メガソーラーの環境破壊大反対のぺこぱが東大教授に直撃。再エネって本当に地球を救えるの?
配信
“そもそもメガソーラーは大反対。 地球の環境のためにやっていることなのに山を切り拓いて…。
この矛盾を、どう子どもに説明できるのか。 それから再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)。
僕たちが毎月の電気代で収めているお金が、事業者の懐に入っているのかと考えると、一刻も早く辞めるべきで市場原理に任せるべきだと思う”
これは2025年夏、インターネット配信の報道番組で、お笑いタレント「ぺこぱ」の松陰寺太勇さんが北海道の釧路湿原のニュースを受け、再生可能エネルギーをテーマにした話題で語ったコメントだ。
“地球を守るために”と推進されてきた再生可能エネルギー(以下、再エネ)。しかもホルムズ海峡の問題で、原油やLNG(液化天然ガス)の供給も脅かされている。
だからこそ、二酸化炭素を放出する化石燃料に頼るエネルギーから切り替えの重要性が改めて注目されているのだ。
当時松陰寺さんが語ったように、北海道の釧路湿原周辺では、大規模な太陽光発電(メガソーラー)の建設により、天然記念物であるタンチョウの生息地やオジロワシの巣が含まれる区域にまで開発が進んでいる可能性があると地域住民や専門家から指摘されていた。
しかしそれはルール作りの問題であって、「再生可能エネルギーそのものが問題だ」ということではない。
山を切り崩して地球を救えるのか
ニュース映像やSNSでは、美しい景観に突如現れたおびただしい数のソーラーパネルに、容赦無く森を切り崩すブルドーザーの映像が流れる。あまりにも衝撃的なその映像を目にした人も多いのではないだろうか。
確かにそんな映像を見たら、再エネに懐疑的になってしまうのも否めない。そう、番組内で松陰寺さんは国民が感じる疑問や不満を代弁したのだ。番組終了間際、彼はこんなことも語っていた。
“たいていの人は土地もないし、太陽光パネルを敷けるところがない。 賃貸に住んでいる人は、ただただ再エネ賦課金を取られ、電気代も下がっていない。
なんのために…という説明はまだ足りてないと思います” メガソーラー開発に異を唱える松陰寺さんは、相方のシュウペイさんとともに、「みんなでつくろう再エネの日」(主催:一般社団法人Media is Hope)という気候変動解決に向けたイベントのトークステージに登壇した。
二人は“気候変動解説おじさん”として、共にステージに立った東京大学教授・気候科学者の江守正多さんに、再エネに対する不満や疑問を投げかけた。
果たして“気候変動解説おじさん”は、ぺこぱの2人に再生エネルギーの必要性を納得してもらうことができるのだろうか。
改めて化石原料によるエネルギーからの脱却を必要とする今、2025年9月にステージで繰り広げられた内容を編集してお伝えする。
ぺこぱ ↑
シュウペイと松陰寺太勇の2人によるお笑いユニット。「M-1グランプリ2019」では初の決勝進出を果たし、3位に輝く。日本テレビ「ヒルナンデス!」金曜レギュラーや日本テレビ「THE 突破ファイル」などのテレビの他に、ラジオ「ABCラジオ「みっくすっ。
-ぺこぱのチアポンポン-」などコンビとしての活動の他に、YouTube「カズレーザーと松陰寺のチルるーム」、TOKYO MX「RINGAKU!」MC:シュウペイなど個々でもさまざまなメディアで活躍中。
【江守正多】東京大学未来ビジョン研究センター(兼)大学院総合文化研究科広域システム科学系。主な研究分野は気候科学、気候変動に関する科学と社会の問題、気候コミュニケーション。
1997年より国立環境研究所に勤務。国立環境研究所気候変動リスク評価研究室長、地球システム領域副領域長等を経て、2022年より東京大学未来ビジョン研究センター教授。総合文化研究科教授を兼務。気候変動に関する政府間パネル第5次、第6次評価報告書主執筆者。
再エネが必要な理由
司会・名取由佳さん(以下、司会):ぺこぱのお二人には9つの質問を事前に用意しています。ここから選んでいただき、気候変動解説おじさんこと、江守さんに解説いただきます。
お二人には「納得」と「いまいち」の札を準備しているので、解説を聞いてどちらかの札をあげてもらいます。 気候変動解説おじさんこと江守正多さん(以下、江守):ガンガンください。今日は真剣勝負です。 会場の笑いとともに始まったセッション。最初の質問はシュウペイさんから。
気候変動は人間のせい?
シュウペイさん(以下、シュウペイ):「気候変動って人為的な活動が原因なの?」をお願いします。我々が出す二酸化炭素(以下、CO2)がどれくらい地球に影響を与えているのか、気になります。
江守:地球は太陽の光を受け、その約3割を宇宙に跳ね返していますが、残りの約7割は地球に吸収されます。一旦、吸収した光のエネルギーは赤外線として再び宇宙に放出されるのですが、そのまま放出してしまったら、地球は非常に寒くなってしまいます。
しかし、大気中に含まれている温室効果ガスが、宇宙に逃げようとする赤外線を吸収して一部を地表面に戻してくれているんですね。そのおかげで地球は暖かく保たれているんです。
しかし現在、この温室効果ガスが増え過ぎたため、宇宙に逃げようとする赤外線を過剰に吸収している状態なんです。その影響で、地球の温度が上昇し続けているんですね。これが地球温暖化の仕組みです。
人間が大気中に増やしている温室効果ガスの中で一番主要なものが二酸化炭素(CO₂)です。 1950年あたりから、化石燃料によるCO2が急激に増えているというデータがあります。
火力発電所や、ガソリンエンジン車の増加、家庭でのガス使用が原因で、世界レベルでCO2排出量が増え、温室効果ガスが増え続けている状況なんです。
人間の活動によって、大気中の温室効果ガスが増えていることは疑いようがありません。
次に、本当に気温が上がっているのか、ということです。過去170年ぐらいの世界の平均気温の変化を調べると、変動しながら長期的には上がってきており、特に60年ほど前からは急激に上がっていることがわかります。
人間活動の影響がなかった場合、地球の温度がどうなっていたのかをシミュレーションしたデータもありますが、それを見ると、まったく上がっていなかったであろうという結果が出ています。地球温暖化は人間の影響によるものだということも、科学的に疑う余地がないものとされているんです。
再エネってそんなに急ぐ必要があるの?
松陰寺太勇さん(以下、松陰寺):今、世界で“再エネ、再エネ”と騒がれていますが、そんなに急がないといけないのでしょうか。この先、なにか怖いことでもあるのかと心配になります。
江守:これから2100年までに地球がどうなっていくかということを、CO2を減らす対策をした場合と、何もせずに温暖化が進んだ場合をシミュレーションしたデータがあります。
それによると、2060年には温度差がかなり広がり、対策なしの場合は2100年には今の気温よりも5度上がると言われています。小さなお子さんは、生きている可能性がありますよね。これは避けなくてはいけません。
シュウペイ:日本でも夏に、40度になる地域もあるということは、45度にまで上昇するってことですか?
江守:はい。暑くなるだけではなく、大雨や干ばつなどによる被害も増えます。農作物の栽培、漁業などすべてに影響が出るので、深刻な世界になってしまいます。 現在は対策が始まってはいるものの、想定していた計画よりも遅れているため、温室効果ガスが増え続けています。
この温暖化を止めるために、なるべく急いでCO2排出ゼロに向かわなくてはならないのです。 今のままでは2100年には2.5度から3度近く気温が上昇してしまうと予測されているんです。2015年の国連パリ協定では2度より十分低く、できれば1.5度に抑えなくてはならないと話し合われました。
先進国では対策が始まっているので、少しはCO2の排出が減ると言われていますが、目標のペースには足りていません。
現在、人間が使っているエネルギーのうちの約8割がCO2を排出する化石燃料のエネルギーです。CO2を出さない再エネと言われる太陽光発電や風力発電は、加速しながら増えているものの、全体のごくわずかです。
2030年までに再エネの設備容量を3倍にするのが世界の目標です。 シュウペイ:あと5年しかないのに間に合うんですか(編集部注:2025年9月のトークイベントです)。 江守:だから急いでいるんです。
シュウペイ:なるほど。いや、これは本当に「納得」しました。 ーー地球の温暖化は深刻な問題だ。
しかし、自然を破壊してまでも再エネを進めなくてはならないのだろうか。後編「メガソーラーの環境破壊大反対」ぺこぱの二人に東大教授がプレゼン。「納得」を勝ち取った「再エネの真実と未来」ではそのどちらも守るための社会作りについて、ステージで語られたことをお伝えする。
「みんなでつくろう再エネの日」…気候変動を食い止めるための解決策として、効果が期待される再生可能エネルギーのことを多くの人に理解してもらい、広めるためにと一般社団法人Media is Hopeが主催するイベント。3回目を迎えた2025年は、9月27、28日の2日間にわたって開催された。
「気候の危機にどう向き合うか」資料データ提供/江守正多 撮影/umami.
FRaU編集部
船田の再生エネルギー関連記事












