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 三浦半島の片隅にあった、トヨタ系列の関東自動車、深浦工場。狭小な敷地しかないこの工場は数年前に閉鎖されたそうであるが、1960年代から「トヨタのやり方の実験工場」といわれていたそうである。


【ながら作業】
 “ながら作業” とは、メインの作業をしながら、必要な部品を一台分ずつ加工しようとするものである。プレス加工の場合でも、ゆっくりとできる容量の小さい、安い設備で十分である。グループ各社は競って、“ながら作業” を展開した。
 問題もたくさん出た。 “そんなもん、改善すればいいがなァ” である。 (p.70)
 時間と設備の有効活用。作業と作業、作業と設備の組合せで、ロス時間を最小にすることができる。この工場では、必ずしも時間短縮を第一の目標としてはいなかったようだ。工場の特性、作るべき製品、機械の効率に合わせて、最適なサイクルタイム があるのだという。

 

 

【限量生産】
 トヨタ自動車のやり方は、売れた分でもなく、売れそうな分でもなく、売れる分を作るという “ものずくり”、すなわち、[ 限量生産 ] が狙い。 (p.142)
 バブル崩壊後、あらゆる会社経営の鉄則として、「過剰在庫を持たない」 という言葉が標語のように繰返し語られていたけれど、[ 限量生産 ] のトヨタにとっては、何をいまさらとでもいうような、当たり前すぎるほどに当たり前のことだった。

 

 

【 問題を吐き出させる “しくみ” + 改善 】
 オイルショック以降、トヨタのやり方を猿真似し、大火傷を負った会社もあった。これは、問題を吐き出させる “しくみ” を、問題を解決する “しくみ” と早とちりし、展開したからである。 (p.143)
 トヨタの “改善” はそのまま kaizen として英語になっているほど有名な方式であるけれど、改善とペアになって、問題を吐き出させる “しくみ” が重要であるというポイントを理解していないと、全く意味を成さない。
 著者はこの “しくみ” を気づき文化と書いている。その根底には、会社全体に常に “強い危機感” があるのだという。

 

 

【協調】
 一般的には、 “俺がいなければ、この職場は動かない” と言い、 “他を見る暇などない” と踏ん張ることになる。ここ(トヨタ)では逆に、 “いなければ、動かないような職場を作るナ!” と叱られることになる。
 それはトヨタグループ全体にもあり、その結果が [ 競争と協調 ] という企業にとっては欠かすことのできない活性剤を持つまでになっているのである。 (p.150)
 中国人や朝鮮人にはこれが分からない。個人の技術は個人のものであり、即座に評価(賃金)に直結すべきであると考えているから、彼らには、知識や技術を社内で共有するという、日本人にとって当たり前なことができない。
 企業力、国力の平均値を高めるのは、個人の才能ではなく、集団の協調性である。団塊を形成することのできない砂粒のような協調性なき個人の集団は、永遠に全体最適を達成できない。日本以外に世界を平和に纏め上げることのできる民族は存在しないということでもある。

 

 

【DNA化しているトヨタの暗黙知】
 トヨタのやり方にはほとんど形がない。既にある種の生物と化しているようにも思える。命あるものは変化することは本能。変化し続けなければ生きてはいけない。この変化し続けさせる “しかけ”、“しくみ” が世間では非常識と思われるものになっている。
 これまで、広く、幾多の取り組みがあったと思うが、どこも、誰もがそのレベルに達し得ないことを見るに、その暗黙知は完全にDNA化していると見るべきである。 (p.156)
 DNA化しているトヨタの暗黙知は、外国企業が盗もうとしても盗めるものではない。それは、外国人に深い泉のような日本文化の源泉を突き止められないのと同じである。トヨタのような優れた企業は、日本人を母体としなければ決して生まれなかったはずである。
 
<了>