イメージ 1

 著者は、ホームページビルダーを開発したトライポッドという企業を起こした、IT業界内のサクセスストーリー中の人物。

 

 

【セレンディピティの前提】
 斬新で、恥じるところがなく、前向きな哲学がある会社では、才能があって発想が豊かな連中が熱心に働く。そして才能があって発想が豊かな連中が熱心に働くと、セレンディピティが生まれる。セレンディピティとは、偶然によって思いがけない発見が得られることだ。 (p.18)
 偶然幸運に出会う能力:セレンディピティが生ずるためには、その前提、即ち “才能があって発想が豊かな連中が熱心に働くこと” があることがポイント。
  《参照》   『ひらめきの導火線 トヨタとノーベル賞』  茂木健一郎  PHP新書
           【偶然幸運に出会う能力:セレンディピティ】
 もちろん、最初からとりえが何もない、道徳的にも荒廃した悲観的な会社もある。そんな会社は、経営手腕とかそういうこと以前に、運がなくて失敗する。自滅が運命づけられている会社というのは、企業家が面白いことや価値のあることをやろうというのではなく、ひと財産築こうと思って作ったものだ。そんな会社に、幸運を呼びよせてくれる有能な人間が集まってくるわけがない。(p.19)

 

 

【ひたすら信じること】
 トライポッドも、ビッレッジベンチャーズとメセも、ほんとうに斬新で、道徳的に恥じるところがなく、前向きな哲学があったからだ。これらの会社が活動することで、まちがいなく世界は良くなるし、それに賛同してくれる人は、かならずどこかにいる。ただ、まだ、出会えていないだけだ。ぼくはそう確信していた。(p.57)
 セレンディピティの前提と共通する点は、「道徳的に正しいこと」 と 「(これによって)世界が良くなる」 という信念。あくまでも ”個を離れた善” に根ざしている。であるからこそ、目に見えざる世界の加護を受けられるのであろう。

 

 

【企業家と経営者】

 「企業家って、具体的に何をやる仕事なんですか?」 と聞かれると、ぼくはこう答える。「とくに何もないですよ。ただ、何でもこなすだけです」 そう、企業家はオールBの学生みたいなものだ。ずば抜けた能力はないが、及第点をとれる分野はたくさんある。
 いっぽうオールAの人間は、テクノロジーなりマーケティングなり、あるいはセールスや金融といったひとつの分野に秀でていて、得意分野であればみごとな成績をおさめる。いつも完璧をめざすオールA人間は、たまにうまくいかないとがっくり落ち込むだろう。これは企業家にとっては不向きだが、経営者としては申し分ない性質だ。 (p.33)
 企業家は飽きっぽい。しかし飽きっぽいおかげで、水平思考ができる。というか、水平思考にならざるを得ない。一つの課題にじっくり取り組める経営者は、反対に垂直思考ができるし、そういう考え方を好む。(p.34)
 オールBタイプの企業家が、何はさておき肝に銘じること。それは、オールAタイプの経営者なしではやっていけないということだ。そいつの言うことには、素直に耳を傾けること。もちろんオールAのやつも、オールBの話を聞かなくてならない。・・・中略・・・。オールAとオールBがお互いを理解し、評価しあえば、どちらも大いに実力を発揮できるようになる。 (p.35)
 異なる能力が共存し合うという重要なポイント。組織規模の大小にかかわらず、このような認識は重要だけれど、とかく人間とは大局を弁えず、異質なものを排除し合う傾向になってしまうのが悲しいところ。
 著者は、とんでもなくキレる変人技術者たちの仲介役として、寝る間もないほどに苦労していたらしい。

 

 

【優雅な攻めが勝利を呼ぶ】
 いつでも優雅な態度で人に接すること、そして寛大な態度で接してくれる人を大切にすること。そうすれば
 必ず配当が戻ってくる。もちろん、ときには頭に血がのぼることだってある。ぼくもそうだ。だけど広い心で悠々とかまえていれば、自分のビジネスもかならず運が向いてくる。(p.74)
 心身ともに優雅で繊細な波動状態を維持しておくことがポイント。妄執は荒い波動状態であり、繊細な幸運という波動を寄せ付けなくさせてしまう。

 

 

【プライドの蹉跌】
 自分の会社を売り込めるのも、強いプライドに支えられているからだろう。手も足も出ない無力な状態を苦労とも思わず、「ノー」 と冷たくあしらわれても取り乱さずにいられるのは、「自分はやれる」 という自負があるからだ。
 だがプライドを野放しにしていると、知らないことを知らないと認められなくなり、メディアの言うことをそのまま信じるようになる。(p.101)
 トライポッドの共同経営者であったディック・サボットは、上級パートナーの質問に対して、「わかりません」 と答えた。
 ぼくたちをじっと見つめていた上級パートナーが、ついに静寂を破った。「そのとおり。わからない。それが正解だよ」。 彼の口調にも、どこか父親らしい雰囲気が漂っていた。(p.95)
 正解のないことの方が世の中には多くあるのに、自信過剰やプライドが、そんな当たり前なことを見えなくさせてしまう。
 とはいえ、企業家でも経営者でもない我々一般人は、日々あまりに考えていないし未来を見通そうと研鑽し努力し頭を使っているわけでもない。 「わかりません」 の意味あいも違ってしまう。 “プライドの蹉跌” を怖れる前に、 “怠惰の蹉跌” を憂えるべき。
 
<了>