その日は土曜日だったので、病院は激混み。座る場所もない。
サバちゃんのキャリーを夫が膝に抱えてなんとか角に座る。
サバちゃんのキャリーは、災害時用の用心に、いつもテーブルの下に蓋を開けて置いてあるのだが、
内視鏡の入院から帰宅したサバちゃんが、キャリーが病院臭くて嫌だというので、
押し入れに入れておいた。
まさかたった数日でまた使うとは考えていなかった。
それでも、割と早く呼ばれた。
サバちゃんは出さずに、採取した細胞の病理検査の用紙を見せながら、
担当のドクターは説明をした。
「〇〇である可能性を強く疑う。」という病理の書き方。
それは「これで確実です」と、とらえていいものだということをまず聞いた。
サバちゃんは、
リンパ腫、
だった。
癌だ。
正式には「低悪性度・高分子型 リンパ腫」。
首の周りのリンパ腺が腫れるまではなっていないので、万が一としても低悪性度だと思う、という、
ドクターの見解がそのまま当たった。
だから、だから、「すぐに来てください」という意向の、「結果が来ました」というお知らせだったのだ。
この病気について説明をしてもらった。
服薬で何とか永らえる方向性で行くこと。
それで、平均余命は500日です、とサラッと言われた。
もちろん、薬をやらないですぐに死んでしまった子や、薬がうまく効いて寿命と思われるほど長く生きられた子も含むので、
あまりこの日にちは気にしても仕方がないです、と言われた。
余命500日?
いやいや、そんなはずはない。
それはあり得ない。
わたしは、ショックも受けなかったしまともに受け入れることもしなかった。
もちろん、変な吐き方をし始めた8月下旬に来て、すぐに内視鏡検査を受けていたら…と、
悔やまれる気持ちはある。
それでも、遅すぎたという思いはないのだ。
そんな余命は受け入れられない。
治療法は投薬。やめていたステロイドをまず復活させ、一日おきに一錠だったものを、
当分の間一日に2錠。
そして抗がん剤。
「クロラムブシル」という錠剤を飲ませることになった。
その薬を扱うときの注意事項を聞き、
体温管理が必要であると聞き、
ア〇ゾンとかでペット用の先がシリコンで痛くないのが売ってますよとも教えてもらった。
食べ物は、ウェットオンリー。
サバちゃんには腎不全の子用の、缶詰めとパウチを夫が定期購入してくれている。
でも、二種類のゴハンだけではつまんなくないかなあ?と思い、
帰りにホームセンターに寄ってもらい、いつもは食べていない缶詰やパウチも買ってあげることにした。
夫は動物病院の精算待ちの間に、いつもの缶詰の定期購買以外の発注をかけてくれた。
サバちゃんの体重を計った。
4.9キロに減ってしまっていた。
一時、6キロ越えになってしまったのでダイエットをさせたのだが、
5キロを切ると不安がよぎる。
ドクターは、「これから増やせば大丈夫。」と慰めてくれた。
計算の結果、サバちゃんは、明日から三日ごとに、抗がん剤を飲むことになった。
29日に診断を聞きに来る予定だったが、三回分、早く飲める。
それだけでもラッキーだと思う。
そのたった3回が吉と出るかもしれないではないか。
サバちゃんを車に残してホームセンターでいろんな缶詰やパウチを買ってみた。
これから二人で闘病生活。
わたしは、気が張って緊張状態だった。
余命500日って、たった1年4か月だよ。
そんな余命は受け入れない。
絶対に死なせない。
そんなの認めない。受け入れない。
絶対に、もう二度とサバちゃんを怒らないと強く決めた。
猫に怒ってたわたしが愚かだった。
明らかにわたしの罪だ。
だったらわたしが改心して、サバちゃん第一にして、寄り添って生きる。
たった500日なんかで奪われてたまるか。
絶対にそんな短い期間で死なせない。
薬は、必要だからきちんと飲む。
そのほかに、はっきりと科学的に有効であるのが、
「笑い」と、「祈り」。
わたしはごくごく限られた人にのみ、サバちゃんがガンであることを打ち明けた。
そして、彼女らに、一つだけお願いをした。
おねがい。
サバちゃんのために
祈って…。

2021.11月