実は、もうかなり以前から、スイス日本語教師の会のあることは存じておりました。けれども、私には日本語を教える機会がなかったので、ご縁がないと思っておりました。
ところが半年前、縁あって二人の生徒さんに日本語の個人教授をすることになりました。そして、すぐに大変なことに気がつきました。私は、日本語の文法を知らない!日本語の仕組みを説明する言葉を持っていない!ひとりで呆然としました。
ひらがなさえ見たことのない人に、どうやって読み書きを教える?フランス語の文法しか知らない人に、どうやって日本語の文章を教え、話して貰う?回を重ねれば重ねるほど、わからないことが出てきます。
身近に相談できる人も無く、悶々としていたところに、助けの神が現れました。日本語教師の大先輩、F子さんです。F子さんにこのセミナーを教えて頂き、すぐに参加を申し込みました。藁をも掴む思いでした。
本当を言うと、このセミナーは、新米の私には、レベルが高いのではないかと不安でした。講義について行けるかしら?
それは杞憂でした!ご参加された皆さんは、私よりも遥かにご経験が豊富です。それなのに、まわりの誰彼に私の悩みをご相談すると、どの方も皆、どうすればいいか、気持ちよく教えて下さいます。本当に気持ちよく。
K先生のご講義は、目からウロコでした。私は、自分は新米なので「教え方の手引き」にある通りに、くそまじめに教えようとしていました。それが、根本思想は「自己開示」とは!教科書をなぞらなくても良い、生徒も教師も自分の気持ちを出して良いーーそれは、私にとって肯定のメッセージでした。なんだか、教えることが楽しくなってきました。
また、例を沢山挙げてそこから言葉の用法を考える、という方法は、理論と現実の繋がりを理解するために大変役立ちました。普段意識しないで使っていた日本語に、もっと注意を向けたいと思いました。
セミナー運営のすばらしさも、忘れることができません。会長のM様を始め、役員の皆様が丁寧に心を込めてご準備されたことが、良くわかりました。
会場でお目にかかった皆様一人一人の、日本語の先生としての真摯なお気持ちと、女性らしい優しさ、明るさには、感動致しました。皆さんのお声と姿勢の良いことにも、すぐに気がつきました。日本語教師って、きっと女性を輝かせる、良い仕事なんですね。
感情を表わすこと。それを、教室で行なっていいこと、そうすることで、生徒の興味を引き出し、学ぶ楽しさを実感して貰えるのだということ。言葉を使う目的は自己表現なのですね。思い起こせば大昔、初めてヨーロッパを一人旅したとき、つたないドイツ語やフランス語で人と言葉を交わすことを、私はヤクヤク楽しんでいたのでしたっけ。
「それでいいのだ!」
(2015.03.28)
