病棟を歩いている時
ごめんね
あっ!
おばちゃん先生じゃなくて
やさいしじゃないよ
頑張ってるんだもん
と…
ちいさな子ならではの高い声で
あしながおばちゃーん
また来てくれたの?
おねえちゃんは?
あどけない表情で私に向かって
声をかけてくれた女の子がいました。
ハロウィンで、私や娘のことを
あしながおじさん?
そう言ってくれたあの女の子です
ごめんね
今日は違うんだ
おばちゃんね
病院でお仕事してるんだ
そう伝えると
あっ!
ほんとだあ
おばちゃんはせんせい?
先生?ん???
そっか!
薬剤師も白衣だから見分けがつかない
だから先生なんだと気付きました。
おばちゃん先生じゃなくて
薬剤師なんだ
やさいし?ってなに?
かわいい、かわいい顔で聞いてくれて
そばにいたお母さんが
やさいしじゃないよ
やくざいし!
おくすりのおいしゃさん
そうフォローしてくれました。
やっぱり親子
純粋なお子さんのお母さんは
すごく素直なんだなあって感心しました。
薬剤師をお薬のお医者さんだなんて
なかなか思いつかない発想ですよね
仕事中だったので
あまり長く話せなかったけど
3月16日に骨髄移植が決まり
術前検査も終わったとのこと。
骨髄移植は、移植してからの方が
大変な治療です。
骨髄を体の中で自分の骨髄同様に
正常に働かせるためには
移植後の合併症と戦わなければいけないし
それは想像を絶するほど辛いこと
大人でさえ根をあげる治療を
あんな小さな体で受けなければならない
親なら、誰だって我が子の生を望む
何と引き換えにしても
我が子が生きる道を選ぶ
女の子以上に、お母さんが苦しむことも
たくさんあります。
それでも…
我が子の生きる道を必死で探して
苦しむ我が子を張り裂ける心に蓋をして
笑顔で必死に支える
だからこそ
苦しい治療は報われて欲しい。
心からそう思います。
彼女の未来が明るいものであるようにと
願わずにはいられませんでした。
未来には辛いこともあるかもしれない
それでも病気を克服して欲しい
私の息子は叶わなかったけど
一人でも多くの患者さんに
病院を元気に退院して欲しい
毎日そう思います。
難病を克服した子供たちは
健康な子と比べると小さな子が多い
食べたいのに食べられない子も多い
あんなに苦しい治療に耐えても
再発や二次ガンのリスクを抱えて
病気のために
一つしかない手や足を失って
たくさん悔しい思いをする子もいる
私は、我が子を亡くしたけど
治療のその後を経験したことはなくて
想像することしか出来ないけど
毎日、色んな人が行き交う病院では
考えさせられることが多くて
グルグル考えても結局いつも同じ答え
頑張ってるんだもん
大丈夫!
大丈夫じゃなきゃダメ
割りが合わないじゃん!
なんて思うんだよね。
体が小さくたって
負けないほどに心が大きければ
乗り越える力は強いから。
そばで支えるお母さんは
いつもきっと迷うと思う。
辛ければやめていいよって
苦しければ行かなくていいよって
頑張らなくていいよって
言いたい気持ちに蓋をして
逃げ道を作る知恵に蓋をして
何度も何度も葛藤しながら
自分自身に喝を入れて
我が子の背中を押すお母さん
私は昔
こんなことを聞かれました。
どんなにハンデを背負おうと
病気になる前より風貌が変わろうと
生きてるんだからいいでしょ?
贅沢だよ。
そう思わない?
と…
正直、そう思ったこともある。
息子のいない日常は
あまりにも喪失感が大きくて
生きてさえいたら、どんな姿でもと
贅沢だと思ったこともある。
でも、今は思わない。
むしろ、不公平じゃないかと
憤りさえ感じる。
頑張って、頑張って
病気を克服しても
まだリスクがつきまとう
そんなの不公平だって
いつも思う。
私は母親だから
少なからず母の気持ちはわかるけど
遥かに辛く不安だろうと思うから。
でも
そんな葛藤には意味がある
ないわけない!
お子さんは幸せをもたらす
幸せの木みたいに成長するから。
あの頃って
今を過去にすることが絶対に出来るから。
毎日、医療の現場から
頑張れ!頑張れ!って
応援しています。
子供たちの未来を作るために
病気を治すお手伝いができる仕事に
また誇りを持てそうな気がします。
今が雨でも
いつかは晴れる日が来るから
前へ前へ進んでいきましょうね。
いつも
たくさんの勇気と力をありがとう