
ひきこもりの人って、たいてい怠け者みたいな生活をしているのだろうから、そんな彼らにとって、この本は啓発的な効果を持っているのではないだろうか。デスクワークだけの労働ですんでいる運動不足の近年の多くのサラリーマンにとっても同様かもしれない。
【ナニモセン王】
ナニモセン王家のDNAからみると珍しい性質のピンパーネッラ(愛称、ピッピ)は活動的な王女だった。大臣や召使いを当てにせず、病気治しの魔法使いをお城から追い出してしまい、賢い人を訪ね歩き、ガウデオという男の子と、彼のおじいさんの協力を得て、王さまの病気を治してゆく。
ある国に、ナニモセン五世という名前の王さまがいました。 ・・・(中略)・・・。ナニモセン五世のお城には、ピンパーネッラ王女のおつきの女官も入れると、333人もの家来がいました。(p.5)
食べることと寝ること、それに金貨を数えることだけが大好きな王さまは、それ以外のことは何もせず、とうとう病気になってしまった。ナニモセン王家のDNAからみると珍しい性質のピンパーネッラ(愛称、ピッピ)は活動的な王女だった。大臣や召使いを当てにせず、病気治しの魔法使いをお城から追い出してしまい、賢い人を訪ね歩き、ガウデオという男の子と、彼のおじいさんの協力を得て、王さまの病気を治してゆく。
【青色ポチポチ病】
医者に扮したガウデオとピッピの智略。
この後、ピッピは湖で溺れたふりをして、王さまに救出させる。
医者に扮したガウデオとピッピの智略。
「王さま、わたしは、魔法のぬり薬をもっております。王さまさえよろしければ、すぐに手当てを始めたいと思います。」 ・・・(中略)・・・ 。
王女さまはハンカチを目にあてて、泣いています。
「ああ、みなさん、えらいお医者さまがおっしゃるには、パパは青いポチポチのでる、青色ポチポチ・トンデモ・ヤッカイ病という、おそろしい病気なんですって。かわいそうなパパ。(p.60-63)
召使たちは伝染を恐れてお城から出ていってしまった。王女さまはハンカチを目にあてて、泣いています。
「ああ、みなさん、えらいお医者さまがおっしゃるには、パパは青いポチポチのでる、青色ポチポチ・トンデモ・ヤッカイ病という、おそろしい病気なんですって。かわいそうなパパ。(p.60-63)
この後、ピッピは湖で溺れたふりをして、王さまに救出させる。
「もう病気はなおったみたいよ。泳ぐのは、この病気にいちばんいいんですって。」
そういわれた王さまは、あっけにとられたように、自分の手や足を見つめました。(p.75)
お城に召使はいなくなり、ナニモセンわけにはいかなくなった王さまは、ガウデオとピッピの導きで、すべてのことを自分でするようになり、肥った体は締まりやがて健康になっていった。そういわれた王さまは、あっけにとられたように、自分の手や足を見つめました。(p.75)
【書かれた当時の時代背景】
この作品は昔話の形式を借りてはいますが、内容はとても現代的です。
昔話では、旅に出た王女が苦難の末に魔法の薬を見つける、という展開になるでしょうが、このお話では、魔法の薬のかわりに、じつに実際的な方法が使われます。その方法は、現代人の健康にとっても、立派に通用するものです。この作品は1960年代にオーストリアで出版されたものですが、今の日本では、この作品が書かれた当時よりも、もっと健康問題が切実になってきているのではないでしょうか。(p.128)
昔話では、旅に出た王女が苦難の末に魔法の薬を見つける、という展開になるでしょうが、このお話では、魔法の薬のかわりに、じつに実際的な方法が使われます。その方法は、現代人の健康にとっても、立派に通用するものです。この作品は1960年代にオーストリアで出版されたものですが、今の日本では、この作品が書かれた当時よりも、もっと健康問題が切実になってきているのではないでしょうか。(p.128)
まったく、その通り。
物語の先行きは予想できる内容でありながら、最期までけっこう真剣に読んでしまったのは、日頃の運動不足で不健康な生活を十分認識しているから。
著者の出身国・オーストリアは、ハプスブルグ家に統治され、芸術と食文化が発達した国。ザッハ・トルテという有名なチョコレートケーキの大きさは、日本とは段違いなのだという。
芸術と食文化は、繊細さという点で相通じるものがあるけれど、あくまでも繊細さを感受できる健康が前提にあってのことである。定常的な過食・美食は人間の霊的進化には役立たないどころか、ガンを誘う最有力な因子である。
頭の餌なんかどうでもよくって、体の餌こそが人生にとって最重要事項で、自分では何もしない、というこの物語の王さまのような人は、なにも人間として生まれてくる必要などないだろう。
頭の餌も体の餌も、惰性で摂取しているだけのチャンちゃんは、王さまより重症かもしれない。
体を使わないと感受性を筆頭にあらゆるセンサーの鋭敏さを失ってしまう。それって人生を無意味と感じさせるブラックホールのようなものである。
<了>