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 ちょっと訝しいタイトル。でも、読んでみると、その訝しさが消えて、ちょっと違った感動に満たされる。
 この書籍の舞台は静岡県の常葉学園橘高校野球部。選抜で優勝、夏の甲子園で準優勝したことのある常葉学園菊川高校は、この学校の姉妹校。全国区では菊川の方が有名だけれども、2008年度の静岡県春季大会では、橘が菊川を3-15(8回コールド)で破っている。静岡県内ではなかなかの強豪らしい。

 

   -------------- 追記 -------------
     2009年度の夏の甲子園・静岡代表は、常葉学園橘高校だった。
     タイトルを実現したことになる。凄いじゃん。
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 カバーの折返し部分には以下のように記述されている。
 高校生に 「読み聞かせ」?
 誰もが意外に思う実践で、生徒たちが変わった。
 ノーシードの野球部がみるみる勝ち進み、ついに県大会の決勝へ!
 高校野球部の生徒たちとの、本をなかだちにした
 心の交流をつづる、感動の記録。

 

 

【野球部の朝練を、著者の「読み聞かせ」に変更】
 静岡県の常葉学園橘高校野球部の小林監督に依頼されて、著者が選手たちに、朝練習にかえて朝の「読み聞かせ」を実施したのだという。
 小林監督が、こんなことをいっていました。
「野球が好きで始めたのだから、その道具を大切にするのは当然のことです。それがその部の伝統になってあたりまえです。道具を大切にしないものは、人も大切にしないと私は思っていますから。スポーツをやる目的は、人を思いやれる心を育てることです。相手の心も読めないような人間に、野球の醍醐味はわかりませんね。こうしたことをいいかげんにする気持でやっていては、決して強くはなれないし、その道を究めることもできませんよ」
「感動が心を育てる」 そう信じて読書指導に力を注いできたわたしは、この言葉を聞いて大いに共感をおぼえました。そして、なぜ小林監督がわたしに野球部への 「読み聞かせ」 を頼まれたのか、そのわけがわかったような気がしたのでした。(p.51-52)

 

 

【集中力と冷静な判断力】
 県大会4回戦で、強豪浜松商業との試合。初回の先頭打者ホームランの1点を守りきった。
 『読書』 や 『読み聞かせ』 、こういったことはとんでもない遠回りのように思われていますが、実はそうではないのです。しらずしらずのうちに、集中力が養われ、周囲に惑わされずに、状況を自分自身で冷静に考え判断する力がついているのです。(p.81)
 5回戦(準々決勝)も勝ち、6回戦(準決勝)も延長戦のすえ勝ち抜いた選手たち。
 しかし、甲子園を賭けた決勝戦は15-1の完敗だった。

 

 

【「学ぶ心」を・・・】
 いつだったか小林監督が、こんなことをいっていました。
「野球が終わったら、たががはずれたようになって生活態度がだらしなくなっていくんだったら、ほんとうに 『野球の心』 を学んだのではない。それは型にはめられて野球の技を学んだだけ。わたしは、そういう人間を育てようとは思っていない」 と。
 こつこつと一つのものを極めてゆく時、人はその過程で、「学ぶ心」 を学んでいきます。たとえ大きく花開くことがなくても、その人の心の中にはその経験が、大きな宝となって残っていくはずです。 (p.114)

 

 

【選手たちの感想】
吉田 : 金曜日に村上先生(著者)が読み聞かせをしてくれるようになって想像力豊かになって・・・
堀田 : やっぱり読書をしているとイメージを浮かべることが身についてきます。読書や読み聞かせを始めてから、いい試合ができるようになりました。勝ち負けに関係なく、面白い試合ができるようになりました。・・・中略・・・。読み聞かせはメンタルトレーニングになるんです。
吉田 : ぼくは、夏の大会でランナーコーチをやっていたんですけど、やっぱり読書や読み聞かせをやっていた関係で、どんな場面で次に何が来るかとか想像できたので、そういう想像と全く同じ場面が来ると、もう、もらったなっていう感じでした。そうすると、どんどん点も入るし、冷静さも身についていたし、精神面が一番強くなったと思います。(p.140-141)

 

 

【著者が選手たちに読んだ本】
 『ゆずちゃん』  『べろ出しチョンマ』  『さっちゃんのまほうのて』  『空中ブランコ乗りのキキ』  『三コ』  『花さき山』   『ひさの星』  『ふき』  『スーホの白い馬』  『ボロ』  『かわいそうなぞう』  『ごんぎつね』  『てぶくろをかいに』  『わすれられないおくりもの』  『はっぱのフレディ』  『ラブ・ユー・フォーエバー』  『はかまだれ』  『雷の落ちない村』 (p.38-45)
 いずれも “心で学ぶ” 種類の(絵)本のはずである。
 “頭で学ぶ” 種類の本は、人間力の育成にはそれほど効果をもたない。
 
 
<了>