ああ、気持ち悪いな...。




チマを着る時に、

胸下でぎゅっと紐を縛られたせいか

それともテンション上がりすぎたせいか

なんだか気持ちが悪い。




ああ、そういえば



大学の卒業式で袴を着た時も、

胃のあたりをぎゅっと締め付けていたからか

慣れない服装をして緊張していたからか

すごく気持ち悪くなったっけ。





そんなことをぼんやり考えながら



気持ちが悪いけれど



せっかく韓服着て

せっかく素敵なロケーションにいるのだからと



韓服返却時間ギリギリまで

気持ち悪いことに気づいていないかのように自分自身を偽う。






カンカン照りのよく晴れた青空の下

2時間程の間、中二病を謳歌した私。




返却時間になって、

名残惜しいように着替え




ふーっと息をつく。





すると突然、


今まで何ともないように平然と楽しく振る舞えていたというのに


ドバーッと気持ち悪さが全身を駆け巡る。





とにかく気持ちが悪い。


吐き気はないけれど、めまいもする。





どこか涼しい場所で落ち着いて休みたい。

なにか冷たいものを飲んでスッキリしたい。




レンタルショップの数件先にあるスタバに駆け込み、


冷たいフルーツティーとアイスコーヒーを流し込む。


韓服を着て無邪気に笑う、自分たちの写真を見ながら空調の効いた店内で1時間ほどゆっくりと過ごす。






良かった、


気持ち悪かったのもだいぶスッキリしてきた。






と安心したのもつかの間、


今度はお腹の底からキューッという痛みと共に寒気が全身を駆け抜けた。


いわゆる急な下痢ってやつが襲来したのだ...

サバンナ高橋の、下痢止め薬のCMが頭を過ぎる。






午後は少し移動してATVに乗ろう!

免許がなくても大丈夫だし、きっと楽しいよ。

mint.がリクエストしていた、テーブルにいっぱい料理が並ぶ韓定食も食べに行こう。

ネットで調べたら、ATV施設も韓定食屋も近いよ。



どうする?先にご飯食べに行く?




私の身にフツフツと確実に起きている変化を知らないナムチンは、


午後の予定を楽しそうにニコニコと伝えてきた。





急激な体調の変化に冷や汗かきながら、

お腹の痛みに耐えている状況では会話に集中できない。




とにかく今はトイレに行かなきゃ...




うまく会話を遮り、


ナムチンに私の緊急事態を察されないよう、スマートにトイレへと立つ。



ナムチンが今の私の体調を知れば、きっとすごく心配して午後の予定はすべてキャンセルするだろう。


ナムチンがATVをとても楽しみにしていることくらい私には容易に想像がつく。


ナムチンと楽しい時間をすごすためにも、この緊急事態は迅速に処理してやり過ごそう。




...とナムチンを思いやっているようだけれど、


本当はナムチンに

下痢女なう。ってことを知られたくない...という女の恥じらいやプライドが邪魔をして、素直に体調不良を伝えられなかった。



下痢女なう。な緊急事態は秘密裏且つ迅速に処理して闇に葬る必要があった。






平然と何事もないかのように落ち着いた足取りでトイレへ向かう。





緊急事態だというのに


ここのトイレは果たして綺麗だろうか?


と、気になり、


万一アウトなら別のトイレまで我慢しなくちゃ...なんて考えてしまう自分が少し気の毒にも思えた。




心配することなかれ。


さすがは世界のスターバックスコーヒー。


コーヒーも美味しければ、トイレも綺麗。


ありがとう、スターバックス...






朝から真っ赤な激辛カップ麺なんて食べたから、お腹が驚いたに違いない。



いくら韓国料理が好きでも、

私の身体は日本のDNAで構成されている。



味噌や醤油との相性は良くても、

激辛カプサイシンを朝から摂取するには不向きなスペックなのだ。




比較的辛いものも食べることができるのだが、これまでも辛いものを食べた直後にお腹が緩くなることがごくたまにあった。





きっと一時的なものだろう...





トイレで少しスッキリして、
何事もなかったかのように席に戻る。






先にATVにしようか?

まだお腹空いていないから。


そうナムチンに伝え、スムーズに会話に戻る。




だけれど楽しい会話は長くは続かない。



着席して十分足らず。

グルルル〜ッと先ほどよりも強い痛みと共に第二波が襲って来たのだ。



敵はしぶとい。





あ〜飲み過ぎたわ〜、

そろそろ移動するでしょ?

ATVしに行く前に、もう一回トイレ行っておいたほうがいいよね!



なんとか気づかれないようにトイレへ向かう。







それにしても何かが違う。



お腹の底からやってくるこの痛み、ただモンじゃない。



朝から激辛カップ麺でカプサイシンを摂取し過ぎただけでこんなに酷い痛みがあるとは。


下痢止め薬を持ち歩かずにスーツケースに入れっぱなしにしていた事を後悔しながら、とにかく出し切る。


サバンナ高橋の顔がチラつく。






よし、これでもう大丈夫...




全て体外に出し切った!!




敵を追い出したのだ。







<続く>