「お疲れ様」「ご苦労様」の使い方〜『国語に関する世論調査』
令和6年度「国語に関する世論調査」(文化庁)の結果が発表されましたね。
46ページ「仕事後に掛ける言葉」は、興味深く読みました。
という問いに対し
(1)一緒に働いた人が、自分より職階が上の人の場合
・「お疲れ様(でした)」……77.1 % (60代以下で8割台)
・「御苦労様(でした)」…… 3.5%
(2)一緒に働いた人が、自分より職階が下の人の場合
・「お疲れ様(でした)」……71.2 %
・「御苦労様(でした)」…… 14.9%
という結果が出ています。
この傾向は、昨年出版した『その敬語、盛りすぎです!』の174ページにも書いています。
(P174、目上でも目下でも「お疲れ様」が増えている)
今回の調査でも「目上・目下を問わず、「お疲れ様」が主流になっていることが分かりますね。
年齢別に見ると、70歳以上では「目上・目下」で使い分ける人が他の年齢層よりも多いようです。
この結果を見て、中には「会社の研修では、年長者には『お疲れ様です』、年少者には『ご苦労様です』と教わったのに……」と不思議に思う人もいるかもしれません。
確かに、以前はそういう研修が多かったかもしれません。また、目上・目下と区別して書いてある敬語の本もあります。
ではなぜ、こうした変化が起きているのでしょうか。
今回の資料の問6の付問1に着目できます。
という問いに対し
・相手を尊重する気持ちを表せるから…… 73.2%
・表現がやわらかく人間関係を円滑にすることができるから……59.3%
・相手と自分の立場をはっきりとさせて、けじめをつけることができるから……40.2%
・表現が上品に美しくなるから……16.7%
敬語を使う場面はいろいろあり、目上・目下を区別した方が好ましい時もあります。
しかし、今回の終業時の挨拶に関しては、目上・目下の区別なく、互いに労をねぎらう気持ちから、どちらにも「お疲れ様」を使う人が増えているのでしょうね。
また「失礼なことがあってはいけない。どちらに対しても丁寧に言っておけば安全だ」という気持ちもあるかもしれません。
私見ではありますが、年々丁寧になっていく敬語の性質を考えると、ここから「自分より年少者にはやはり『ご苦労様」を使おう」という方向に戻っていくことはないと思われます。
*「ご苦労様」が失礼には当たらないという説もありますが、今回はややこしいので、その話は置いておきます。
仕事が終わった時の挨拶「お疲れ様」「ご苦労様」の使われ方、いかがでしたか?
言葉は常に変化しています。敬語力も、アップデートしましょう!
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