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 あとがきには、「本書を読んで下さった読者の皆さんが、人間は大きな自然環境の中で生きていることを意識し、天気や気温やからだの関係を、時々意識していただければ幸いです」 (p.155) と書かれている。2007年9月初版。

 

 

【8月におでんが売られる理由とは?】
 おでんは 「寒さを感じたときに売上が伸びる」 食べものなので、昨日より今日が涼しく(寒く)感じるようになるお盆すぎは、例え夏であっても 「おでんを食べたい!」 というからだの欲求が芽生える時期なのです。(p.15)
 おでんの販売時期は、気温の下降期(夏の終わりから冬)ということになる。売上のピークは気温が18度を下回る頃だという。
 亜熱帯地域の台湾のコンビニで、黒輪(おでん)が売れる理由は、チョット違う。
            【台湾人のオデン愛】

 

 

【生気象学とWMD・LMD】
 生気象学とはどういうものかというと ―――
 国際生気象学会(International Society of Biometeorology)の定義では、生気象学とは 「大気の物理的、科学的環境条件が人間・動物・植物に及ぼす直接、間接の影響を研究する学問」 となっています。
 この生気象学を、ビジネスに活用するために WMD や LMD といった用語が用いられている。
 WMD (Weather Merchandising) 気象マーチャンダイジング。
 LMD (Life  Weather Merchandising)生活気象マーチャンダイジング。
 これらに関して、セットポイントと基礎代謝量が、中心概念となっている。
 この36.5度くらいに保たれている正常な中心温度を 「セットポイント」 というのです。(p.22)
 基礎代謝量は 「夏は低く、冬は高い」 と覚えてください。 ・・・(中略)・・・ これは、セットポイントを保つための本能的な行動なのです。(p.24)
 つまりLMDとは、
 気象の変化による 「生体機能の変化(セットポイントを守るための基礎代謝量の変化)」 を通じて、商品別の需要予測を行うということです。
 からだが欲しがる無意識の欲求よりも優先すべきものはないのですから。(p.25)

 

 

【年齢によって感じる春の訪れの違い】
 気温はまだ低いけれど、日照時間はだんだんと伸びていく2月末ごろ、若い人たちは、そのころの日差し(光)に 「まぶしい」 といち早く感応して、春の訪れを感じ取ります。
 中高年の場合は、そうはいきません。
 月が変わり3月になって、「暖かさ」 を肌で感じられるまでは、コートを手放せないのです。
 人は年を取ると産熱量が減るため、外気の影響を受けやすくなります。(p.40)
 このように世代によって生体機能の働きは異なっているから、衣類を売るにしても、季節商品の入れ替え時期は若者用と中高年用では異なってくるのである。

 

 

【体感温度】
 体感温度がどれくらいかを推定する方法があります。
 体感温度簡便法がそれ。
 風速は秒速1mにつき1度ずつ外気温から引くことで、体感温度を推定します。
 湿度は、50%以下なら問題はありませんが、50%を越えたときには、10%増すごとに外気温に1度ずつ加えたものが体感温度です。(p.60)
 因みに、自転車の平均的な早さである時速16kmは、およそ秒速4.4mだから、平坦な道ばかりであるなら、自転車は省エネも兼ねて快適な乗り物である。これを書きながら、子ども時代の皮膚感覚を思い出した。ランニングシャツを着て自転車で走りまわっていた時に感じる脇の周辺温度である。
 近代生活は、自然のありさまと体感が乖離して行く傾向にある。危険。

 

 

【飽き】
 アンバランスな栄養の摂取をからだは本能的に嫌います。特にカロリーの高いものほど早く飽きるようになっているのです。
 それとは逆に、毎日食べても飽きないものがあります。
 パンや米です。 (p.69)
 コテコテは飽きるのである。これは食べ物だけではない。メイクアップも同じである。
 民放の女性アナウンサーの多くは、人を引き付ける心理効果の高めるために、瞳を大きく見せるコンタクトを装着したり、目の周りのメイクを黒く濃くしている人が少なくないけれど、これは見ていて飽きるというか纏いつくようで不快ですらある。毎日決まって登場する人は、こってりのソース系メイクから、さっぱりの醤油系メイクに変更してゆくのが基本だろう。

 

 

【魚屋さんの臭い】
 臭いというのは人間の最も根源的な感覚だから、多くのものに影響するけれど、悪臭だけは勘弁してほしい。
 魚のはらわたなどが残ったまま板や手を水で洗い流しますよね。
 そんな魚の脂が排水溝にこびりついていて、そこが腐敗臭の元凶になっていたのでした。先ほども言いましたが、梅雨時は、誰もがニオイ(特に腐敗臭)には敏感なので、主婦のみなさんはこのニオイを嫌って足が向かなくなっていたのでしょう。(p.85)
 綺麗にしている魚やさんであっても、必ず独特のニオイが消えないのは排水溝の汚れが原因なのだろう。
 電車内で、隣にヤニのしみついたスーツを着た人に座られると、たばこを吸わない人はたまったものではない。
 パン屋さんや喫茶店はいい臭いを客引き利用しているけれど、良い臭いであっても人は慣れてしまうから、同じいい匂いを長期間続けていても効果は漸減する。

 

 

【LMDの具体例】
 昇温期には軽い噛み応えのものが好まれ、降温期にはしっかりした噛み応えのものが美味しく感じられます。(p.91)
 私はソフトクリームを例に、「季節と好みの味」 の表を作ってみました。
 2月下旬から気温が上がっていくときにはイチゴですね、5月からがアセロラなどの酸味が強いものに変わります。夏の暑い時期はトロピカル・フルーツのマンゴー。そして冬のチョコレートへのつなぎには、栄養価が高いカボチャが面白いと思います。(p.95)
 昇温期のキーワードは 「直観」 です。(p.145)
 降温期のキーワードは 「理詰め」 です。(p.148)

 

 

【気象情報を上手に使うテーマパーク】
 何しろテーマパークなどは、曜日や天候によって客数は10倍も違ってくるから、転向には一喜一憂することになります。(p.123)
 天候による変動に対応するために、非常勤スタッフは常勤スタッフの10倍確保されているという。
 雨の予報のときには、パレード中に雨が降ると衣装が汚れてしまうから比較的古い衣装を着用したり、風の強い日には、風向きに従って花火の打ち上げポイントをその都度変更していると書かれている。

 

 

【雨天型商品・晴天型商品】
 さつまいも、かぼちゃ、台所用品(ラップ、食器用洗剤)、歯ブラシ、ペット用品、傘、映画館、レンタルビデオ、宅配ピザ。
 これらを 「雨天型商品」 と呼びます。 (p.129)
 さつまいもとカボチャが何で 「雨天型商品」 に入るのか明確な根拠は書かれていない。黄色くてホカホカ系の食材は、湿っぽい心を温めてくれるのだろう。
 ちなみに晴れの日に売れる 「晴天型商品」 を紹介しましょう。
 洗剤、ガーデニング、DIY用品、殺虫剤、洗車用品、フィルム、エクステリア(植木)、宝くじ。(p.130)

 

 

【異常気象型商品】
 台風や大雪などのときによく売れる商品群を、「異常気象型商品」 と呼びます。
 乾電池、軍手、ロープなどの雑貨類、ペットボトルの飲料水、保存食(乾パン、即席食品)などです。(p.135)
 まさに震災グッズである。手回し発電の懐中電灯などがネット上で販売されているけれど、省エネではなく脱エネ関連の商品群はもっともっと生産されるべきである。ペダル式の健康器具を充電器とタイアップさせて販売したら良いだろうにと誰だって思うことだろう。

 

<了>