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 海外市場に関するビジネス書って、いろんな側面が見えて面白いものだけれど、この本はつまらない。断片的な事実の記述が殆どで体系的な記述は殆どないし、文化的な背景らしきものも一切語られていないのである。
 著者は投資信託会社の方だから、90年代のハイパーインフレを克服して今や良好な投資環境となっているラテンアメリカ市場を投資適格地域として強調したいだけなのだろう。2008年10月初版。

 

 

【ブラジル人観光客の消費額】
 2004年、アメリカにおける観光客の国別消費額でブラジル人が3000ドルに達し、トップとなった。ちなみに、第2位はイタリア人で2700ドル、第3位は韓国人で2500ドル。日本人は第6位で2000ドルだった。(p.66)
 日本における中国人が、アメリカにおけるブラジル人なのだろう。
 新興国からの観光客は成金的な性を有するから消費力がおおせいなのは察しが付く。しかし、なぜイタリア人が2位なのだろうか?
 近年の日本人の観光客は、着の身着のままで現地を見てくるのが目的で、お土産など何も買わずに旅している人々が多い。

 

 

【ブラジルの日本料理店】
 3年前、ブラジル最大の経済紙 「ガゼッタ・メルカンチール」 で、ついにサンパウロの日本料理店が600店を超え、ブラジル料理の典型であるシュラスコ料理の数を超えたらしいと報道された。
 その後2007年12月6日付けのブラジル最大の週刊誌 「ベージャ」 では、今や2000店に達し、顧客の99%は日系人ではないブラジル人であると報じている。(p.71)
 ふ~ん。日本食とはいえ、おそらく、ブラジル人の口に合うように作られた怪しげな日本食なんだろう。
 食のついでに、
 日本で食べられている鶏肉も、その9割がブラジル産である。(p.81)
 アジアで猛威をふるった鳥インフルエンザの影響あってのことだというけれど、ちょっと意外。
 ブラジルの輸出産品は鉱物資源だけではなかった。広大な農地があることを忘れてはいけない。

 

 

【ブラジルの中間層】
 ブラジル全人口に占める中間層の割合は、2003年4月の42.93%から2008年4月には51.89%に上昇し、国民の二人に一人が中間層という。(p.107)
 中国の中間層は何%くらいなのだろうか。 5%以下? 日本が格差社会になる前の中間層は80%くらいだったのだろう。格差が進む世界の中でブラジルの50%は、BRICs諸国の中でも際立っていることだろう。安定社会の実現に成功しているということだから、長期的・安定的な繁栄が十分見込める。

 

 

【メキシコ】
 ラテンアメリカの出世頭といえば、BRICs の B=ブラジルと思われがちだが、実は資源の恩恵を受けて、いち早く成長軌道に乗ったのはメキシコである。(p.120)
 メキシコも石油の産出国で、PEMEX(メキシコ石油公社)の生産量は、企業別で世界第3位だという。近年の原油高の追い風を受け産油国ロシアと同様に経済は順調に成長してきた。
 これ以外の大きな成長のきっかけは、1990年代にNAFTA(北大西洋自由貿易協定)に調印したことだと言う。脱アメリカ化していることが大きいはずである。メキシコに限らず、ラテンアメリカ諸国は、脱アメリカ化することで発展してきている。日本とは事情が違う。

 

 

【移民による本国への送金】
 全世界からのメキシコへの送金は、 ・・・(中略)・・・ GDP比でも約2.82%にもなり、その大きさを感じることができる。
 送金額の増大は当然移民数の増加を意味する。アメリカには合法・非合法を含めて約2700万人強のメキシコ人が住んでいるといわれている。(p.147)
 国際比較でいえば、送金額最大の国はメキシコではなくインドだと言う。第二位であれ、この膨大な送金額はメキシコの内需を支えている。
 メキシコでウォルマートが順調に店舗数を伸ばしている背景は、移民たちの送金であると著者は解読している。
 ウォルマートがメキシコで銀行業の免許を取り、銀行を始めたが、これも一連の家族送金の取り込みが前提にある。(p.228)
 本家を買収した日本のセブン・イレブンも、出稼ぎに来ている日系ブラジル人が、セブン銀行のATMからブラジル銀行へ簡単に送金できる体制を作っているという。

 

 

【チリ】
 銅をはじめとする鉱物資源大国のチリも、世界的な価格高騰の中で発展してきたけれど、それ以外に、積極的な外資の導入によっても牽引されてきたらしい。
 細長い紐みたいな形のチリは、水産資源国でもある。日本のODAを利用して行われたサケの放流事業を、国際入札で引き継いだ日本水産が、豊かなフィヨルドを利用して鮭の養殖をおこない、日本や南米市場に供給している。(サケってもともとは南半球には生息していなかったという。へぇ~である。)
 ところで、チリ人は、西は海、東はアンデス山脈に挟まれ、他国との交流が困難なため “島国” という自覚があるとか。

 

 

【ヤクルトレディー】
“ヤクルトおばさん(おねえさん?)“ が職場に来ていたときは、80円のジョアを買っていたものだけれど、ブラジルにも ” ヤクルトおばさん“ がいた! メキシコにも!
 ブラジルでは、最貧困層が居住する貧民街にもヤクルトレディーはいる。インフレ時代、ヤクルトの危機を救ったのがこの低所得者層なのだ。 ・・・(中略)・・・ 低所得者層の人々は銀行口座を持たないため、現金で支払う。90年代初めに、預金封鎖で多くの企業が厳しい状況におかれた時、ブラジル・ヤクルトは現金収入が厚かったため、乗り切ることができたのだ。(p.241-242)
 現金決済が商売の基本というか当たり前のことなのだろうけれど、掛け売りだったりカード決済だったりと、レスポンスの悪い決済方法が世界の主流になっている。
 最も日本的と思えるものが、場合によっては、普遍的な価値を持つ可能性があることを、ヤクルトとラテンアメリカ市場は教えてくれる。(p.242)

 

 

【日本から学んでいること】
 ブラジルの資源大手、ヴァーレを訪れた際、エグゼクティブから次のように言われた。
「ヴァーレは、約50年にわたって日本企業と仕事をしてきました。そして、お互い良いところを学びあってきました。そういう意味ではヴァーレは、ブラジルで最も日本的な企業です。われわれは、日本人から多くを学びました。 『まじめさ』 『勤勉さ』 『我慢強さ』 『礼儀正しさ』 です。それを学ぶために、社員研修の際、世界中で日本にだけ新人を送りこんでいます」
 今の日本の現状を考えると、ちょっと面映ゆい思いがしないではないが、これがラテンアメリカトップ企業のエグゼクティブの考え方である。ラテンアメリカ復活の背景とその理由の一端を垣間見た気がした。(p.250-251)
 この書籍のクロージングであるけれど、なんか、ちょっと、ヨイショっぽい。

 

 

【好況なりラテンアメリカ】
 あとがきには、20年、30年とラテンアメリカに関わっている日系企業の方々の 「別世界です。まさか、こんなにいい時代が来るとは思っていませんでした」 という発言が記載されている。
 資源が豊富で、農産物も豊かに実るラテンアメリカ市場は、最初から内需主導で安定的に発展できる条件がそろっている。むしろ、なんで今世紀になるまで発展できなかったのだろうか? と不思議に思うくらいである。

 

 

【ブラジルの未来】
 さて、変わった話を書いてしまうけれど・・・。
 1999年の夏、サンパウロ近郊のアチバイヤーという岩山の上で、黙示録のグランド・クロスをブッ千切るために、少なからぬ日本人が 世界屈指のシャーマンさん と一夜を共にしたことがある。その時、ブラジルも発展に向けて変ったのである。
シャーマンさんは、ブラジルにいる金龍神さんについて、おおよそ以下のように言っていた。
「ここには北極星から 『10万人を救済する』 と請願を立ててやってきた金龍神さんがいます。今までは貧民を救済するだけで、それくらいのことしかできなかったけれど、既に300万人の救済を成し遂げていますから、今日、3つの珠をあげました。1つは文化を生みだす紫色の珠、2つ目は知恵を表す黄色の珠、3つ目は物事を進めるパワーと迫力をあらわす水色の珠です。これからブラジルも国として文化性を獲得し、また国としての教育レベルも徐々に発展してゆきます。今までこの国に足りないものが足されました」
 こういう神霊界の話って、大好きである。
「ブラジルは30年後、最大の繁栄を迎える」 とも言っていたっけ。
 
 
<了>