今日の東京は霧雨の降るセンチメンタルになりそうなお天気でした。
でも、ミッドタウンの地下道から上がったところに、瓶覗き色の暖簾を見つけ、
その「初夏」を思わせるしつらえに元気を取り戻しました。
日本の伝統的な色名(しきめい)の中でも「瓶覗き」は、興味深いネーミング
です。藍染めの染めの段階で色名が変わり、それぞれについた名前は
美しい響きの日本語です。
藍染めは、タデアイの葉を醗酵させて団子状にした蒅(すくも)を藍瓶に入れ、
石灰や灰汁、清酒などを加え、さらに醗酵させた液に糸や布を浸し染色しま
す。藍瓶に浸す回数が少なくて、瓶をちょっと覗いただけのような、ごく薄い
色のことを「瓶覗き」といいます。
さらに染めを重ねると、浅葱(あさぎ)、縹(はなだ)、藍(あい)、紺(こん)と
なります。瓶覗きや浅葱のように染めの浅い段階の色は緑みにより、藍や
紺のように濃く深い染めは紫みによります。
水色という名前は平安時代からあり、この瓶覗きという名前は江戸時代に
できたものだそうです。四十八茶百鼠というくらい茶色と鼠色のバリエーシ
ョンが多く、藍染めもその堅牢さで身分の高低に関係なく愛された江戸時
代だけに、名前の由来を知るとそれをつけた江戸の人の粋がいっそう感じ
られますね。
これから夏に向かう季節、日本の伝統色を見つけたら、この名前を思い出
してくださいね。
