
2000年にノーベル化学賞を受賞した時の、記念講演をまとめた書籍。
【白川先生の生い立ちと経歴】
【白川先生の生い立ちと経歴】
お医者さんであった父親の後について、幼少の頃、台湾と満州を巡り、小学校3年生の時から、飛騨の高山に住むようになった。
東京工業大学(山岳部に所属)を卒業し、そのまま研究生活。その後40歳から3年間、アメリカのペンシルベニア大学で研究。帰国後は筑波大学。退官した2000年に受賞の知らせを受取った。
以前、ブログに書いたノーベル賞受賞者のお二人も、片や高校生までの生活場所、片や研究施設のある場所が、白山周辺だった。21世紀、最初の総理大臣も加賀・白山の地元を選挙区とする森さんで、その派閥から3人連続で首相が出ている。東京工業大学(山岳部に所属)を卒業し、そのまま研究生活。その後40歳から3年間、アメリカのペンシルベニア大学で研究。帰国後は筑波大学。退官した2000年に受賞の知らせを受取った。
【ノーベル賞の受賞対象となった業績は30代にできていた】
じつは、ノーベル財団は、非常に早くから導電性高分子に着目していて、1991年には主だった研究者を招いてシンポジウムを行い、この時点で、ヒーガー先生、マクダイアミッド先生、白川先生が、いつかは受賞されることが、ほぼ決まっていた (p.68) のだという。
ノーベル賞を創設したアルフレッド・ノーベルは、1896年に亡くなったとき、「人類に対して最大の貢献をした人物」に賞を授けるように、と遺言しました。
私がはじめてポリアセチレンの薄膜をつくったのは1967年です。 (p.53)
その後、私は1976年にアメリカに渡り、たとえばヨウ素や臭素のような不純物を加える―――これをドーピングといいます。―――と、ポリアセチレンの電気伝導度が急激に上がることを見つけました。(p.50)
これは、異例に長い時間がかかっていると思う方もあるかもしれませんが、必ずしも非常に長かったわけではないのです。貢献度を十分に吟味するためには、このくらいの時間が必要なのです。 (p.53)
先生は、1936年生まれなので、薄膜を作ったのは31歳。ドーピングによる発見は40歳ということになる。私がはじめてポリアセチレンの薄膜をつくったのは1967年です。 (p.53)
その後、私は1976年にアメリカに渡り、たとえばヨウ素や臭素のような不純物を加える―――これをドーピングといいます。―――と、ポリアセチレンの電気伝導度が急激に上がることを見つけました。(p.50)
これは、異例に長い時間がかかっていると思う方もあるかもしれませんが、必ずしも非常に長かったわけではないのです。貢献度を十分に吟味するためには、このくらいの時間が必要なのです。 (p.53)
じつは、ノーベル財団は、非常に早くから導電性高分子に着目していて、1991年には主だった研究者を招いてシンポジウムを行い、この時点で、ヒーガー先生、マクダイアミッド先生、白川先生が、いつかは受賞されることが、ほぼ決まっていた (p.68) のだという。
【嘘っそ~】
ノーベル賞を受けたのだから、私が特別な頭脳の持ち主であるかのように考えていらっしゃる方があるかもしれないけれども、そんなことはありません。まあ、努力はしましたが、でも、特別な頭をもっているわけではないのです。 (p.97)
こんなん言われたら、われわれ凡人は、おもいっきり慌てて穴をかっぽじって隠れなきゃなりません。爪が痛くなりそうなので、毛布で代用しましょうか?
【白川先生の性格】
もともとわりとのんびりした性格であるうえに、きちんと物事をしないとおさまらない、完璧主義のところがあって・・・・ (p.40)
「のんびりした性格で完璧主義」 ??? この組み合わせは普通ではない。私の場合は 「のんびりした性格でチャランポラン」 である。多分、組合せとすれば、白川先生より私の方が “ごく、まとも” である。やっぱりノーベル賞をもらうような人は ”まとも” ではない。
【白川先生の挫折回避方法】
「実験をしていくうえで挫折したことはありますか?」
「ああ、それはもう、毎日ですよ。(笑) しょっちゅうです。」
「どのように、それを乗り越えていらっしゃったんでしょうか」
「気分を変えることですね。 山に登ったり、泳いだり、リフレッシュする。で、また再挑戦する。気分を変えないと、それこそ意気阻喪してしまうのではないでしょうか。」 (p.118)
チャンちゃんは挫折する以前に、困難に立ち向かわない。おもいっきり根性なし!「ああ、それはもう、毎日ですよ。(笑) しょっちゅうです。」
「どのように、それを乗り越えていらっしゃったんでしょうか」
「気分を変えることですね。 山に登ったり、泳いだり、リフレッシュする。で、また再挑戦する。気分を変えないと、それこそ意気阻喪してしまうのではないでしょうか。」 (p.118)
【ペット・ボトルのペット】
ペットボトルなどに使われているポリ・エチレン・テレフタレートは、炭素と水素と酸素です。ちなみにペット・ボトルのペット(PET)は、( Poly Ethylene Terephthalate ) からとったものです。 (p.86)
日常生活でよく使っている単語なので、書き出していおいた。白川先生の研究領域である高分子化学の素材としてもっとも一般的に知られているもの。
【スクリーン・テレビ】
いまある高分子材料が金属と比べていちばん劣っているのは、温度への耐性だという。
(液晶ディスプレイは) 単に薄いだけではなくて、紙のように丸めることができるのです。壁に掛けたディスプレイを、リモコンで操作して、ロールブラインドのように、するすると巻き上げることができる。こういうテレビやビデオが、10年か20年のうちに実現するでしょう。 (p.104)
ここでは、フレキシブルな高分子化学素材の例を紹介しているけれど、硬度において金属に劣らない高分子化学素材は、自動車の車体材料として遥か昔から用いられている。自動車の車体にプラスチック(高分子化学素材)を最初に導入したのは、ホンダだったように記憶している。いまある高分子材料が金属と比べていちばん劣っているのは、温度への耐性だという。
<了>
【2007年10月5日:追記】
数日前 (3日) のニュースで、「ソニーが有機ELの薄型テレビの販売を開始した」と報道していた。スクリーンの厚さはわずかに3mmだそうである。金属の枠で囲っているけれど、枠を外して巻き上げるロールブラインド方式は可能になっているそうである。
白川先生の予想である10年を待たず、わずか7年で実現したことになる。
相変わらず、日本人技術者の腕前はスゴイ。大拍手です。