してきましたが(「片恋症候群」より)、全体としては、主人公の彼、彼女たちはこの後どうなってしまうのだろう、という想像力をかきたて、ストーリーの中に読者を引き込む力を持った作品ばかりでした。

特に気に入った作品は、「愛はお財布の中」です。意味深なタイトルです。粗筋としては、熱愛というほど盛り上がりはしなかったけど、お財布をなくして途方にくれていた「私」をそれなりに心配して、家まで訪ねてきてくれた元恋人の武史。(武史のキャラ、ちょっと素敵でトッコの好みです。)しかし「私」は、「好きだ、愛している」と常に言ってくれるフリーターの若いひも男と新たに同棲生活を始めようとしている。「私」が今後、どんな選択をするのかは読者の想像次第、というラストになっていますが、トッコが続編を作るとしたら、是非もう一度元恋人の武史に活躍してもらいたいですね。お財布の中に愛を見出している寂しい「私」を、友人として立ち直らせる存在として、武史に活躍してほしいんです。「そんな男、やめろ!」とすっぱり言って、「私」が立ち直るまで友人として側で支える存在でいてほしい。もちろん、その後二人がよりを戻す展開は余りに陳腐でつまらないから、それはなしにして。あっ、それよりも、武史には「私と」別れた後、別な恋人が出来ていて、今はその彼女と一応ラブラブの状態なのに、壊れかけていく元恋人の状況に多少なりとも責任を感じていて、友人として側で支える、なんて設定もドラマっぽくてGOODかも?うーーん、どっちにしても武史を素敵な男性として描きたいですね。でも、よりが戻る可能性のない男性に支えてもらったりしたら、「私」の心はより複雑化して不安定になるかもしれませんね~。難しい~。。。。

寂しさと向き合う、って人間の永遠のテーマかもしれませんね。若い時は恋人のいない寂しさ、そこから薄っぺらな恋愛に走ってしまう。誰もが一度は経験することでしょう。トッコは今、小学生と幼稚園の子供たちの世話で、寂しいどころではありませんが、もう少しして子供たちが成長したら違う寂しさに襲われるでしょう。人間は結局一人で孤独なのに、自分だけのためには生きられない。難しい生き物ですね。

久々の山本さん作品、とても読みやすかったし、奥の深い作品ばかりでした。新年早々、幸先のよい読書生活、ってかんじですo(^▽^)o