漢方による麻疹(はしか)治療 | 瑞霊に倣いて

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  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

竹葉石膏湯エキス細粒G コタロー

 “麻疹はビールス、即ち沪過性病源体によって起こるといわれ、患者の唾液や鼻汁がくさめのときに飛び散るのを吸い込んで感染する。感染後十一日頃に発熱し、十四日目に発疹する。始めは感冒のように盛んにくさめが出たり、鼻汁が出たりして、やがて三十九度以上の熱が出て、咳やくさめがひどくなり、時には鼻血が出たりする。

 この時、口の中の頬の粘膜や、眼瞼の裏をしらべると、赤いくまどりのある白い斑点が現われる。これを「コプリック氏斑」と呼んでいる。そのうち熱はいったん下がり、中一日おいて再び高熱が出る。これは発疹の出る熱で、この熱と同時にまず耳の附近から大粒の砂粒の赤いブツブツが発疹し、たちまち頸から胸、腹と拡がり、一昼夜から二昼夜の間に、手足まで全身にひろがる。

 この発疹の特徴は、皮膚全体が真になるようなことはなく、赤い発疹の間に、普通の健康な皮膚の色が残っている。発疹と同時に結膜炎を起こして目やにが多くなり、咳も増加し、食欲がなくなる。この状態が三~五日続いて、次第に熱が下がり始め、発疹の色もあせて、褐色のしみとなり、糠のように皮がむけて消える。

 麻疹は二~六歳の間に一度は必ずかかる病気で、一度かかれば一生涯免疫ができる。麻疹そのものは、順調に経過すれば心配はないが、最も多く起こる合併症は気管支炎、肺炎、中耳炎等で、これは往々髄膜炎(昔は脳膜炎といった)を引き起こして重症となる。また危篤の症状を起こすものに「麻疹の内功」というのがある。これは麻疹の中途で、身体を冷やしたような場合、体質によって、急に発疹が消えて、心臓衰弱を起こし、チアノーゼの症状を呈する。これは麻疹肺炎を起こしたものである。

 また麻疹の後、潜在していた結核が、発病することが多いから慎重にすべきである。(矢数)

 

 一般に寒い風、冷却を慎み、次の如き漢方を選用する。

[升麻葛根湯] 麻疹の疑いがあり、又は診断が確定したときには、速やかにこの薬を与えて発疹を促す。

[葛根湯][桂枝加葛根湯] 前方は苦味が強いので、服薬を嫌うことがある。そのときは葛根湯がよい。もし初めから自汗があって、体力の虚弱な者には桂枝葛根湯がよい。

[葛根湯黄連黄芩湯] 高熱があって、呼吸が苦しく、咳嗽があって下痢気味のときに用いる。またこの方は麻疹内功のときにも用いられる。

[竹葉石膏湯] 十分発疹しても、なお高熱が続き、口渇甚だしく、不安うわごとを発し、悶え躁ぐものにはこの方がよい。

[小青竜湯加杏仁、石膏] 気管支炎、肺炎を併発して、咳嗽、呼吸困難を呈するものに用いる。

[二仙湯] 発疹が俄かに消退し、肺炎、或いは脳症状を発し、呼吸困難、チアノーゼを呈し、悶え躁いで、危篤の状を現わした場合は速やかにこの方を与える。内功時の諸危急の症状に対して用いられる。(矢数)”

 

(大塚敬節他「漢方大医典」(東都書房)より)

 

*文中の(矢数)とあるのは、漢方の名医であられた矢数道明先生のことです。

 

*『麻疹は冷やしてはいけない』といわれていますが、「東京都こども医療ガイド」のHPには、『熱があるときでも無理に冷やすことはありません』とある一方で、『熱で、少しつらそうなら、気持ちがよいように冷やしてあげましょう。貼る冷却シートや氷まくらは、熱を下げる効果は期待できません。お子さんが嫌がらなければ額などに貼り付けて、冷たい感触で気持ちよくしてもかまいません。』と載っています。

 

*この昭和32年に出版された「漢方大医典」には、麻疹については『鍼灸治療は不適当である』とあります。また文中の「二仙湯」の処方についてですが、矢数先生によると『黄芩と芍薬を各3グラム』となっていますが、検索してみますと現在の二仙湯は全く異なる処方になっています。どちらが正しいのかは私には判断できません。

 

 

 “だれでも、一度はかかるといわれている流行病の一つです。年令が若いうちにかかった方が軽くすみます。またこの病気は、その年の流行によっても軽重があるようです。はしかそのもので命をとられるようなことはありませんが、肺炎を併発したり、手当を誤って内攻したりしますと生命の危険がありますので、十分に注意が必要です。

 はじめは、カゼのような症状ではじまります。頭痛、発熱があって、鼻カタル、結膜炎をおこします。セキやくしゃみがでて、白目が赤くなり、涙がでます。目やにが多くなり、まぶたの裏が赤く腫れあがるので、泣いた後のような表情になるのが特徴です。赤いあずき粒ぐらいの発疹が、耳のうしろや額の生え際に、まずあらわれ、やがて額から胴の方へ下ってきます。そして全身いちようでなく、たくさんあらわれるところと、まばらなところとがあります。発疹のでる二~三日前に、口をあけてみると、頬の粘膜で、はじは下の奥歯に接するところに、コブリック斑という斑点ができますので、早期診断の役に立ちます。

 はしからしいと決まったなら、まず葛根湯を与えます。平素、体の虚弱な者には桂枝湯に葛根六・〇を加えて用います。熱が三十八度から四十度ぐらい出ることがありますが、決して氷などで冷やしたりしてはいけません。葛根湯を与えておけば十分です。下痢をおこす者がありますが、これも葛根湯だけで十分ですが、もし発汗しやすく、喉がゼイゼイして下痢する者には葛根黄連黄芩湯を与えます。

 熱が高く、喉がゼイゼイして、体の節々が痛んだり、発疹が思わしくなく、鼻血が出るような者には麻黄湯を与えます。これで、たいていはよく発疹してしまいますから、すっかり発疹して、熱が下がりましたら小柴胡湯に転方して、すっかり発疹のかさぶたが落ちてしまうまで、小柴胡湯を続けて用います。

 十分に発疹すれば二~三日で下熱します。もし三日以上たっても下熱せず、なお高い熱が続くようでしたら、肺炎の疑いがありますから竹葉石膏湯を用います。また発疹が、突然消えてしまうようでしたら内功です。すぐに大青龍湯を用いて、再び発疹を促さなければなりません。はしかが内功して、腹痛、下痢するような場合には黄芩湯を用います。

 食事は二~三日くらいは、食べたくなければとらなくとも心配ありませんが、発疹の経過中は流動食をとらせます。口が渇きますから、生水を少しずつ与えて下さい。

 発疹期が過ぎて、セキが頻発し、呼吸困難を起こすようでしたら、気管支肺炎の併発です。小青竜湯に杏仁 三・五、石膏 一五・〇を加えて用います。”

 

(荒木正胤「漢方養生談」(大法輪閣)より)

 

 

*東亜医学協会「漢方の臨床」誌2009年4月号(第56巻第4号)には、症状が悪化して深刻な容体となった成人男性に対し、竹葉石膏湯を中心とする漢方治療によって速やかに治癒させえた症例についての高木恒太朗医師による論文が掲載されています。以下がその論文です(全文ではありません)。

 

 

・「麻疹の重症例に漢方治療が著効した一例」 高木恒太朗

 

要旨

【緒言】麻疹にて高熱が持続し、起坐呼吸を伴う呼吸困難が出現して麻疹肺炎への移行が危惧されたものに対して、これを典型的な傷寒として定型的な漢方治療を施したところ、非常によく反応した症例を経験したので報告する。

 

【症例】二十四才、男性。一週間前から38~40度の発熱が持続し、咽頭痛、湿性咳嗽などの上気道症状に加えて全身に典型的な発疹が現れた。食事もほとんど摂取できず、全身倦怠感と胸部不快感も非常に強いため入院の上治療を行った。竹葉石膏湯の大量投与にて速やかに解熱して胸部不快感がとれ、その後柴朴湯加味に転じ倦怠感、咳嗽などの症状も改善した。嘔気が強かったので小半夏加茯苓橘皮湯を適宜併用した。退院後、麻疹ウィルスIgM抗体は陽性、麻疹ウィルスIgG抗体は陰性であり、急性期の麻疹であったことが確認された。

 

【総括】西洋医学的には根本的な治療法のない本疾患に対して漢方治療が非常に有効であることが示された。近年、麻疹のみならず鳥インフルエンザ、SARSなど抗生物質では治療できない感染症が問題になりつつある。本邦では江戸時代から麻疹治療について多数の文献があり、これらを参考にしつつ急性のウィルス感染症に対する漢方治療を定式化していく努力が望まれると考えた。

 

緒言

麻疹による死亡は予防接種が一般化してから非常に減少した。しかし、現在もなお年間数十例の死亡例があり、その大半は0~4歳児である。近年の麻疹流行はワクチンの発症頻度が低いために二次性ワクチン効果不全の者が蓄積されて集団としての免疫を低下したこと、またワクチン未接種の者が十代後半で5~10%程度あることなどが原因になっていると考えられている。

また、本症が一旦流行してしまうと追加のワクチン接種の体制は間に合わず、西洋医学的には有効な治療がないため、維持輸液や対症療法を行うに留まらざるをえない。

今回、竹葉石膏湯を中心として漢方治療を施して速やかに治癒させえた比較的重症の成人麻疹症症例を経験したのでここに報告する。

 

麻疹の重症例に漢方治療が著効した例

麻疹の漢方治療と竹葉石膏湯

 

総括

1、西洋医学的には根本的な治療法がない本疾患に対して、本邦では漢方による麻疹治療について江戸時代から多数の治験や文献が見られ、一定の体系化がなされている。これらを参考にすることにより重症化した麻疹の症例に対して比較的定型的な治療が可能と思われた。今回、比較的重症の成人麻疹症例に竹葉石膏湯を中心とした漢方治療を施し、経過は非常に良好であった。

2、高熱があっても、竹葉石膏湯証を用いてよい。

3、急性疾患に竹葉石膏湯を用いる場合には、常用量の2~3倍あるいはそれ以上の量を反応を見ながら注意深く投与する必要がある。

4、麻疹の治癒後に、従来長年悩まされていたアレルギー性鼻炎の症状もすっかり消失した。

 

(「漢方の臨床」2009年4月号 高木恒太朗『麻疹の重症例に漢方治療が著効した一例』より)

 

*東亜医学協会が発行する「漢方の臨床」誌は、昭和29年の創刊以来既に70年以上の歴史があり、漢方・和漢薬についての貴重な情報が数多く掲載されています。漢方医でなくヒーリングに関わる方々や気功や太極拳をされる方々にとっても色々と勉強になると思います。

 

*現在麻疹(はしか)が流行の兆しを見せていますが、麻疹の予防にはワクチン接種が有効で、もしウィルスに感染しても72時間以内であれば発症を防ぐことができます。しかし、いったん発症してしまうと治療法がまだ確立していないため、解熱剤の投与や点滴などの対症療法しか打つ手がなく、1000人に1~3人は命を落とすと言われています。そして、たとえ治っても後遺症の心配があり(主に脳炎)、5~10年後に発症することもあります(亜急性硬化性全脳炎)。麻疹の疑いがあれば迷わず病院へ行き、医師による治療を受けるべきであるのは当然ですが、どうか治療の選択肢の一つとして漢方の存在についても知っておいていただきたいと思います。

 

*亜急性硬化性全脳炎(SSPE)についての動画(2023/06/10)

 

*竹葉石膏湯は、最近は熱中症に効果がある漢方薬として知られているようですが、その名の通り竹の葉と石膏(硫酸カルシウム)を主な原料としています(他に甘草、粳米、麦門冬、半夏、人参)。竹は日本ではどこにでも自生していますし、石膏は海水からも取り出すことが出来ますので(海水を十分の一の量になるくらい煮詰め、30分ほどそのままにして底に沈殿した白い物が石膏)、その気になれば自分でつくることもできます。

 

*漢方薬の入手は手軽で、竹葉石膏湯も漢方薬局で購入できますが、そもそも漢方薬は病名ではなく各自の証に合わせて処方されるものなので、まずは漢方薬局へ行って漢方医に相談するようにして下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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