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 イラストが多用され、文章も簡潔なので、具体的に分かりやすい。いわゆるノウハウ書のよう感じである。営業職や一般職の人々にとっては役立つ内容が多いだろう。

 

 

【幅と深さ】
 どんな質問が人の心を開かせるのでしょうか。そのポイントは2つ。ひとつは 「幅」、話題の数です。そしてもうひとつが 「深さ」。 (p.12)
 そりゃあそうでしょう、縦(深さ)と横(幅)で全部なんだから・・・と笑いながら読んでしまった。
 でもって、どっちがより重要かといったら
 モテる女性と言うのは、相手が話したいことを深めていくのがとても上手です。なぜなら人の話の幅を広げてくれたときよりも、話を深めてくれた時のほうが、満足度が高いからです。(p.12-13)
 これも想像通りというか当たり前の記述である。
 人がコミュニケーションを欲するということは、言うまでもなく、多人数で広く浅くより、1対1で深くコミュニケートしたいということなのである。
 会社内であれその他いかなる集団であれ、集団発展の度合いは、一人一人がどれだけ深くコミュニケーションできたかにかかっているといえるだろう。集団としての長期的な目標を達成したいのであるなら、集団の結束を促進するオープンマインドの1対1のコミュニケーションがどれだけできていたかにかかっているはずである。それをしていない所は、よくて横ばいであり、長期的には必ずや内部崩壊的に行き詰まるのである。

 

 

【オープンとクローズド】
 問による相手との関係の深め方は、オープン型質問と、クローズド型質問の使い分けにかかっているとして基本的な4つのパターンが下記のように書かれているけれど、多分、現実は、こんなに単純なものではない。
 クローズド型は 「はい」「いいえ」 でこたえられる質問、オープン型はそれ以外。
① 明確な答えが欲しい(クローズド⇒クローズド)
あなた 「仕事は好き?」
相 手 「べつに嫌いでもないかな」
あなた 「このまま続けていくつもり?」
※ 警察の尋問でよく使われる手法で、クローズドが続くと相手は威圧的に感じる。(p.20)
 確かに、一般的な会話でクローズドが続くと威圧的だろうけれど、情報処理システムの仕事に携わっている人にとっては、不明瞭を許容できないイエスかノーかの論理回路そのままのような会話がミーティングの主流になってくるから、クローズドが連続する質問に対して、淀みなく明確な回答するのが普通であって、そんな回答が返ってこない場合には 「能力不足では?」 という疑惑を持たれてしまうのである。
② 雑談を楽しみたい(オープン⇒オープン)
あなた 「最近、なにやってるの?」
相 手 「まぁ、いろいろかな」
あなた 「いろいろって、なあに?」
③ 共通点を見つけたい(クローズド⇒オープン)
あなた 「休日は、お出かけ派? 家にいる派?」
相 手 「出かけることのほうが多いかな」
あなた 「どんなところへ遊びに行くの?」
④ 本心を聞きたい(オープン⇒クローズド)
あなた 「この企画、どう思いますか」
相 手 「そうねえ・・・」
あなた 「AとB、どちらがいいと思いますか?」

 

 

【信頼関係をつくるコツ】
 会話にはあらゆる境界線を乗り越える力があるのです。
 ただし、乗り越えるためには、ひとつだけ大切なポイントがあります。それは心を 「無にする」 ことです。自分の中にある経験や固定観念をいったん捨てて、相手と向き合うことです。
 自分の価値観を押し付けることが会話ではありません。心を真っさらにして相手の価値観を 「聞く」 ことから、本当の人間関係はスタートするのです。(p.25)
 “心を真っさらにする” とは、相手の年齢とか地位とか学歴とかまわりから聞こえてくる噂話とかによるバイアスを全て取り除く、ということ。
 多くの日本人は黒人に対してちょっと近ずきにくいという色彩感覚的バイアスを持っているから、電車の中でほぼ座席が埋まっていても彼らの両隣だけは空いているという状態にしばしば遭遇する。そんなときチャンちゃんは、その黒人さんに 「オッス」 という意味合いのアイコンタクトを送ってから何事もなく隣に座って本を読んでいるのである。
 偏見や思い込みが優先するようでは、決して知性も人間性も進歩しない。ましてや人のうわさ話の片聞きで結論づけるような人間など、いつまでたっても最低である。

 

 

【リピート会話】
 リピートするだけで、相手は気持ちよく話してくれます。どんどん抱えている問題が明確になって、もやもやした気分もすっきり!  ・・・(中略)・・・ 「聞いてくれてありがとう」 と感謝されるはずです。
 リピートするときのキーワードは 「感情」 です。 ・・・(中略)・・・ 結論づけたり、相手の気持ちを否定したり、説教したりする必要はありません。「そう。大変だったのね」 の一言で、人は癒されるものなのです。(p.30)
 まさに、 “癒し” 目的の会話である。これだけでも癒しを越えて自然治癒へと至る可能性はあるけれど、促進的に完全治癒へと導くには、感情的な同調だけではなく、意志的な具体的方向づけができなければいけない。しかし、それはかなりの経験智なくしてできることではない。安全策としては、一般的なリピート会話による有効性を用いることまでである。
 しかし、これが有効なのは、女性ないし女性的なマインドをもった人に対してなのだろう。そう思ってしまうのは、男性技術職としての職場内会話を想定してしまうから。技術の職場は、心の癒しより具体的問題の解決が優先するところだから、「感情」 の世界ではないのである。どうしても、男性はそんな職業上の性格傾向がでてしまう。
 『地図を読めない女、話を聞かない男』 といわれるけれど、職業上の影響で理性的な左脳優勢に傾いてしまう男性は、「具体的かつ論利的に説明してくれれば納得できる」 のに、「感情を理解してほしい」 右脳優勢の女性にとって、そのような要求内容の男性は、全くもって 『話を聞かない男』 なのである。そのようにして、男女はすれ違っているのである。
 男女は、互いにすれ違って問題を大きくコジらせる前に、生物的性差及び社会(職業)的性差による脳の働き方の違いを、前提として認識しておくことが重要である。

 

 

【座る場所】
 おもしろいことに、ちょっと座る位置を変えるだけで、相手がどんどん話をしてくれる魔法のポジションがあります。
 たとえば、正面に座った時の会話量を 「1」 とすると、 真横が 「2」、 斜めは 「3」 になるという調査結果があります。(p.57)
 お互いに気心の知れた無神経者どうしならどんな位置取りでもいいけれど、そうでない人と会話するなら座る場所を考慮した方がいい。

 

 

<了>