ショパンコンクールの熱狂から1週間。
やっぱりここに戻ってきてしまう。
そしたら、コメント欄にも同じような方がいっぱいいらした。
2021年の感動以来、
もう何度繰り返し聴いたか知れない。
でも飽きることはないし、
それどころか、今でも聴くたびに
心の琴線に触れ、涙が出る。
反田さんの卓越した感性とショパン解釈。
そしてオーケストラとのすばらしいハーモニー。
素晴らしい表現者とは
いかに雑念とエゴを祓い、 作曲家の表現したかった世界を理解して再現し、
聴衆に届けることができるか。
それはどれだけ自己陶酔や自己顕示欲、承認欲求を外して
クリアなマインドになれるか、でもあると思う。

文学好きだったわたしが大学卒業後に
最初についた職は高校の国語教師だった。
個性を奪い点数で評価する偏差値教育ではなく、
個々の感性を引き出し育てる
情操教育がしたいと思ったからだ。
その手段として、国語が一番だと想った。
歌うことや楽器を奏でること、
ものづくりなどと並んで、
言葉は自己表現の一つの手段だから。
そして、書くことはわたしにとって
精神の浄化の発露だった。

演奏者が
いかに作曲家の表現したかった世界観を
聴衆に届けることができるか、というテーマは
わたしが教育現場に出て間もなくの頃、
先輩の国語教師から
「教える側が作品に感情移入するな」
と教えていただいたことに似ていると思った。
要は、
自分のエゴを入れるなということだったのだろうと思う。
画面越しからでも伝わる
反田さんとオケと聴衆と会場のエネルギーの一体感。
そういえば、
授業でもそうした一体感を感じられることがあった。
最初の興味付けがうまくいくと
生徒の関心を惹きつけることができた。
そして、彼らの目と心が
心地の良い緊張感を持ってこっちを向いて、
教室のエネルギーもが一体となった授業が。
静謐な空間にはわたしの声もよく通った。
そういう時の声は
わたしの身体がまるで喉元から肛門まで?
1本の管であり、楽器であるかのような感覚だった。
いつもいつもそれができたわけではない。
でも、そうした授業展開ができるのは
わたしの感覚が研ぎ澄まされ、
純度が高かった時だと想う。
教える側(演奏者)は
作者の伝えたかった世界観に忠実に伝える媒体に過ぎず
生徒(受け取り手、聴衆)がどう感じるか、 その感じ方は全くもってその人の自由で
どれが正解、と言う唯一絶対の答えは無い。

ショパンコンクールにおいても どのコンテスタントが良かったか、
審査員は一つの答えを出したかも知れないが、 自分の感動したコンテスタントが
必ずしも審判団の見解に一致していたとは限らないと思う。
だから、自分が好きと感じたコンテスタントが 審査員の答えとは必ずしも一致していなくても
それぞれの感じたままを信じれば良いと思う♡

わたしたちは、あまりにも外に答えを求めようとし過ぎる。
それは、裏を返せばそれは
自分の感性に自信を持てないでいる、ということでもある。
その大きな原因の一つは
画一的な学校教育にあると思う。
テストはすべてマルかバツか、
教師があらかじめ用意した模範解答に沿うかどうかで
点数が付けられ『評価』されてしまう。
文学作品を読んだあと、
授業の中で「どう感じた?」と訊いても、しばしの沈黙の後で
「分かりません」と答えるる生徒が大半だった。
『知識』を問うているのではなくて、
『どう感じたか』を訊いているだけなのに。
折に触れ、何度も何度も伝えた。
「大丈夫だよ」「どう感じるかに間違いはないよ」
「待ってるから言ってみて?」
感じ方は人それぞれで、
唯一絶対の正解は無いから、だから大丈夫だよって。

幼い頃に感性を否定されると
自分の感じ方に自信がなくなって、
ついには判断や決断を他人に委ねるようになってしまう。
そうやって成長した結果
もはや高校生ぐらいになると間違えるのが怖くて、
つまり自分の感性を否定されたり
人からどう思われるのか怖くて、
つい「分からない」って言ってしまうのだ。
でも、「分からない」と世界を閉ざしてしまえば
その後も自分の感性の扉が開くことはない。
ずっと分からないまま、
自分の世界を見失ったままに、世間に合わせて生きていく。
そしてその傾向は『優等生』ほど強いのではないかと思う。
周囲の期待に応えようとし過ぎててしまうからだ。
だけれども
自分の直感、感性を無視して、
自分を裏切り続けるといつか『病氣』になる。
英語で『病氣』を表す’disease’ の語源は、 否定を表す接頭辞「dis-」と 「安楽な状態」を意味する「ease」が組み合わさったもの。
つまり 「安楽が失われた状態」「快適でない状態」であり、
身体的・精神的な不健全な状態を指す。
近年では、医学的な『病氣』だけでなく、
比喩的に「社会の問題」をも表している。
安らぎ(=`ease`)から離れたときに人は『病氣』になるのだ。

わたしが二十歳で成人アトピーを発症したのは 親の期待に応えるための不本意な学部選択のストレスからだった。
その後、35歳までの15年間、
自分の直感でアトピーのステロイド治療を避けていたにも関わらず、
35歳の秋にカポジ水痘様発疹で緊急入院した際に
入院先の医師から
「ヘルペスになったのは皮膚科のガイドラインに従わない いい加減なアトピー治療のせいだ、 ヘルペスで失明の危機があった、 ちゃんとステロイド治療しないとヘルペスは再発する」と脅され、
その恐怖心からステロイドを受け入れてしまった結果、身体は悲鳴を上げて反発した。

大切なのは頭で考えた
『恐怖』や『不安』からの選択をしないこと。
頭はエゴ。
直感は裏切らない。
頭は嘘をつくが
身体は答えを知っている。

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