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 インターネット配信のニュース解説番組、「マル激トーク・オン・デマンド」が元になって編集された書籍だと言う。
 タイトルの「デストピア(dystopia)」。「デス(dys)」は悪化、これと、ユートピアの「トピア(topia)」を繋げた造語、即ち「破滅郷」である。このタイトルを見ただけで、言わんとするところはよく分かる。買って読むだけの価値は十分にあった。
 


【近代社会の変質】
 実際、カーニボーやエシュロン(アメリカ政府が中心となっておこなっている世界規模の監視システム)は、9・11よりもずっと前から推進されています。要は、「国家を警戒して社会を信頼する」 作法から、「社会を警戒して国家を信頼する」 作法への転換が、どんな場面でも例外なく生じているわけです。 (p.18)

 上記の表現は、対比的に捉えるために単語を入れ替えただけで 「信頼する」を定位置に残しているから、誤解を招きかねない。行き着くところは、「国家が個人を監視し管理するという、監獄社会」である。


【劣化ウラン弾】
 日本の原発会社が、ウランの精製を依頼しているアメリカの会社(といっても政府機関)が、原発で発電用に使うウラン235を抜き取った後に残るウラン238(これが劣化ウラン)を、発注元の日本の電力会社から無償で譲り受けている。(p.55)

 これを用いてアメリカは劣化ウラン弾を製造している。
 劣化ウラン弾が使用される理由は、コストが安く、比重が高いので大きな起爆力を作り出す弾芯として有効だからだという。放射能が発生するから使わないという論理は、劣化ウランの変わりに廃棄される。
 日本を名指しで責めることはできないけれど、イラク攻撃で多量に使われた劣化ウラン弾によって、数多の被爆者が発生していることを、日本の報道機関はほとんど熱心には伝えていない。


【戦争がなくならない理由】
 世界中でコンピュータが用いられている現在、戦勝はシュミレーションで決着を知ることができる。であるならば、コンピューターは、「戦わずして勝つ」という孫子の兵法を実現しうる有効なツールであるはずなのに、そうはならない。それは、戦争が国と国の雌雄を決する場ではなく、大国の政権運営上の一手段となってしまっているからである。 (p.68)

 “政権運営上の一手段”とは、つまりカネである。国際金融資本と表裏をなす軍産複合体というバケモノを生かすために、戦争は定期的の行われなければならない。
 圧倒的な軍事力を行使しながら、かつては美名麗しい「世界の警察官」、今日では露骨な「無法者」として狂気の独善路線を爆走するアメリカである。こんなことがいつまでも続くわけは無い。


【アメリカ人になるための「踏み絵」】
 1960年代前半、アメリカが人権問題で揺れに揺れた時期、「公民権法」が成立した。ジョンソン大統領がマイノリティーズたちに対して、「人権(公民権)を与えるから戦争に行け」という「踏み絵」を踏ませたけれど、マイノリティーズたちが自発的に踏もうとしたこともみのがせない。(p.85)

 過去から現在までに至るアメリカに鋭く刻まれている積年の社会問題の影の深さ濃さは、日本の比ではない。例えば、映画 『マンダレイ』 を見て、つぶさに当時の実情を知ってみれば良いのではないか。社会に対して、どんなに真摯に全ての個人を救済する解決方法を求めても、それらは決して得られず、思考は空転のあげく、ついには疲れ果てて放心状態に立ち至ってしまうだろう。

   《参照》   『女性たちよ、アメリカへ行ってどうするの?』  樹田翠  PHP研究所

             【黒人との結婚】


【クロスオーナーシップを解禁したアメリカ】
 クロスオーナーシップとは、同一資本による複数メディア(新聞とテレビなど)の保有である。これは、言論の多様化を阻むという視点から、民主主義国家では規制されていたが、アメリカはこれを解禁してしまった。(p.148)

 資本主義が過剰に行過ぎると、結局は共産主義国家と同じような情報の独占が起こってしまうという、最悪の事例がアメリカにおいて既に起きてしまっている!!!インターネットがどんなに普及しても、プロバイダーを保有してしまえば情報を独占管理できてしまう。


【良識の萌芽:SRI(社会的責任投資)】
 すでにアメリカでは、投資信託市場の2割以上のファンドに、何らか(環境問題など)のSRI指標が持ち込まれ、SRIの資産残高は、全世界で300兆円を超えています。 (p.110)



【まったり日本 : まったりできないアメリカ】
 帰国子女が日本に返ってきて言う最大の印象は、日本は本当にまったり生きられる場所だということです。・・・アメリカは、誰が勝者かにこだわる場所です。アメリカは人的流動性が高いがゆえに社会的に上昇する夢を見ることができ、競争するということが起こります。上層から下層までまったりできないんです。 (p.130)

   《参照》   『地球の回る音を聞きながら】  原水音 光文社

 


【グローバルを飲み込めローカル】
 アメリカ発のグローバル資本、マクドナルドは、世界同一基準で経営していたが、日本のモスバーガーが始めたテリヤキ・バーガーを、日本国内市場で提供するようになった。 (p.154)

 外見的なアメリカン・ウェイ・オブ・ライフに憧れるのは、若年層のみであろう。そもそも食に世界標準はありえない。食以外の何であれ、グローバル資本の仕様を受け入れても、漸次、ローカルな文化が見直されるものである。
 資本と軍事のパワーを振り回して外に進出しすぎたアメリカ本土内は、徐々にデストビアとなりつつある。故に、日本からの“技術”や“文化”及び“略奪による資本”という鮮血を、かなり多量に輸血せざるを得なくなっているのである。

 

<了>

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