イメージ 1

 法隆寺の五重塔などを中心に見や大工さんを取材して書かれている。地震国の多い日本であっても奈良時代以来、倒壊することなく立ち続けているのは、箱を重ねたような揺れを吸収する免震構造だからとか、釘が一本も使われていないとかは、よく知られたこと。
 写真集みたいな本で、記述に深みはほとんど無いけれど、無理して読書記録を作っておいた。

 

 

【五重塔は「一階建て」】
 塔は3つの部分からなっている。一番下が基壇。塔全体が立つ土台である。その上に塔の本体をなす塔身が立つ。 ・・・(中略)・・・ そして最上部が屋根の上に立つ相輪。これが塔の祖先のストゥーパの名残で、日本に五重塔が伝わった当初から、鋳物所で鋳物師が土の鋳型に銅を流し込んでつくっていた。(p.11)
 五重塔は五階建てのように見えるけれども、実際は一階建て、つまり「五層一階」の建築である。(p.11)
 各層にある高欄と呼ばれる手すりも、実用ではなく飾りなのだという。
 塔身内部のほとんどは、各層から張り出した瓦屋根の重みを支える木組みで占拠されているらしい。
 五重塔は登って外を眺めるための建築ではなく、外から眺めるための建築なのである。(p.11)
 木造建築では、あれだけ張り出した瓦屋根の重みを支えつつ、十分な内部空間をつくるのは無理なのだろう。
 中国の広州には、六榕寺に九層塔がありテッペンまで登ることができるけれど、近年造られた鉄筋コンクリート造である。
 因みに日本で一番高い五重塔は、
 京都・東寺   55m。(14階建てのビルの高さに相当)創建は江戸時代?
 次は
 奈良・興福寺  50m。(13階建てのビルの高さに相当する)創建は室町時代。
 最古の五重塔は、
 奈良・法隆寺  32m。( 8階建てのビルの高さに相当する)創建は奈良時代。

 

 

【金剛組】
 大阪の「金剛組」は、聖徳太子が創建した四天王寺の正大工職を承って以来、千四百年の歴史を誇る寺社建築会社。現在も3つの五重塔を手掛けている。(p.19)
 日本の企業は、世界と比較すると長寿企業がとても多いけれど、金剛組はダントツで世界一の長寿企業である。
   《関連》   『謎の古代図形』  秋山清  コスモトゥーワン
             【大和比】

 

 

【法隆寺の五重塔】
 ほかのお寺の五重塔もきれいなんだけれど、法隆寺のはな、千三百年前、それこそ道具もあまりないのに、これだけの木を組んで、今こうして立っているということが特別なんや。
 これをつくった飛鳥の人は千三百年ももつとは思っていなかったと思うよ。偶然に残っているんでしょうな。
 それと、法隆寺に政治的な力がなかったからもったとも考えられるね。 ・・・(中略)・・・ 。
 最初は、こういう建物の造り方は朝鮮半島から来た大工さんに指導されたんだな、瓦のつくり方なんかも一緒にな。
 しかし、向こうのつくり方を鵜呑みにはしなかったということだ。それっていうのは、中国の建物はみんな軒が短いだろう、胴があって。軒がちょこっとあるだけ。雨がそれほど多くないからそれでいいわけだ。だけど、日本は雨が多い。湿気があるから、基壇を高く軒を深くして、対応したわけだな。
 塔の形状を表すのに逓減率(初層の幅に対する五層の幅)という指標がある。だいたい0.5~0.7の範囲らしいけれど、法隆寺の五重塔の逓減率は0.5で、もっとも安定感のある形状になっている。
 日光の東照宮のは、京都の舞妓さんのようにいろんな飾りを付けて形を整えているということだな。法隆寺のは骨格の美や。だからすごいと思うよ。仰ぎ見たときに、どっしりとした感じがあるよな。(p.63)

 

 

<了>